このブログでも、政府が予定した「女性手帳」についは非難的にまとめた(5月11日)。
昨日の有識者会議で、配布はやめる方向にしたらしい。
経過を報道で見る。
★5月5日(産経)
「政府が、女性を対象に10代から身体のメカニズムや将来設計について啓発する「女性手帳」(仮称)の導入を検討していることが4日、わかった」
★5月22日(朝日新聞)
「少子化対策として若い女性を中心に配布を検討してきた『生命(いのち)と女性の手帳』(仮称)について、男性も含めた希望者だけに配る方針を固めた。
妊娠や出産の知識を広めるねらいだが、『女性の生き方に国が口を出すのか』といった批判を受け、対象を限定することにした。」
★5月28日(NHK)
「批判が相次いでいることなどから、当面、配布を見送る形で報告書を取りまとめる方針を固めました。」
というように、当面は配布せず。
しかし、政府の骨太の方針に盛り込む予定だったこと、安倍内閣も重視したこと等からすれば、
参議院選挙後に形を変えて復活もあり得るかも、とも思える。
●人気ブログランキング = 今、2位あたり
★携帯でも クリック可にしました →→ 携帯でまずここをクリックし、次に出てくる「リンク先に移動」をクリックして頂くだけで「10点」 ←←
★パソコンは こちらをクリックしてください →→←←このワン・クリックだけで10点
このブログの 2013年5月11日のエントリー ⇒ ◆「女性手帳」 配布 内閣府/少子化対策「30代までに出産・結婚、望ましい」/「大きなお世話」反発拡大
政府が、思春期以上の女性を対象に出産の適齢期など、妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を来年度から配布することを決めた。
「女性手帳」。
初発は、5月5日の産経の報道らしい。
政府は、「医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し『晩婚・晩産』に歯止めをかける狙いで、
6月に発表する「骨太の方針」に盛り込む方向で調整している。」(産経)
しかし、非難が続出。
そんなことで、政府の会議の様子を見た後、報道とともに、「反対声明」などを紹介する。
これらの動きを見ていても、今は、ネットの時代なんだと感じる。
|
●政府、10代から「女性手帳」導入 骨太の方針で調整 何歳で妊娠? 人生設計考えて
産経 2013.5.5 11:00 ]
政府が、女性を対象に10代から身体のメカニズムや将来設計について啓発する「女性手帳」(仮称)の導入を検討していることが4日、わかった。
医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいことなどを周知し「晩婚・晩産」に歯止めをかける狙いだ。6月に発表する「骨太の方針」に盛り込む方向で調整している。
政府は少子化対策として産休や育休を取りやすくする制度改正、子育て世帯中心の施策を優先してきたが、晩婚・晩産化対策も少子化解消には必須と判断した。
安倍晋三内閣はこれを重点政策に位置づけており、骨太の方針に反映させた上で、来年度予算に調査費などを計上したい考え。
内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(議長・森雅子少子化担当相)は、妊娠判明時点で自治体が女性に配布する「母子健康手帳」よりも、早い段階からの「女性手帳」の導入が効果的とする見解を近く取りまとめる。子宮頸がん予防ワクチンを接種する10代前半時点や、20歳の子宮がん検診受診時点での一斉配布を想定している。
医学的に妊娠・出産には適齢期(25~35歳前後)があるとされる。加齢に伴って卵子が老化し、30代後半からは妊娠しにくくなったり、不妊治療の効果が得られにくくなることも明らかになっているが、学校教育で取り上げられていない。
女性手帳では、30歳半ばまでの妊娠・出産を推奨し、結婚や出産を人生設計の中に組み込む重要性を指摘する。ただ、個人の選択もあるため、啓発レベルにとどめる。内閣府はまた、経済事情などを理由になかなか結婚に踏み切れない状況の改善にも取り組む方針で、新婚夫婦への大胆な財政支援に乗り出す。
