指原莉乃「ミューズの鏡」第5話 特別編 福田雄一との対談(総選挙分析ライター)
「カッコイイ自分を演出することをあえてしない私」・・・指原莉乃
2012年2月12日に放送された指原莉乃主演ドラマ「ミューズの鏡」は、指原と監督(脚本・演出)の福田雄一が第4話までを振り返っての対談(特別編)だった。
この対談は監督の福田が、「女優指原の仕事を訴えたい」という気持ちから企画したものだが、ジャンルが指原にとって初主演のドラマ(演劇)という分野であることや対談者の福田監督が指原から本音を引き出そうと第4話までの指原の演技をもとにしたさまざまな質問、さらに指原の早口も加わり、見ていて決してわかりやすいというものではなかった。
福田監督が指原に聞いた内容は、主役が決まったときの感想、女優の仕事をどう感じるか、どのような気持ちで、またどのようことを考えながら主人公向田マキを演じているか、女優としての今後の目標など盛りだくさんである。
対談の中で、福田監督が指原を評価しているのは、セリフを真剣に覚え、演技も真剣で、真面目に女優業に取り組んでいるところや、「欲のない演技」をしているところである。
特に演技においては、指原の「一瞬の視線のそらし方」、全力の迫力をこめた「わかります」という返事、「岡持を置いての倒れ方」、ステージへいやらしくなく「乗る」ところ(後記載)など、それぞれのシーンにおいて期待以上(120%)の演技をしており、福田監督をして指原を『天才』とまで言わしている。
一方、福田の質問に対して指原は、「ミューズの鏡」を最初コントだと聞かされ後でドラマとわかり驚いたことや「女優をやっていると言いたくない」、「余裕がなくて人を笑わせる演技」など思いもよらず、「演技の経験が無いのでちゃんとやんなきゃという気持ちだけ」で監督の言うとおりに「真剣に」やっている。そして、あえて「カッコイイ自分を演出しない」などと返答している。
最初はまじめに一生懸命答えていた指原だが最後の方で、バラエティー・トークにおける持ち前の受け狙いを押さえきれなくなったのか、福田監督から「カッコイイ自分を演出しない」自分がカッコイイと思っているといやらしさが出るので、そこをわかっていて、なおかつ、そこをちゃんと狙いにいかずにやるのは女優の仕事だと言われると「もしかしたら自分は女優なのかもしれないと思い出してきちゃった。」と茶目っけ気味に答え、最後に福田監督から今後の女優としての目標を聞かれた際には「11時台のドラマに出演したい」とユーモアを交えて返答し福田の笑いを誘って締めくくっている。さすが指原と言うべきか、指原恐るべしと言うべきか、圧巻である。
冒頭では対談が盛りだくさんの内容で必ずしもわかりやすいものではないと述べたが、そもそも、約10分間という比較的長い時間、指原が一つのテーマについて語った記録自体珍しいし、話された内容が初めて経験する「女優」の体験談なので真剣である。そういう点から評価してみると、わかりやすくはないが貴重なものと言えるだろう。
また、普段バラエティやトークで話題を集める指原が、初めて経験する女優業でのとまどいや女優という仕事に対して一途にひた向きでまじめな態度で臨んでいる姿を素直に語っているので共感が持てる。
このほか、対談に答える指原の表情がすまし顔や真剣な表情、真剣なまなざし、まじめな表情やどや顔、嘘くさい真剣なまなざし等いろいろ変化する。その表情の変化を追っていくだけでも大いに楽しめる内容である。
対談において指原が福田監督から受けた主な質問と答えた内容は以下のとおり。
「ミューズの鏡の主役については(福田)?」
⇒初めコントと聞いていたので、後で、ドラマとわかり、えっと思った。そのため、いまでもドラマなのかコントなのかわからない気持ちで撮影に臨んでいる。そのせいか、イマイチ女優としての実感(イメージ)がわかない。撮ってみたら、マジだったので話が違うと思ったが、同時にがんばらなくてはいけないと思った。・・・指原
「女優の仕事をしているという感覚については(福田)?」
