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てらまち・ねっと



 政府が、思春期以上の女性を対象に出産の適齢期など、妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を来年度から配布することを決めた。
 「女性手帳」。
 
 初発は、5月5日の産経の報道らしい。
  政府は、「医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し『晩婚・晩産』に歯止めをかける狙いで、
       6月に発表する「骨太の方針」に盛り込む方向で調整している。」(産経)

 しかし、非難が続出。

 そんなことで、政府の会議の様子を見た後、報道とともに、「反対声明」などを紹介する。

 これらの動きを見ていても、今は、ネットの時代なんだと感じる。

 ところで、昨日は、ここ山県市の臨時議会があった。
 議長などが交代。
 私は、議会運営委員の指名を受けた。

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●政府、10代から「女性手帳」導入 骨太の方針で調整 何歳で妊娠? 人生設計考えて
         産経 2013.5.5
 政府が、女性を対象に10代から身体のメカニズムや将来設計について啓発する「女性手帳」(仮称)の導入を検討していることが4日、わかった。
 医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し「晩婚・晩産」に歯止めをかける狙いだ。6月に発表する「骨太の方針」に盛り込む方向で調整してい

 政府は少子化対策として産休や育休を取りやすくする制度改正、子育て世帯中心の施策を優先してきたが、晩婚・晩産化対策も少子化解消には必須と判断した。安倍晋三内閣はこれを重点政策に位置づけており、骨太の方針に反映させた上で、来年度予算に調査費などを計上したい考え。

 内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(議長・森雅子少子化担当相)は、妊娠判明時点で自治体が女性に配布する「母子健康手帳」よりも、早い段階からの「女性手帳」の導入が効果的とする見解を近く取りまとめる。子宮頸がん予防ワクチンを接種する10代前半時点や、20歳の子宮がん検診受診時点での一斉配布を想定している。

医学的に妊娠・出産には適齢期(25~35歳前後)があるとされる。加齢に伴って卵子が老化し、30代後半からは妊娠しにくくなったり、不妊治療の効果が得られにくくなることも明らかになっているが、学校教育で取り上げられていない。

 女性手帳では、30歳半ばまでの妊娠・出産を推奨し、結婚や出産を人生設計の中に組み込む重要性を指摘する。
 ただ、個人の選択もあるため、啓発レベルにとどめる。内閣府はまた、経済事情などを理由になかなか結婚に踏み切れない状況の改善にも取り組む方針で、新婚夫婦への大胆な財政支援に乗り出す。

 日本産科婦人科学会の生殖補助医療(高度不妊治療など)の年齢別結果(平成22年)によると、35歳前後で20%台前半だった妊娠率は40歳で15%を下回った

●少子化危機突破タスクフォースの開催について
         内閣府特命担当大臣決定 / 平成25年3月25日 
少子化危機突破タスクフォースの開催について  内閣府特命担当大臣決定 /平成25年3月25日
1 趣旨
これからの若い世代が家族を形成し、子育てに伴う喜びを実感できると同時に子どもたちにとってもより良い社会を実現するため、結婚・妊娠・出産・育児における課題の解消を目指すとともに、家族を中心に置きつつ、地域全体で子育てを支援していく取組の推進等について検討を行うため、少子化危機突破タスクフォース(以下「タスクフォース」という。)を開催する。

2 構成員
(1)タスクフォースは、別紙に掲げる者をもって構成し、内閣府特命担当大臣(少子化対策)(以下「特命担当大臣」という。)が主宰する。ただし、特命担当大臣は、必要と認める場合、構成員を追加することができる。
(2)座長は、特命担当大臣が指名する。
(3)座長は、必要に応じ、関係行政機関の職員その他の者の出席を求めることができる。

3 検討事項
タスクフォースの検討事項は以下のとおりとする。
(1)家族形成に関する国民の希望が叶えられない次の阻害要因の解消方策(※)
・「結婚・妊娠・出産・育児」の4つの段階の阻害要因
・「出産・育児」については、第1子、第2子及び第3子以降ごとに異なると考えられる阻害要因
(2)家庭と地域における子育ての向上に向けた支援の在り方
(3)早急に取り組むべき具体的方策
(4)その他取組の推進に必要な事項