日本産科婦人科学会の生殖補助医療(高度不妊治療など)の年齢別結果(平成22年)によると、35歳前後で20%台前半だった妊娠率は40歳で15%を下回った
●【社説】「女性手帳」 育児支援がチグハグだ
東京 2013年5月20日
少子化対策として政府の作業部会が「生命(いのち)と女性の手帳(女性手帳)」の配布を検討中だ。他にやるべきことがあるのではないか。「育休三年」への取り組みといい、対策の発想がズレている。
少子化対策を議論する内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(主宰・森雅子少子化担当相)が、若い女性向けに妊娠・出産に関する知識を身につけ将来設計に役立ててもらおうと、女性手帳の配布を検討している。
妊娠適齢期などの知識や妊娠・出産支援情報の掲載、自分の健康データなどを記録できるという。
作業部会は少子化の原因のひとつに晩婚・晩産化、非婚化を挙げる。これまでの対策は、保育所整備など出産後の支援が主で、結婚や出産を支える取り組みが弱かったとの認識がある。
妊娠や出産についての知識を得ることも大切だろう。だが、出産をするかどうか、いつするかは個人の自由だ。政府が「早く結婚して出産を」と一方的に女性に押しつけるとしたら理解しがたい。
長く政権を担う自民党は自らの無策を棚に上げ、少子化を女性の責任にしているように見える。
参院厚生労働委でも野党から「一歩間違えば『女は子どもを産む機械』となりかねない」と指摘されたが、そうした危うさを政権はまず自覚すべきだ。
手帳の名称も違和感がある。本来、結婚から妊娠・出産、そこから続く子育てまで、どうするかは男女の問題である。
安倍晋三首相は子育て支援として「育児休業三年」を打ち出したが、子育ては女性の役割との考えがベースにある。子育て家庭を社会で支える発想が求められていることを忘れるべきでない。
晩婚・晩産化や非婚化の大きな原因は社会にある。子どもを産もうとしたとき壁が立ちはだかる。女性が一人目を産むには結婚できるかどうかが問題だ。二人目を産むには夫の子育て参加がカギを握る。三人目を産むには教育費など経済力が要る。
若い世代は非正規社員が増え低賃金で雇用も不安定では結婚もままならない。夫の長時間勤務を是正し夫婦で子育てできる職場環境はなかなか整わない。教育への公的な支出を増やし家計への負担を減らす支援も不十分だ。
子どもを「産まない」のではなく「産めない」社会こそが問題なのだ。その解決に腰を据えて取り組まないと次世代は育たない。
●【暮らし】少子化対策で妊娠、出産の啓発 「女性手帳」に批判相次ぐ
中日 2013年5月23日
「女性手帳」に反対するグループが開いた会合=東京都文京区で
内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」が、少子化対策の一つとして提案した「生命(いのち)と女性の手帳(仮称)」。妊娠や出産にまつわる知識を知らせる目的で、来年度からの配布を目指す。一方、専門家や女性たちからは「女性の自己決定権を侵害する」などと批判が相次いでいる。このため政府は、男性を含めた希望者に限定して配布する方針を固めた。(稲熊美樹)
内閣府によると、検討されている「女性手帳」は二部構成。妊娠適齢期など妊娠や出産に関する知識や、妊娠、出産の支援に関する情報を載せる「啓発・学習」と、健康データなどを書き記す「記録」の機能を盛り込む。高校・大学の入学時や成人式など、複数回の配布を想定している。
タスクフォースのメンバーの一人、国立成育医療研究センター不妊診療科の斉藤英和医長は、不妊治療に長年携わってきた。受診する夫婦の多くは四十歳前後。「年を取ると妊娠しづらくなるなんて知らなかった」と、後悔する患者を多く見てきた。医学雑誌「Human Reproduction」に今年掲載された調査によると、日本は他の先進国に比べ、妊娠に関する知識の習得度は低い。
こうした現状を踏まえ、斉藤医長は「男性にも女性にも、体には妊娠適齢期がある。正しい医学的情報を知り、どう人生を設計するかのヒントにしてほしい。産むか産まないかの選択は、情報を知った上ですればいい」と考えている。そこで生まれたのが「女性手帳」の案。女性だけでなく、男性にも同じように知識は必要で、対象を女性だけに限定する意図ではないという。
