<ロシアによるウクライナ原発攻撃の核戦争並みの危険性>
プーチンロシアがウクライナのザポロジエ原発を爆撃、火災が発生と報道されている。IAEAは今のところ「放射能漏れはない」としているようだが、これはえらいことだ。
第一に、これは核ミサイルを使わない核攻撃に他ならないからだ。しかし、ロシアは「原発を狙ったわけではないが、不測の事態でたまたまミサイルが原発へ飛んでしまった」とかなんとかいくらでも言い訳できる。
初めから核ミサイルによる核攻撃であれば(あってはならないことだが)核ミサイルによる報復という手段が、理屈上は成立しうる。しかし、通常のミサイル攻撃に対しては、まともな国なら核ミサイルで報復するわけにはいかない。それこそ思惑通りとロシアから本物の「報復」核ミサイルが飛んで来るだろう。
第二に、原発が崩壊すれば、チェルノブイリや福島第一原発とは比較にならない重大な損害を周辺地域に与え、しかもその悪影響は100年以上にわたって周辺地域を苦しめ続けることになる。
カーリングじゃないけれど、どちらに転んでもプーチンロシアとしては次の一手を先手で打てることになるのだ。年をとってしまったプーチンは認知症気味で怒りっぽくなった暴走ジジイかもしれないが、参謀は官兵衛顔負けのなかなかの軍師のようだ。
<ロシア、ベラルーシパラ選手排除の愚>
IPCがロシア、ベラルーシ国籍の選手の個人の立場での北京パラ出場を一転、認めないとしたそうだ。世論は、誘導もあってだろうが「当然」とする空気に流されている。しかし、よく考えてほしい。ロシア、ベラルーシの選手には、国籍がそれらの国であるというだけで、ロシアのウクライナ侵攻には何の責任もないのだ。まあ、「自国の侵攻を指示する」などと表明があれば道義的責任は問われても仕方ないだろうが、しかし百歩譲っても、侵攻を提起も命令も参加もしていない選手を侵攻懲罰の具に使うなどということは許されることではなかろう。むしろ、プーチンや自国の暴挙に失望、反対している選手や選手を応援している国民の、侵攻反対の気持ちを揺るがせてしまう可能性すらある。
侵攻を止めさせるうえで侵攻国国民の感情・意向は、何かといえば「報復攻撃力」だの「抑止力」だのと暴力的な方向でしか頭が回らない連中の単細胞脳より、ずっと抑止力も強く大事なのではないか。
<西側諸国は本当に世界平和を追求する気があるのか?>
ロシアの要求の1つ「ウクライナの非武装中立化」、こんな願ってもない提案にNATO、「西側」諸国は、愚かなことにメンツが邪魔してか受け入れられないでいる。
世界平和の究極の理想は「全ての国の非武装中立化」。腹の底はいざ知らず、その方向にそった提案が、わざわざロシア側からなされたのだからさっさと合意すれば少しでも世界平和に近づくのに、「ロシア側からの提案に乗るわけにはいかない」という、くだらないメンツにこだわってせっかくの和平チャンスどころか、ロシアに平和に向けての枷をはめられるチャンスをも反故にしてしまっているのだ。
その理由が、マスメディアも世論誘導する「ロシアの言う、『NATO不拡大約束』なんか無かった」と、これまた的外れの詭弁のような言説である。
あのねえ、プーチンロシアとしては『NATO不拡大約束』があったか無かったかなんてどうでもいいことなのよ。ただ侵攻の口実が必要なだけ。奴らとしては侵攻を正当化できるへ理屈が成立するなら何でもいいわけだ。奴らにとってこの提案はある意味賭けだった。奴らにとっては「ウクライナの非武装中立化」提案に「渡りに船」と飛びつかれていたらむしろ困ったわけだ。だからこそ、「クリミア半島のロシア主権承認」なんて難題をバーターで提案してきているのだ。こんなもの、2014年の併合以来の「西側」のサボタージュのおかげで事実上成立してしまっていることだが、この要求を飲むということは「西側」サボタージュが表に出てしまうということで「西側」としては簡単に飲めないことを見透かされている。情けない。
『NATO不拡大約束』があったらあったで、「ウクライナが約束を破りそうな動きを見せるからこんなことになったんだ」と言うだろう。『NATO不拡大約束』が無かったらなかったで、「NATO拡大を狙う動きはロシアにとって脅威だから対抗措置をとったんだ」と言える。
プーチンロシアの深層心理は要するに「米中露3強による世界秩序管理の一角としてもっとロシアに忖度せえや。ワシの言うことも聞けよ」ということに他ならない。もっと平たく言えば「かまって、かまって攻撃」、心理は金正恩と大差ない。異なるのは、ハッタリではない危険な軍事力、核兵器を有しているかどうかだ。ま、大きな違いではあるが、その点を踏まえて彼らの言説に少しでも隙があればそこを突いて縛りをかけ、その縛りをじわじわと強くしていく戦略をとるべきなのに、まったくもって何をやってるんだと言いたい。