ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

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山崎豊子『小説ほど面白いものはない』(新潮社)

2009年12月31日 20時47分19秒 | 
 山崎豊子の小説の組み立て、特に戦後史もの(不毛地帯、沈まぬ太陽、運命の人)に興味があった。前作の『作家の使命 私の戦後』に続いて、読んだ。帯には、「テーマはどう見つける?ストーリーの組み立て方は?」と書いてあるのにも惹かれた。
 対談集なのだが、戦後ものと言うより、大阪もの(浪速のど根性)や大阪弁のところが面白かった。そのほかのところは、目が悪くなったのか、あるいは血圧が高くなるのか集中できない。年をとって、本が読めなくなったのかと少し寂しくなる。
 構成は次の通り。

はじめに
第1章 「人間ドラマ」を書く
 社会小説を生み出す秘密×石川達三
 1年1作主義×荒垣秀雄
 小説に聖域はない×秋元秀雄
 小説ほど面白いものはない×松本清張
第2章 「大阪」にすんで「大阪」を書く
 大阪に生きる×岡部伊都子・水野多津子
 大阪の青春、大阪の魅力×今東光
 のれんの蔭のど根性×菊田一夫
 ええとこばかりの浪速の女×浪花千栄子
第3章 「消えない良心」を書く
 事実は小説よりも奇なり×城山三郎・秋元秀雄・三鬼陽之助・伊藤肇
 死にものぐるいで書く×長谷川一夫
 日系米人の「戦争と平和」×ドウス昌代
 『二つの祖国』は反米的か×三國一郎
 沈まぬ太陽を求めて×羽仁進
『運命の人』沖縄取材記
おわりに
年譜

大阪弁
荒垣:大阪源というものが、面白味がありますね。間が抜けている世杖、ズバリといってのけたり…。
山崎:小説を書いていて、おもしろいことを発見したんです。大阪弁というのはビジネス用語なんですね。恋愛の用語としては困るんです。…「愛してます」というのを「愛してまっせ」というたらアウトです。…(28頁)

山崎:私の場合は故郷の大阪を舞台にした、いわゆる大阪ものを書いている時は、独特のリズムがあるんですね。自分でも不思議です。大阪弁の会話を書いていますと、会話の文章が地分にも入ってきて、独特のリズムがあるんですよ。(54頁)

山崎;浪花さんは、映画にしても、ラジオにしても、もっぱらしゃべる方ばかりですけれど、私の方は、しゃべり言葉も字で表さんなりませんので一苦労です。というのは、しゃべり言葉と違う、いうことですねん。-例えば「そやあらしまへんが」というのは話し言葉ですけど、これを文字で表現する時は「そやあらしまへんでっしゃろ」と書くようにします。でないと、読む人にはわかりにくいんです。それから、それで、というのを大阪弁では「ほで」と過くる発音しますが、これは帆立貝かなんかと間違われるおそれがありますので、「そいで」と書くようにしています。まあ、こういうところがやっかいなところで、大阪弁も文字で表すときには、話し言葉に味の素と塩で味付けして、読みやすいようにと心がけています。(122-123頁)

山崎豊子は、大阪のど根性を強調している。東京のスマートさに比して、その図太さと繊細さをもつ大阪を中心とする関西の文化と言うことも大きい。その中には笑いも含まれるのだが…。

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