【撮影地】 静岡県賀茂郡松崎町(3分咲き、2009.3月撮影)
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先に書いたが「西行桜」は、桜の老木のもとで眠る西行の夢の中に、桜の精が老翁の姿で現れて舞を舞う能だ。
世阿弥の『風姿花伝』によれば、
「花なくば面白き所あるまじ。およそ、老人の立振舞、老いぬればとて、腰・膝をかがめ、身をつむれば、花失せて、古様に見ゆるなり。さる程に、面白き所稀なり。ただ、大かた、いかにもいかにもそぞろかで、しとやかに立ち振舞ふべし。・・・・・ただ、老木に花の咲かんがごとし」
という趣の舞。
世阿弥は、この能によって、いったい何を人々に見せようとしたのだろうか。
世俗を捨てた西行は、自然のうちに宇宙の姿を見ようとした。それが西行にとって「草木国土悉皆成仏」の世界なのだろう。
老いぼれた翁が、自然の恵み、花の美しさを称えて舞を舞う。花が艶やかに息づく春の夜の、桜の化身の舞。
「花の下にて春死なん 」と願った西行。世阿弥は自分の独自の芸術世界を、西行のこの夢で表そうとしたのかもしれない。
・・・こんな不思議な印象の芸術的写真を撮れたなら、もうカメラを構えることなどないかもしれない。
ぼくはこの週末、散り行く桜の木の下で夜を明かす。はたして、桜の精は舞ってくれるのだろうか。
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