4 議事要旨
座長は、会議の終了後、速やかに、タスクフォースの議事要旨を作成し、これを公開する。

5 庶務
タスクフォースの庶務は、政策統括官(共生社会政策担当)において処理する。

6 その他
前各項に定めるもののほか、タスクフォースの運営に関する事項その他必要な事項は、座長が定める。
※平成22年の合計特殊出生率は1.39となっているが、厚生労働省社会保障審議会の試算(平成19年1月)によると、結婚や出生に関する国民の希望が全て叶った場合の合計特殊出生率は1.75程度になると考えられている。
________________________________________
別紙
少子化危機突破タスクフォース名簿
安藏 伸治 明治大学政治経済学部教授,日本人口学会会長
井上 敬子 文藝春秋「CREA」局出版部統括次長、「CREA」前編集長
北澤 豪 日本サッカー協会理事
齊藤 英和 国立成育医療研究センター母性医療診療部不妊診療科医長
(座長) 佐藤 博樹 東京大学大学院情報学環教授
鈴木 英敬 三重県知事
武石 恵美子 法政大学キャリアデザイン学部教授
林 文子 横浜市長
早見 優 歌手
原田 泳幸 日本マクドナルドホールディングス株式会社、
日本マクドナルド株式会社代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)
松田 茂樹 株式会社第一生命経済研究所主席研究員
宮島 香澄 日本テレビ報道局解説委員
山田 正人 経済産業省特許庁総務部工業所有権制度改正審議室長
吉松 育美 ミスインターナショナル2012
吉村 美栄子 山形県知事
________________________________________
開催実績
開催日 議事次第 議事概要
第1回 平成25年3月27日(水) 準備中
第2回 平成25年4月16日(火) 準備中•


内閣府「少子化危機突破タスクフォース」ページ
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/index.html

少子化危機突破タスクフォース第1回 齊藤英和委員 提出資料「自己紹介資料」(PDF)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_1/pdf/s3.pdf

少子化危機突破タスクフォース第2回 安藏伸治委員 提出資料「妊娠・出産検討サブチーム(第1回)における主な論点」(PDF)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_2/pdf/s3.pdf

第1回少子化危機突破タスクフォース資料
自己紹介と今後の議論にあたっての思い  ~三重県民の幸福実感を踏まえて~
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_1/pdf/s4.pdf

・・


●「女性手帳」導入に異論なし 少子化対策の作業部会
         2013/05/07 21:53 【共同通信】
 政府は7日、少子化対策を議論する作業部会「少子化危機突破タスクフォース」(座長・佐藤博樹東大大学院教授)の会合を開き、晩婚化や晩産化が進む中、若い世代の女性向けに妊娠・出産の知識や情報を盛り込んだ「女性手帳」(仮称)の導入を議論、委員からは異論などは出なかった。

 女性手帳は「妊娠や出産の適齢期を知らない人が多い」との指摘を踏まえて検討されたもので、女性の将来設計に役立ててもらうのが狙い。作業部会の下で具体的な妊娠・出産支援対策を討議してきたサブチームが導入を提案した。

●妊娠・出産の知識を 手帳を配布へ
        NHK 5月8日
少子化対策を検討している政府の有識者会議は、出産の知識が不十分なことが少子化の一因になっているとして、思春期以上の女性を対象に出産の適齢期など、妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を来年度から配布することを決めました。

政府は、森少子化担当大臣をトップとする有識者会議を設置して少子化対策について検討を進めています。
7日の会合では、出産の知識が不十分なことが少子化の一因になっているとして、出産の適齢期など、妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を、思春期以上の女性を対象に来年度から配布することを決めました。
一方で、こうした知識や情報は男性にも伝えるべきだという意見も出され、手帳に盛り込む具体的な内容などと併せて今年度中をめどに検討を進めることになりました。また、会合では自治体ごとに設置されている妊娠や出産に関する相談窓口の名称を統一したうえで、電話や電子メールによる相談を広く受け付けようにするとともに、助産師などが相談に応じる体制を強化する方針も決めました。