⇒女優の感覚があると言ったらウザイし、女優を感じていることが嫌で、女優をやっていると言いたくない。セリフを真剣に覚えるのは、せっかく仕事をいただいているのに、やってないと思われるのが嫌だから。女優(業)は、余裕があれば楽しいと思う・・・指原
「ミューズを表立ってコメディと言わず、みんなシリアスな顔をしてやっていることについては(福田)?」
⇒ブログのコメントにサッシーはとてもかわいそうという深刻なコメントがあってそんな真剣に見てくださっているんだと思っている。・・・指原
「マクベスの台本を取り上げられた時にすごくいい顔をするシーンについては(福田)?」
⇒計算づくの表情。私としては、マキの気持ちに入って、読んでいる時にパッと取られて。ハッどうしよう、ハイというやつ。もらって、取られて、あっもっとやりたかったのに、ということを表現した。・・・指原
「うまく見てもらおうとか笑ってもらおうとか私を見てなにか感じてほしいという欲のない演技をしていることについては(福田)?」
⇒見せるとかそういうことに余裕がなくて、台本を覚えるだけで、アドリブがきかない。ドラマのときにおもしろい演技、人を笑わせる演技をできると思ったことは1回もない。私は本当に演技の経験が無いので、ちゃんとやんなきゃという気持ちだけ。私の演技で進行を妨げたくない。だから、真剣に演技するだけではなく、こうした方がいいとのアドバイスをそのままやるだけで、私は何もしていない。・・・指原
「岡持置いて倒れるシーンはあそこまでやってと言っていなかったが(福田)?」
⇒監督が置いてと言ったから置いた。でも、置くという自然の動作がわからないから、置いてと言われたら置くしかない。・・・指原
⇒「置こうと思って置いて、倒れろと言われたから倒れた。天才なんじゃないの。(福田)・・・指原を大絶賛」
「シャープ4の電車のエチュードで舞台の正面から乗っていくマキの演技については(福田)?」
⇒監督がステージに乗ってと言われたからステージに乗った。(そこにおもしろく乗ってやろうという気持ちは)ない。乗れと言われたから乗った。(ちょっとおもしろくしてやろうということ)については、こいつおもしろいことをしてるという空気が嫌。カッコイイ自分を演出することをあえてしない私。あらためて、そう思って見てほしい。(こういうことをやる自分は)もしかしたら女優なのかもしれないと思い出してきた。・・・指原
「この先女優としてやっていったときの目標は(福田)?」
⇒女優としてなんでもやりたいが、とりあえず11時台のドラマに出たい。・・・指原 ドーン
指原莉乃「ミューズの鏡」第5話映像120212
2012年12月12日25:55 指原莉乃「ミューズの鏡」特別編 福田雄一との対談
福田「今日はミューズの鏡の特別編といいますか、僕はもともとこれをやりたかったんですよ。最初この企画を出したときに10分ぐらいドラマをやった後に毎回その回の収録を終えたサッシーにその回の自分の演技に関してのコメントをもらって終わりにするという構成にしたかった。女優指原の仕事であるということを割りと前半で訴えたいというのが僕の方にあって、みんながそれを聞きたいと思っているので。今回主役の仕事が来たよ、ということで伝わったわけですよね。」
指原「はい。(多少スマシ顔)」
福田「最初どう思ったですか?普通に。」
指原「私、コントと聞いていたんですよ。ほんとにコントの仕事だと言われて。私、次の日、仕事がちゃんと決まって、放送時間帯がこうこうこういう内容だよ。福田さんがこうこうだよという話を伺って、公式の発表がされたじゃないですか。そうしたら、私、ブログを見たら、コメントにドラマ主演らしいですね、と書いてあって。(大きな声で)えっ、ドラマかと思った。」
福田「新聞に載って初めてドラマだとわかったんだ。」
指原「そうなんですよ。だからいまでもドラマなのかコントなのかわからない気持ちで撮影に臨んでいるから。女優としてどうなのと言われてもイマイチ女優って・・・(すまし顔)」
福田「最初にお母さんとのシーンから入ったじゃないですか。陽月さんがかなりストイックなお芝居だったでしょう。そこでどう思いましたか?」
指原「私としては話が違うと思った。そっちか。マジの方や。撮ってみたら案の定マジの方だったから。」
