村上宣寛『「心理テスト」はウソでした-受けたみんなが馬鹿を見た』(日経BP、2005年)を読み終わった。この村上という人、心理学の流行をながめながら、シニカルに批評している。人柄は、どちらかといったら「いやなやつ」という印象を受けるが、なかなか博識で、よく調べているので感心させられることが多い。統計やコンピューターにめっぽう強い。知能テスト関連の本の前に上梓された本がこの本である。構成は次の通り。
まえがき
第1章 なぜかみんなの好きなABO-血液型人間学
第2章 万能心理テスト-その名は「バーナム効果」
第3章 インクのシミで心を占う-ロールシャッハ・テスト
第4章 定評ある性格テストは大丈夫か-谷田部ギルフォード性格検査
第5章 採用試験で多用される客観心理テスト-内田クレペリン検査
エピローグ
ロールシャッハについても、アナスティシの「インクのシミが明らかにするのは、唯一、それらを解釈する検査者の秘められた世界である。これらの先生方は被験者のことよりも自分自身のことをたぶん多く語っている」という言葉を引きつつ、その客観性をもとめて自動診断システムを作る。とはいえ、解釈のエクスナ法の批判の動向を示しつつ、ロールシャッハへの追悼の言葉を書いたりもしている。
心理検査に関わって「特性論」についての言及もある。要するに性格検査での性格特性に関してである。心理学における「特性」の言葉の由来はこのあたりからかもしれない。
「性格特性とは、人々の間に共通に見られる行動特徴をまとめたもので、外向性、情緒的安定性などがある。性格特性がいくつか集まったものが性格である。こういう考え方が特性論である。性格検査はすべて特性論に基づいてつくられている。…」
「性格特性論の世界のすう勢」について、その歴史も点描されている(p.173-174)
このような心理学による性格特性論の転写が障害特性論のもともとの由来ではないだろうか。このようにしてみると障害児教育の文脈で使われてきた「特性」の用語の意味するところも自ずから一定の傾向を持ったものといえるだろう。
まえがき
第1章 なぜかみんなの好きなABO-血液型人間学
第2章 万能心理テスト-その名は「バーナム効果」
第3章 インクのシミで心を占う-ロールシャッハ・テスト
第4章 定評ある性格テストは大丈夫か-谷田部ギルフォード性格検査
第5章 採用試験で多用される客観心理テスト-内田クレペリン検査
エピローグ
ロールシャッハについても、アナスティシの「インクのシミが明らかにするのは、唯一、それらを解釈する検査者の秘められた世界である。これらの先生方は被験者のことよりも自分自身のことをたぶん多く語っている」という言葉を引きつつ、その客観性をもとめて自動診断システムを作る。とはいえ、解釈のエクスナ法の批判の動向を示しつつ、ロールシャッハへの追悼の言葉を書いたりもしている。
心理検査に関わって「特性論」についての言及もある。要するに性格検査での性格特性に関してである。心理学における「特性」の言葉の由来はこのあたりからかもしれない。
「性格特性とは、人々の間に共通に見られる行動特徴をまとめたもので、外向性、情緒的安定性などがある。性格特性がいくつか集まったものが性格である。こういう考え方が特性論である。性格検査はすべて特性論に基づいてつくられている。…」
「性格特性論の世界のすう勢」について、その歴史も点描されている(p.173-174)
このような心理学による性格特性論の転写が障害特性論のもともとの由来ではないだろうか。このようにしてみると障害児教育の文脈で使われてきた「特性」の用語の意味するところも自ずから一定の傾向を持ったものといえるだろう。