●女性手帳:妊娠・出産指南 政府来年度から配布へ
        毎日新聞 2013年05月07日
 ◇「女性に押しつけ過ぎ」批判も
 政府は7日、少子化対策を議論する作業部会「少子化危機突破タスクフォース」(主宰・森雅子少子化担当相)の会合を開き、若い世代の女性向けに妊娠・出産に関する知識や情報を盛り込んだ「生命(いのち)と女性の手帳」を作製し、10代から配布する方針を決めた。晩婚化や晩産化が進む中、若い世代に妊娠・出産について関心を持ってもらうのが狙い。6月に発表する「骨太の方針」に反映させ、来年度からの配布を目指す。
これに対し、女性団体などからは「妊娠・出産を女性だけの問題のように扱っている」など批判の声が上がっている。

 日本産科婦人科学会の調査では、2008年に不妊治療を受けた患者は30代後半が中心だが、妊娠数は35歳を境に減少。出産率は32歳から下がり始め、流産率は逆に上昇することが分かっている。
 こうした状況を受け、会合では早い時期に妊娠・出産について正しい知識を身につけてもらうことが、将来的に希望する家族の形成に効果的との認識で一致。森少子化担当相は同日、会見で「年をとってからの妊娠が非常に難しいことや、胎児と母体にリスクが高いことも知識として広まっていない。中高生くらいから知識を広め、女性が自分のライフステージを選択、設計できるようにすべきだ」と説明した。

 これに対し、昨年、交流サイトのフェイスブック上で“結党”した女性市民グループ「全日本おばちゃん党」(党員約2100人)は同日、「なんでもかんでも女性に押しつけすぎ」などとする声明を発表。同党代表代行の谷口真由美・大阪国際大准教授は「女性、男性、性的少数者を含めた全員ではなく女性だけが対象なのはおかしい。出産だけを女の価値とする価値観が透けている。成長戦略のための女性活用と言いながら『育休3年』など安倍政権の女性政策はことごとくチグハグで、女性を働けない方向に持っていくものばかり。安倍さんの頭の中の『女性』が現実とズレている」と指摘する。【山崎友記子、大迫麻記子、藤田祐子】

    ●全日本おばちゃん党     全日本おばちゃん党
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【『女性手帳』導入案に関する声明】
   【『女性手帳』導入案に関する声明】
「安倍内閣が6月に発表する『骨太の方針』で、女性を対象に10代から身体のメカニズムや将来設計について啓発する『女性手帳(仮称)』の導入を検討していることがわかった」、と産経新聞が報じました(5月5日付)。
全日本おばちゃん党は、この動きに【危機感・性差別感】を持ち、ここに声明を発表します。

なお、全日本おばちゃん党はポリシーである「はっさく」も「腹太の方針」も大阪弁で発表していることから、今回も大阪弁にしました。
方言はおばちゃんの生活に身近で なおかつ、やさしい言葉遣いだと思っていますので、「はっさく」「腹太」同様に、皆さまも各方言にて解釈して頂きたいと存じます。

そもそも、おばちゃんらは何で「女性」だけに手帳つくる気になりはったんか聞きたいのですわ。
まさかとは思いますが…「女性手帳」だけを創ろうなんて考えてるわけちゃいますよね?「男女共同参画」とか「男女平等」とかいうて、女性への暴力の取り組みとか、女性が生きていくために必要なことをしてたら、「女性だけにするのは不公平や」て言うてはった安倍さんですから、当然「男性手帳」も準備中やねんなと思ってます。
さらに当然、セクシャルマイノリティ向けの手帳も用意してはりますよね?身体のことを知ることは誰にとっても大切なことですもん。それとも、面倒くさいことやしんどいことを、私ら女性にだけ押し付けようと…なんて思ってはりますのんか?

