声明文「国との基本合意締結にあたって」
本日、障害者自立支援法違憲訴訟の原告71名と弁護団は、国(厚生労働省)との間で基本合意書を締結し、本件訴訟の終結を図ることとした。
2008年10月30日の第一次全国一斉提訴以降、全国14地裁、原告71名は、障害者自立支援法の応益負担制度導入により、人としての尊厳を傷つけられるとともに、経済的に困窮し、将来への計り知れない不安を抱く状況に陥っている全国の障害者のために、同制度の違憲性の確認と応益負担制度の廃止を求め、やむにやまれぬ思いで違憲訴訟に踏み切った。
その後政権が交代し、与党三党の合意により障害者自立支援法及び応益負担制度の廃止が宣言され、これに伴い、国は、従来の主張の見直しとともに、原告らに対し、訴訟終結に向けた協議の申し入れをしてきた。原告らは熟慮の結果、これに応じ、本日まで3ヶ月余り、訴訟に至った原告それぞれの思いを原点に、国に障害者の声と実態を踏まえた合意を求めるべく、精力的に協議を行ってきた。
その結果、本日、本件訴訟を提起した目的と趣旨に見合うところの合意内容に達することができたため、本基本合意の締結に至ったものである。
本基本合意は、(1) 判決を前提としない段階で、国と原告らとが真摯かつ積極的に合意形成に努めた協議が生み出したものであること、(2) 国の制度・法律の変更自体を約束するという、基本的な政策形成に関し、訴訟当事者と国との確約するという初めてのものであること、(3) 自立支援法の制定経過の問題点と応益負担の導入を反省し、再発防止を約束していること、(4) 今後の障害福祉施策の基本理念として、初めて、基本的人権行使の支援にあることを明確にしたこと、(5) 合意内容実現のため定期協議による検証の場を設けたこと等、社会保障裁判の歴史や障害者
福祉運動において画期をなす歴史的なものである。
これは、原告らが、まさに自らの生活の実態や苦しみや不安を、勇気をもって各裁判所に訴えてきた、その一つ一つの事実の重みを、国が受け止めざるを得なかった結果である。
とはいえ、国の障害者自立支援法の宣言にもかかわらず、次年度予算措置における十分な低所得者無償化への財源確保ができなかったことなど、本基本合意へ踏み切る道筋は平坦ではなかった。
本基本合意の締結により訴訟は終結のための手続に入るが、これは自立支援法の廃止と新たな総合的福祉法制に向けた新たな出発にすぎない。原告71名は、引き続き、本基本合意の内容が真に達成される日まで、定期協議などを通じて、原告らをはじめとした当事者の声を反映し、国が「障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くす」(本基本合意書前文)よう、全国の障害者、家族、関係者とともに、不断の努力を続けるものである。
最後に、これまで本訴訟を支え、励まし、協力をしていただいた全国の方々に心から御礼を申し上げるとともに、今後とも共に手を携えて、新しい障害福祉の未来のために尽力いだくことをお願いして、本声明とする。
以 上
2010年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟 原告71名一同
全国弁護団
勝利をめざす会
本日、障害者自立支援法違憲訴訟の原告71名と弁護団は、国(厚生労働省)との間で基本合意書を締結し、本件訴訟の終結を図ることとした。
2008年10月30日の第一次全国一斉提訴以降、全国14地裁、原告71名は、障害者自立支援法の応益負担制度導入により、人としての尊厳を傷つけられるとともに、経済的に困窮し、将来への計り知れない不安を抱く状況に陥っている全国の障害者のために、同制度の違憲性の確認と応益負担制度の廃止を求め、やむにやまれぬ思いで違憲訴訟に踏み切った。
その後政権が交代し、与党三党の合意により障害者自立支援法及び応益負担制度の廃止が宣言され、これに伴い、国は、従来の主張の見直しとともに、原告らに対し、訴訟終結に向けた協議の申し入れをしてきた。原告らは熟慮の結果、これに応じ、本日まで3ヶ月余り、訴訟に至った原告それぞれの思いを原点に、国に障害者の声と実態を踏まえた合意を求めるべく、精力的に協議を行ってきた。
その結果、本日、本件訴訟を提起した目的と趣旨に見合うところの合意内容に達することができたため、本基本合意の締結に至ったものである。
本基本合意は、(1) 判決を前提としない段階で、国と原告らとが真摯かつ積極的に合意形成に努めた協議が生み出したものであること、(2) 国の制度・法律の変更自体を約束するという、基本的な政策形成に関し、訴訟当事者と国との確約するという初めてのものであること、(3) 自立支援法の制定経過の問題点と応益負担の導入を反省し、再発防止を約束していること、(4) 今後の障害福祉施策の基本理念として、初めて、基本的人権行使の支援にあることを明確にしたこと、(5) 合意内容実現のため定期協議による検証の場を設けたこと等、社会保障裁判の歴史や障害者
福祉運動において画期をなす歴史的なものである。
これは、原告らが、まさに自らの生活の実態や苦しみや不安を、勇気をもって各裁判所に訴えてきた、その一つ一つの事実の重みを、国が受け止めざるを得なかった結果である。
とはいえ、国の障害者自立支援法の宣言にもかかわらず、次年度予算措置における十分な低所得者無償化への財源確保ができなかったことなど、本基本合意へ踏み切る道筋は平坦ではなかった。
本基本合意の締結により訴訟は終結のための手続に入るが、これは自立支援法の廃止と新たな総合的福祉法制に向けた新たな出発にすぎない。原告71名は、引き続き、本基本合意の内容が真に達成される日まで、定期協議などを通じて、原告らをはじめとした当事者の声を反映し、国が「障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くす」(本基本合意書前文)よう、全国の障害者、家族、関係者とともに、不断の努力を続けるものである。
最後に、これまで本訴訟を支え、励まし、協力をしていただいた全国の方々に心から御礼を申し上げるとともに、今後とも共に手を携えて、新しい障害福祉の未来のために尽力いだくことをお願いして、本声明とする。
以 上
2010年1月7日
障害者自立支援法違憲訴訟 原告71名一同
全国弁護団
勝利をめざす会