さる木曜日、NHK「クローズアップ現代」のテーマは「木質バイオマス」。5ヶ月もかかって大量の木質バイオマスを“生産”してきたばかりの私にとっては大変興味深いテーマであった。
今、発電エネルギー源として木質バイオマスが奪い合い状態なんだそうな。木質バイオマスで発電した電気を電力会社に売って儲けるという、抜け目のない人たちも現れているらしい。何でそんなものが商売になるのかというと、温室効果ガスと“言われている”二酸化炭素の発生が、木質バイオマスを使った場合は、石炭・石油と違って発生“0”とみなされる上にエコ減税とやらの対象にもなる、つまり近頃うるさい“環境コスト”が大幅に節約できるからというわけだ。
なんで木質バイオマスを使うと二酸化炭素の発生が0とみなされるのか?周知のとおり、伐られた木を燃やしても、伐った跡にまた生えてくる木が二酸化炭素を吸収するから“プラマイ0”とみなされるということだ。しかし、これって詭弁ではないの?石炭・石油だって元々は太古の動植物が固定した炭素なわけで、最近山で伐ってきた木とはその更新のスパンが数億・数百万年なのかあるいは数十・数百年かという、固定更新の時間差だけの問題であって、どちらも燃やせば二酸化炭素を排出することに変わりはないのに。どうしてこんな単純なことにみんな気が付かないのだろう?
なぜこんな論理がまかり通るのか?それは、“エコ”を飯の種にしている三流学者・「知識人」と、“エコ”まで銭儲けのネタにしようというあさましい企業家連中とのコラボ、“エセエコキャンペーン”、“一億総エコ洗脳”の成果ではあるだろう。
本気で二酸化炭素の発生を減らしたいなら、(cop風に言うなら1990年比で50%に半減させたいなら)、GNPを減らし、消費を減らし、エコカー・エコ家電などといった愚にもつかない物への買い替え奨励でさらに無駄な生産コストを発生させる(企業は儲かるだろうが)というバカげたことをやっていてはいけないのだ。
一時、エコと聞くと「江戸時代の生活に戻れということか」などという反論が聞こえたことがあった。「より良い(=より便利で優越感を満足させるような物に囲まれた)生活をしたい」と醸成された国民的価値観のもとでは、「本当にエコを実現させるために必要なのは暮らしの質を“低下”させることだ」とあえて言う勇気のあるリーダーはこの国にはいない。(あ、一人いたな。トッテンさん) まして一般国民の意識をしておやである。
もちろん、その“低下”対象は年収ウン千万以上の“反エコな”方々の話である。流行の派遣切りなどで明日の糧とねぐらにも事欠くような方々についてはむしろ「生活の質を“向上”させねばならない」ことは言うまでもない。
今、品薄で“奪い合い”状態の木質バイオマスは建築廃材なんだそうだ。これは調達コストがトン当たり3千円くらいだとか。これに比して、山に大量に捨て置かれている間伐材は、調達コストがトン当たり1万円にもなるという。3千円までなら「エコビジネス」として儲かるというわけだ。私の出した木質バイオマス引き取り価格はトン当たり千円だった!。なるほど喜んで買い上げてくれたわけだ。この番組、もう1ヶ月早くオンエアしてくれていたらなぁ。
これが意味する事は一目瞭然。 結局、論理ってのはいつでも都合のよいように切り替わるんですね。 現実というものが多面体である以上、一面の論理は所詮事物の一面しか示すことができないという。
ところで、看板、いい感じですね。
これからの商売繁盛! をお祈りしてます。
何ごともウラ・カラクリがあると言ってしまえばミもフタないですが・・・・科学の皮を被ったニセ科学が結構 通用してしまうんですネ(ーー)
エコ=エコロジー=地球環境にやさしい?(企業に都合の良いイメージ) 最近はエコノミービジネス? どちらにせよ 人間が上から目線の(人間至上主義 西洋キリスト文明?)自然に対して失礼な態度だと思います?
現在騒がれている、みやサンが書かれているように化石燃料も木材等も結局 二酸化炭素を排出するというのは同じで時間のサイクルの問題でチョッと考えるとわかる?のにサギみたいな感じです~二酸化炭素の排出権を売買するのも 同じニオイがします? サブプライムローンと同じ 胡散臭いサギビジネスと考えてしまうのは考え過ぎでしょうか? ホントに人類がこれからも地球上に永く生存するためには世界中で経済活動・生活レベルの質の低下抑制(みやサンと同じく貧しいヒトがより貧しくならない様)とあと人口抑制(少し過激かもしれませんが、倫理的に問題ありですが!命の選択もありえる)が必要と思います~長くなり失礼いたしました~☆
そうなんですか。北欧って木だらけのイメージですが...。
そう言えば、京都市の指定ゴミ袋は、made in china!でした。日本の環境保護は中国頼り?
コメントありがとうございます。長らくあいてしまいたいへん失礼いたしました。
今年末予定されているcop15に向けての各国の中期目標設定報道で「EUは90年比20~30%削減と言っているのに、日本とアメリカは2005年比!それぞれ15%、14%なんて通用しない」と解説していました。確かに報道解説の言い分はもっともですが、EUにはもともと一足先に始めたCO2排出権取引市場で一儲けの思惑がある。数字だけ見るとEUはいい子のようですが、必ずしも動機は純ではないですね。アメリカ(のファンド連中)も排出権市場が軌道に乗ったら日本なんか置き去りにしてEUに同調し始めるでしょうね。