「男性手帳」、まだ発表になってませんけど、きっとこんな内容なんでしょうな?
「性行為の際は、愛情と思いやりと慈しみの気持ちをもちましょう。
性行為は、子どもを授かるためだけにするものではありませんので、男性は避妊の方法をしっかりと勉強し、子どもを産むことができない事情があるときは、積極的に避妊に協力をしましょう。
また、女性が子どもを産むときには決して女性の邪魔にならないように、決して負担にならないように、安心・安全に出産できるように努めなければなりません。
女性の負担を少しでも軽減するために、家庭内においては家事・育児を応分に負担することはもとより、社会の宝である子どもを産んでくださる女性のために、あらゆる環境整備に全力を尽くすことが男性には求められています。」

おばちゃんらは、・・・・・・(略)・・・

2013年5月7日 全日本おばちゃん党


●「30代までに出産・結婚、望ましい」 内閣府「女性手帳」にネットで非難轟々
      j-cast 2013/5/ 8
・・・・・・(略)・・・「日本の非正規雇用者の男性や収入の低い男性は、アメリカ、フランス、スウェーデンよりも大幅に結婚・同棲経験率が低い。経済基盤の弱い者がカップル形成を特に送りにくいのがわが国である」
こうしたことを踏まえてか、産経新聞の報道には「内閣府は経済事情などを理由になかなか結婚に踏み切れない状況の改善にも取り組む方針で、新婚夫婦への大胆な財政支援に乗り出す」とも書かれているが、「これをきちんとやれば、手帳は必要ない」と「手帳」に対する疑問は残る。ネットでは「女性」=「子どもを産むもの」として一律に手帳を配布することは、セクシャルマイノリティや、生殖機能を失った人などのことを考えていないとの反発も出ている。


【キレた女性たちのコメントまとめ】
政府が打ち出した少子化対策「女性手帳」が安定のドン引き! NEVER
http://matome.naver.jp/odai/2136776906664752501

女性手帳 のナンセンスぶりについて - Togetter
http://togetter.com/li/498080

残念な政府が考えた少子化対策は「女性手帳」 - Togetter
http://togetter.com/li/498063

【がジェット通信】
「女性手帳」についてデミセクシャルが感じること
http://getnews.jp/archives/334830

●少子化対策「女性手帳」 「大きなお世話」反発拡大
            (2013年5月9日) 中日新聞
■若い出産、国が「指導」 
 政府の少子化対策として導入が検討されている「生命(いのち)と女性の手帳」(女性手帳)は、女性の評判がすこぶる悪い。若い女性に高齢出産の危険性などを認識させることで少子化への歯止めを狙っているが、国が女性に対し、事実上、早く出産しろとプレッシャーをかけるようなやり方に問題はないのか。 (中山洋子、出田阿生)
 「連休明け早々、嫌な気持ちになった」。東京を本拠とする国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長で弁護士の伊藤和子氏は「女性手帳」に対し、こんな感想を語った。

■上から目線  
 「少子化の原因は女性たちの意識にあるとでも言わんばかり。国の『上から目線』がにじむ。何歳で結婚しようが国にとやかく言われることではない。産み育てづらい社会の問題なのに、それを棚上げして、国民の生き方のモデルを提唱すること自体、全体主義的でぞっとする」と批判した。
政府の「少子化危機突破タスクフォース」を主宰する森雅子少子化担当相=東京・永田町で
 女性手帳は、少子化対策を議論する政府の作業部会「少子化危機突破タスクフォース」(主宰・森雅子少子化担当相、座長・佐藤博樹東大大学院教授)の7日の会合で議論された。大きな異論はなかったといい、導入の方向に走りだしている。

 どんな内容なのか。なぜ「手帳」が少子化対策につながるのか。
 これまでの議論によると、手帳によって、若い女性に対して、妊娠、出産の適齢期など医学的な知識、情報を認識してもらうのだという。「正しい認識」を持てば、現在の晩婚化、晩産化傾向に歯止めがかかるのではないかという狙いがある。高校、大学入学時、成人式、子宮頸(けい)がんワクチンの接種時などに配る方向で検討されており、このままだと2014年度からの導入になりそうだ。
 有識者による作業部会のメンバーは男性8人、女性7人の計15人。女性メンバーからも反対論はなかったが、国が若い時期の出産を「啓発」するやり方に対し、女性には嫌な気持ちを持つ人もいる。

 それは、なぜ、女性だけなのか、なぜ、国が出産という個人の選択に事実上口を出すのかという疑問があるからだ。ツイッターなどでは「大きなお世話だ」「産まないのではなく産めない事情がある」など批判の声が急速に広がっている。戦前の「産めよ増やせよ」のイメージにもつながっている部分がある。