福田「案の定、マジの方だったね。」
指原「すごい。これはがんばらなくてはいけんやつだと思いましたね。(真剣な表情)」(思わず大分弁が出てしまう。)
福田「コントだったらワーとやってハイ終わりでいくじゃないですか。指原さんのワンショットだけいきます。一言だけください、というみたいのがあるじゃないですか。ああいうのは女優の仕事をしているなという感覚はないですか?」
指原「あると言ったらウザイですよね~。」
福田「そんなことはない。」
平野綾「私はまったくそういうふうには感じない。」
指原「あると言ったらウザクないですか。女優を感じている感じがして嫌なんですけれど。」
福田「逆に女優を感じてもらわないと困るもんね。」
指原「お仕事としてはちゃんとやっているんですがそういうふうに言いたくないだけなんですけれど。私女優やっているわよ、と言いたくない。」
福田「どうしてですか。今回、女優の仕事ですよ。」
平野「本当に謙虚ですよね。現場の雰囲気なんかも自らなごませてくれたりとか。話しかけてくださったりとか。」
福田「たんにおしゃべりなだけだとか。」
指原「そう、よくしゃべるんです。」
平野「はっと見ると台本に集中していて。こういうところはストイックなんだなという感じを出している。」
福田「前の夜とかすごい悲痛なブログとかを書いているんですよ。」
指原「プッ、覚えるのが遅いから。」
平野「間違えたことないですよね。」
福田「すごい真剣に覚えてきているんですよ。」
指原「それは、せっかく指原がお仕事いただいているのに、やってきてないじゃんと思われるのが嫌なんですよ。(まじめな表情)」
福田「それはどんな仕事でも同じ臨み方なんですか。」
指原「私がやってきてないと、ほら、やっぱりな、となるじゃないですか。」
福田「女優、女優業は楽しいですか?」
指原「う~~ん。(目をつむり上を向く)余裕があれば楽しいです。」
福田「今回のミューズで、表立ってコメディと言ってないじゃないですか。みんなものすごくシリアスな顔をしてやっているじゃないですか。」
指原「ブログのコメントなんかにサッシーはものすごく貧乏な家庭の役なんですね。とてもかわいそうです、という深刻なコメントがあってそんな真剣に見てくださっているんだと・・・」
福田「本当にそうですよ。本当にサッシーが真面目に女優業に取り組んでいると思っているのではないかな。」
福田「僕すごく好きなシーンがあって沖田先生にマクベスの台本を渡されるシーンがあるじゃないですか。取り上げられた時にすごくいい顔をするんですよ。」
指原「(大きな声で)オー」
平野「一瞬、視線をそらすやつですよね。」
福田「そう、そう、そう。」
指原「(一段と大きな声で)エー、毎回入れましょうよ。」
福田「やってくれないと。入らないですけれど。あれを意識してやっているのかを聞きたかった。」
指原「まったくしてないです。(まじめに)」
福田「視線をくくってそらすやつです。」
指原「それは計算ずみの、ハイ。(大きくわざとらしくうなずく)」
平野「そうなんだ。」
福田「あれはどんな演技理論に基づいているのですか。ちらっとはずすのは。」
指原「そうですね。私としては、マキの気持ちに入って、読んでいる時にパッと取られて。(大きな声で)ハッどうしよう、ハイというやつ。(照れ笑い)」
福田「ん?」
平野「今のハイの部分ですか?」
指原「そうです。もらって、取られて、(大きな声で)あっもっとやりたかったのに(一瞬、視線をそらす)、ということですかね。(ドヤ顔)」
福田「なるほどね~。」
福田「今までシャープ4まで放送されているんですけれど。僕がずっと編集の時に言っていたのは、欲のない演技ということをずっと言っていた。いわゆるうまく見てもらおうとか。笑ってもらおうとか。私を見てなにかしら感じてほしいという欲がまったくない、という感じがした。」
指原「なんですかねえ。たぶん、見せるとかそういうことに余裕がなくて。台本を覚えて、アドリブがきかない。」
指原「だって真剣ですもの。」
福田「本当に真剣だよね。でも、自分でちょっとおもしろいと思っているところあるでしょう?」
