「外国人実習生」という仮装資格にかかわって失踪した実習生の問題を先日確認した(※)。
そこで、背景の今年の状況について確認。
「実習」問題を放置したまま、安倍政権の今回の強硬な方針の裏に経済界がどう関与しているのか、関与していないのか。今年就任した経団連会長の出身が「日立」なので、その関係を見てみた。
★≪毎日 2018年5月31日/経団連 新会長「政権に直言」 日立会長・中西氏、きょう就任 協調路線は堅持/成長戦略の加速や財政健全化に向け、安倍晋三政権に厳しい注文も突きつけられるか手腕が問われそうだ。会長の任期は2期4年。日立から経団連会長が誕生するのは初めて≫
★≪bizjournal 2018.06.07/中西・日立会長、安倍首相を批判…企業への賃上げ介入に「賃金は労使で決めるもの」と不快感≫
★≪朝日 2018年10月25日/「不適正と言われ、困った」技能実習で疑惑の日立会長/中西会長は「経団連の意見を相当反映した方向で、決めていっていただいている」と評価。・・入管法改正案が成立し、来年4月から外国人の新たな在留資格が導入されることに期待を示した≫
明らかに経済界が底流にある政権の政策。・・ということで、上記3件のほか、以下に経団連会長と出身の日立の労働問題を比べてみた。最後には、「日本での人身取引実態」を懸念する米国務省人身取引監視対策部のリポートがらみ。
なお、今朝の気温は7度。冷えが少し緩んだ。ウォーキングは快適。昨日11月26日の私のブログへのネットのアクセス情報は「閲覧数4,485 訪問者数1,338」。
●解雇の実習生、続々帰国 日立の計画通らず在留資格失う/東京 2018年11月19日
●日立製作所 実習計画通らず解雇、帰国 山口・事業所のフィリピン人99人/毎日 2018年11月22日
●【日本】日立製作所、外国人技能実習生に解雇通知。日本にも広がる人権マネジメントの重要性
CSRコミュニケート Sustainable Japan 2018年11月05日/日本企業はこれまで「国内には人権問題はない」として、人権問題を軽視してきた。
日本での人身取引実態として、
●【国際】米国務省、2017年版人身取引報告書発表。日本は最高位の評価取れず/CSRコミュニケート Sustainable Japan 2017年07月20日 /米国務省人身取引監視対策部は、2017年版の「人身取引報告書」を発表。/日本での人身取引実態については、外国人技能実習制度を含むアジア人労働者における強制労働、ナイトクラブや売春などで外国人女性を働かせる強制労働、援助交際や「JKビジネス」などの慣行、国際結婚で生まれた少女の性ビジネスへの関与などを問題視≫
(※ 11月24日ブログ ⇒ ◆失踪実習生の聴取票開示 週130時間労働 月収9万円(東京) 外国人実習生の平均時給450円 最低賃金を超えているのは 15%以下 /法務省調査の分析結果 立憲民主党) )
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●経団連 新会長「政権に直言」 日立会長・中西氏、きょう就任 協調路線は堅持
毎日 2018年5月31日
経団連は、31日に開く総会で日立製作所会長の中西宏明氏(72)が会長に就任し、新体制がスタートする。会長就任を前に毎日新聞などのインタビューに応じた中西氏は、政治と経済界の協調路線を堅持する姿勢を示しつつも、必要に応じて政権に直言する考えを示した。成長戦略の加速や財政健全化に向け、安倍晋三政権に厳しい注文も突きつけられるか手腕が問われそうだ。【横山三加子】
会長の任期は2期4年。日立から経団連会長が誕生するのは初めてだ。中西氏はインタビューで、円高是正な…
●中西・日立会長、安倍首相を批判…企業への賃上げ介入に「賃金は労使で決めるもの」と不快感 bizjournal 2018.06.07
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●「不適正と言われ、困った」技能実習で疑惑の日立会長
朝日 2018年10月25日 内藤尚志
・・・(略)・・・ 一方、政府が進める外国人労働者の受け入れ拡大策について、中西氏は24日の会見で「経団連の意見を相当反映した方向で、決めていっていただいている」と評価。この日始まった臨時国会で出入国管理法(入管法)改正案が成立し、来年4月から外国人の新たな在留資格が導入されることに期待を示した。