斉藤医長は「現代は若いうちに産み育てることが難しく、知識を普及しただけで子どもが増えるわけではない」と強調。待機児童の解消や、長時間労働や非正規雇用といった働き方の是正など、社会基盤の整備や、学校での性教育の重要性も指摘する。
◇
専門家らからは異論が相次いでいる。インターネット上で関西地方の女性を中心に結成した「全日本おばちゃん党」は、「身体や心のコンディションや経済的な事情で、産みたくても産まれへん人もいっぱいいてはりますやん」などと声明を発表。産科医療不足や男性の育休取得者が増えない現状も、改善を求めている。
十九日には東京都内で「『女性手帳』に反対する緊急ミーティング」が開かれた。人工妊娠中絶を罰する刑法の条文撤廃を求める「SOSHIREN女(わたし)のからだから」は、「産むこと、産まないことの選択や、自らの性/生をどのように生きるかを選択する女性の自己決定権を侵害する」と、反対を表明。
参加した約六十人からも「夫婦と子どもという伝統的な家族像の押しつけだ」「入社後すぐ、実績もないうちに育児休業を取るのは現状では無理」「教育費が高く、共働きでも収入が足りないから産まない」「セクシュアルマイノリティー(性的少数者)への配慮がない」「婚外子差別が残っていて産みづらい人もいる」などと意見が出た。
同志社大大学院グローバル・スタディーズ研究科の荻野美穂教授は「第二次大戦中の『産めよ殖やせよ』政策を思い起こさせる」と話す。「今回はうたい文句が『卵子老化』に変わっただけ」と分析。出生前診断の技術進歩も併せて考えると、政府による知識の普及は「単なる善意ではなく押し付けだ」と批判する。
来年度からは高校二年生を対象に妊娠可能性の教育が始まる予定。性教育に詳しい産婦人科医の河野美代子さんによると「日本ではセックスさせないための教育ばかりがされてきた」という。体の仕組みをきちんと教える正確な性教育があれば「わざわざ手帳を作る必要はない」と話す。
●女性手帳」配布、希望者のみに 内閣府、批判受け転換
朝日 2013年5月22日11時30分
【見市紀世子】内閣府は、少子化対策として若い女性を中心に配布を検討してきた「生命(いのち)と女性の手帳」(仮称)について、男性も含めた希望者だけに配る方針を固めた。妊娠や出産の知識を広めるねらいだが、「女性の生き方に国が口を出すのか」といった批判を受け、対象を限定することにした。
手帳のアイデアは、森雅子少子化相の下に設けられた有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」で浮上。
30代後半になると一般的に女性は妊娠しにくくなるといった医学的な知識や自治体の支援情報を盛り込み、自身の予防接種なども記録できるようにする。
● 不評の「女性手帳」当面配布見送りへ
NHK 5月28日
少子化対策を検討している政府の有識者会議は、思春期以上の女性に妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を配布することに「出産に国が介入すべきでない」などと批判が相次いでいることなどから、当面、配布を見送る形で報告書を取りまとめる方針を固めました。
少子化対策を検討している政府の有識者会議は、閣僚会議に提出する報告書で、出産の知識が不十分なことが少子化の一因になっているとして、思春期以上の女性を対象に出産の適齢期など、妊娠や出産に関する知識や情報などを盛り込んだ手帳を来年度から配布することにしていました。
これに対して、「出産は、個人の生き方に関わるもので、国が介入すべきでない」という批判や「女性だけに配布するのはおかしい」という指摘が相次いで寄せられたほか、国会審議の中でも、野党側から批判が出されました。
有識者会議はこうした批判などを踏まえ、手帳については具体的に触れず、当面、配布を見送る形で報告書をまとめる方針を固めました。
そして、今後は研究班を設けて、妊娠や出産に関する知識を広める方策などについて検討を続けたいとしています。
| Trackback ( )
|
|
|
|
|
|