指原「ドラマの時はいっさい思わないです。ドラマのときに成志さんみたいにおもしろい演技、人を笑わせる演技をできるなと思ったことは1回もないです。(真剣な表情)」
福田「成志さんがたとえ話が適切ではないという話をするところがあるじゃないですか。『だから俺はたとえ話はせん。わかるな。』と言ったときに『わかります。』と言うじゃないですか。あの『わかります。』は、僕は120点だと思うんですよ。」
指原「へー、やった。」
福田「『わかります。』と言ったって、本当はわかっちゃいけないところでしょう。あそこって、『わかるな』、あんなんでわかるなと言われていることがおかしいでしょう。それをあんなに一生懸命『わかります。』とひたむきに言うのはなかなかないと思うんですよね。なんかこう全力の迫力があるんですよね。それはある程度の演技プランに基づいた全力なんですか?」
指原「なんというんですかね。私は本当に演技の経験が無いので、ちゃんとやんなきゃという気持ちだけですね。(真剣な表情)」
福田「ちゃんとやんなきゃというのは、皆さんに迷惑をかけてはいけないという・・」
指原「そう、そうです。私の演技で進行を妨げたくない。(真剣な表情)だから、真剣にだけではなくて、こうした方がいいよ、といものは私にちゃんとアドバイスしてくださるので、それをそのままやるだけで、私何もしていないですよね。」
福田「岡持こう置いて倒れるシーンなんて、あそこまでやってくださいと言っていなかった気がする。」
指原「置いてと言われたから置いたんです。」
平野「あれちがうんですか?」
指原「監督が置いてと言ったから置いたんです。でも、置くという自然の動作がわからないから、置いてと言われたら置くしかない。(ひた向きな表情)」
福田「置こうと思って置いて、倒れろと言われたから倒れた。天才なんじゃないの。」
平野「本当にマキみたいですね。」
福田「本当に本当。本当。本当にシャープ4の電車のエチュードをやっていてウララがちゃんと駅に着いたという設定で出入り口から入ってくるのに対してなんの関係もなく舞台の正面からドーンと乗っていくマキがいるわけじゃないですか。なにもいやらしい考えがない背中なんですよ。だから気持ちよく笑える。あれも普通にこう・・・」
指原「あれも監督がゆき?ところでステージに乗ってと言われたからステージに乗ったんです。」
福田「そこにおもしろく乗ってやろうという気持ちは?」
指原「ないですよ。のれと言われたから乗ったんですよ。(真剣な表情)」
福田「ウララの振りがあって正面からドンとのっちゃうことが笑いにつながることがなんとなくわかったうえですよね。そうするとちょっとおもしろくしてやろうと普通は思うんじゃないですか?」
指原「こいつおもしろいことしてるという空気が嫌なんです。(明るくさわやかな表情)」
福田「なるほど。それを感じさせたくない。」
指原「そうです。だからカッコイイ自分を演出してやれ、をあえてしない私。(ドヤ顔)」
福田・平野「カッコイイですね。」
福田「カッコイイこと言ったなあ。」
指原「あらためて、そう思って見てください。(堂々としたドヤ顔)」
福田「そこって、あえて狙わない自分がカッコイイと思っているといやらしさが出る、そこを出さない理論が何かあるんじゃないかと思って。」
指原「(笑いながら)なんですかねえ。」
福田「そこをわかっていて、なおかつ、そこをちゃんと狙いにいかずにやるということ、それはもう女優の仕事だと思う。」
指原「そう言われるともしかしたら自分は女優なのかもしれないと思い出してきちゃった。(嘘くさい真剣なまなざし)」
福田「(笑い)」
福田「最後にこの先女優さんとしてやっていったときに自分の目標はどこに置きますか?」
指原「女優としてやらしてもらえるならばの話ですが、やらしてもらえるならばなんでもやりたいですが(上を向いて少し考えて)、じゃあ、11時台のドラマに出たいです。(ニヤ顔)」
福田「(下を向いてくすくす笑いをしながら)11時台ですね。」
以上
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