 内閣府は「個人の選択に国が介入するつもりはない。女性手帳だけではなく、男性向けの啓発活動も検討する」と説明しているが、これだけ反発を受けて、国民の理解は得られるのか。
 政府が「女性手帳」にこだわる背景には、もちろん、深刻な少子高齢化への危機感がある。総務省の人口推計(4月1日時点)では15歳未満の子どもの数は32年連続で減少。12年版高齢社会白書は60年には75歳以上が子どもの約3倍になる超高齢化社会の到来を予測している。

 一方、第一子を産む母親の平均年齢も右肩上がりで、1975年当時25.7歳だったのが、11年の人口動態統計では30.1歳となり、初めて30歳を超えた。婚姻件数も戦後最少を記録している。
 安倍晋三首相は4月の参院予算委員会の答弁で低い出生率について「要因の一つに晩婚化がある。その傾向を反転していく必要がある」と強調した。現在よりも早く結婚してもらい、早く子どもを産んでもらうという発想で子どもの数を増やそうとしているわけだ。

 では、政府がやろうとしていることは、まったくの的外れなのか。
 不妊治療を受けた患者を対象にした日本産科婦人科学会の調査結果では、35歳を境に妊娠率が減少。逆に流産率は32歳ごろから上昇していた。そうした事実を国民に伝えるのは悪いこととは言えない。
 生殖医療に詳しい産婦人科医の石原理・埼玉医大教授は「手帳の対象や内容などは分からないが、新たな取り組みをすることは、何もしないよりはいいと思う」と指摘。政府の取り組みを一定評価する。

■環境整備が先
 ただ、仮に「女性手帳」で晩婚化や晩産化について啓発しても、出生率をただちに引き上げ、少子化解消につながるとは限らない。むしろ、大切なのは出産しやすい環境を整えることの方であり、「手帳」を配布すればなんとかなるというやり方は短絡的ではないか。

 欧州でも晩婚化、晩産化の傾向は強いが、出生率が上向いている国もある。例えばスウェーデン。35歳以上の出産は21.5%(07年)で日本の21%(08年)とほぼ同じだが、出生率は1.9で、日本の1.4を上回っている(世界保健機関、10年)。晩産化の中でも出生率を上げるヒントは、結婚しなければ子どもを産みにくい現状を見直すことにある。

 石原教授は「確実なのは、未婚女性の出産が増えた国では出生率が上がっているということ」と指摘する。
 フランスでは行政が婚姻形態を問わず出産や育児を支援したところ、93年に1.66まで落ち込んだ出生率が07年に1.98まで回復。06年には未婚での出産が全体の半数超になった。婚外子差別があり、未婚での出産が2%にとどまる日本とは対照的だ。

 加えて、日本の産科医不足は深刻化し、保育所の待機児童問題もなかなか解消されない。妊娠・出産を機に仕事を辞めざるを得ないケースはまだまだある。ライターの北原みのりさんは「子どもを産み育てにくい社会の壁を何とかするのが先だろう。出産に不安を抱く女性も多いのに、安心して産める環境の整備はそっちのけで女性手帳とは…」と疑問を示す。

 出生率を向上させる方法はいろいろあるのに、手帳によって早い時期の結婚と出産を指導するやり方に対し、女性には強い抵抗感があるわけで、北原さんは「政府が女性に少子化の責任を押し付けて、若い時にどんどん産めと脅しているようなものだ」と批判する。

 また若い時から早い時期の結婚と出産が「正しいこと」と指導され続けた場合、未婚女性、出産しない女性が「正しくない存在」という誤った印象を与え、ひいては差別を助長する可能性もある。

 もっと怖い見方を示す識者もいる。浅井春夫・立教大教授(児童福祉)は「手帳は少子化対策などではない。男女の役割分担を固定化させる一環という視点を持った方がいい」と警告する。「国を強くするため、女性はまず、子どもをたくさん産み、家庭を守るべきだという保守的な女性像を、手帳によって設定しているようにみえる」
 政府の意図はともかく、ここまで勘ぐられる「女性手帳」に、どこまで効果があるのか。


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