日立などの大企業でも技能実習制度をめぐるトラブルが相次ぐなか、新在留資格を導入するのは拙速ではないかとの質問には、「拙速だと思わない。半年かけて議論すればよいのでは」「制度は仮説を立ててつくって、試して、直していく。そのぐらいのスピードでやらないと日本は変わっていかない」と反論した。(内藤尚志)
●解雇の実習生、続々帰国 日立の計画通らず在留資格失う
東京 2018年11月19日 夕刊
日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)のフィリピン人技能実習生が実習期間を残し、相次ぎ解雇されている。日立の実習計画が認可されず、在留資格がなくなったことが理由。元実習生は、関係機関の柔軟な対応がないまま帰国に追い込まれており、現行制度を問題視する声が上がる。
これまでに解雇されたのは九十九人。十八日には二十人がフィリピンに戻った。ある元実習生は「日立は一流の企業だと思っていた。できれば実習を続けたかった」と嘆く。
笠戸事業所では鉄道の車両を製造。九十九人は三年間で、配電盤や制御盤など電気機器を組み立てる技術を習得する予定だった。
だが法務省と監督機関の外国人技能実習機構が七月、目的の技能を学べない作業に従事させられている疑いがあるとして事業所を検査。日立が機構に出した実習計画が認可されない状況が続いている。九十九人は実習期間が一~二年ほど残っていたが、「技能実習」の在留資格の期限が更新できず、日立が解雇した。
広島市の労組「スクラムユニオン・ひろしま」によると、電線を束ねたり、窓枠を運んだりする雑務ばかりだったと証言する実習生がいるという。
だが日立は「実習計画に沿って適切に実習した」と強調。「計画が認められれば、また働いてもらいたい」としている。実習が中止になれば、元実習生に残りの期間の賃金補償をする。
国士舘大の鈴木江理子教授(労働社会学)は「本人の責任ではなく実習が続けられなくなった場合、現行制度では実習生を保護する規定が不十分だ」と指摘した。
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◆「もっと働きたかった」20代男性、2年残し比へ
「もっと日本で働きたかった」。笠戸事業所で技能実習生として働き、約二年を残し解雇されたフィリピン人の二十代男性が十八日に帰国した。
実家はコメ農家で、十代後半で父が亡くなってからは、一家の大黒柱として働き家計を支えた。妹の学費も払い続けた。
「給料はフィリピンの三倍。日本で働きたい」と、訓練学校に入学。日本語から箸の持ち方まで勉強し、配電盤の仕事をするつもりで来日した。だが割り当てられたのは、本来の実習とは思えない新幹線の天井などの組み立て。疑問に感じる日々が続いた。
職場の日本人の同僚と仕事帰りに一緒にビールを飲み、日本料理を振る舞ってもらったこともある。帰国が決まると、同僚は「寂しいが自分にはどうしようもない。また戻ってきて」と告げたという。
支援した労組「スクラムユニオン・ひろしま」によると、実習生の基本賃金は月約十三万五千円で残業代が加わる。男性は月給の七割を母に送金。「お金はいつもなかった。目玉焼きやゆで卵をおかずにして食べた」という。「本当はもっと日本で仕事を続けたい」と繰り返した。
<外国人技能実習制度> 外国人を企業などが受け入れ、習得した技術を母国の経済発展に役立ててもらう制度。1993年に創設され、期間は最長5年間。対象となる職種は16日時点で農業、建設、食品製造、介護など80に上る。6月末時点での実習生は約28万人でベトナム、中国、フィリピンの順に多い。時間外労働や賃金不払いなどの問題点が指摘されている。
●日立製作所 実習計画通らず解雇、帰国 山口・事業所のフィリピン人99人
毎日 2018年11月22日
日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)のフィリピン人技能実習生が実習期間を残し、相次ぎ解雇されている。日立の実習計画が認可されず、在留資格がなくなったことが理由。元実習生は関係機関の柔軟な対応がないまま帰国に追い込まれており、現行制度を問題視する声が上がる。
法務省「技能学べぬ疑い」 専門家「保護規定が不十分」
これまでに解雇されたのは99人。18日には滞在期限が19日に迫った20人がフィリピンに戻った。下松市の寮から福岡空港にバスで出発。空港には支援者が駆け付け「お元気で」と声を掛け合い、飛行機に乗り込んだ。・・・(略)・・・
●【日本】日立製作所、外国人技能実習生に解雇通知。日本にも広がる人権マネジメントの重要性
CSRコミュニケート Sustainable Japan 2018年11月05日
・・・(略)・・・外国人の単純労働では、強制労働等の人権リスクが潜んでおり、今後日本企業でも国内での人権リスクマネジメントが必要となってくる。
日本では現在、外国人の単純労働は原則禁止されている。例外的に存在しているのは、まず、大学、専門学校、日本語学校等の留学生。留学ビザ保有者は就労禁止が原則だが、資格外活動許可を受けた場合は一定の範囲内で就労が認められるため、日本でも留学生が就労ケースが一般化している。もう一方は、外国人技能実習。技能実習ビザ保有者は、政府の認定・管理の下、特定の技能の習得が得られる業務のみが認められるが、日本企業では「人手不足」理由で技能実習制度に着目するケースが増えており、技能習得が叶わない「単純労働」に違法に従事させる事態や、募集時点の通知業務と実際の業務が異なるケースが横行している。
・・・(略)・・・
経団連会長を務める中西宏明・日立製作所会長は、10月24日の定例記者会見で「不適正なものはないという認識でやっていたところが、不適正だと言われて困ったなと。雇用には責任が伴うから、解雇通告を出したが、このくらい(の補償)は、と決めたのだと思う」(朝日新聞)と表明。トップが問題を強く認識していなかったことを堂々と示してしまった。
・・・(略)・・・
法務省が10月12日に臨時国会に提出する入管難民法改正案では、一定の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」と、熟練した技能が必要な業務に就く「特定技能2号」の2つの在留資格を新設し、外国人労働者の拡大に道を開く。
受け入れ分野は「人材を確保することが困難な状況にあるため,外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」とし、これまで原則禁止だった単純労働分野となる可能性が高い。
日本の人口減少の中で、外国人労働の受け入れを拡大する必要性は増加していく。日本企業はこれまで「国内には人権問題はない」として、人権問題を軽視してきた。一方、外国人労働者が国内でのサプライチェーンにも浸透してくる中、企業には、サプライチェーン上全体で適切に外国人労働者を扱う人権マネジメントが求められていく。
◆日本での人身取引実態
●【国際】米国務省、2017年版人身取引報告書発表。日本は最高位の評価取れず
CSRコミュニケート Sustainable Japan 2017年07月20日
米国務省人身取引監視対策部は6月27日、2017年版の「人身取引報告書」を発表した。・・・(略)・・・
報告書の中で、日本は上から2番目の「Tier 2」と判定された。日本での人身取引実態については、外国人技能実習制度を含むアジア人労働者における強制労働、ナイトクラブや売春などで外国人女性を働かせる強制労働、援助交際や「JKビジネス」などの慣行、国際結婚で生まれた少女の性ビジネスへの関与などを問題視した。日本政府の取組では大きな努力があると一定の評価をしながらも、これらの実態が続いていることで、「Tier 1」にはならなかった。日本政府は2014年に官房長官を議長とする「人身取引対策推進会議」を設立し、国内で発生した売春強要や強制労働等の人身取引に関する年次報告を行っている。今年5月に発表された昨年の状況では、国内で保護された人は50人。このうち日本人が25人と過去最多だった。
「Tier 1」の評価を得た国は全部で36ヶ国。米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクなど欧米先進国は全てこのカテゴリーに入った。また、韓国、台湾、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、コロンビア、チリなども「Tier 1」だった。
一方、最低の「Tier 3」と評価された国は、中国、北朝鮮、ロシア、ベラルーシ、イラン、ベネズエラなどの他、ブルンジ、スーダン、南スーダン、ギニア、マリ、赤道ギニア、エリトリア、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、モーリタニアなどアフリカの国々が多く、全部で23ヶ国。リビア、イエメン、ソマリアの3カ国は「特別地域」として、欄外の評価となった。
【報告書】Trafficking in Person Report 2017株式会社ニューラル サステナビリティ研究所 [原文はこちら]2017/07/13
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