「きっとあの男は下着ドロボーだ」
その夜の英会話の授業のはじめに、アイルランドから来た若い英語教師はそう言った。
彼女の名前はメアラ・フリン。年齢23。同じアイルランドのフィアンセを追って日本へやってきて、英会話の先生をしている。
彼女の名前、「メアラ」というのはアイルランド語で「海」を意味するらしい。
一番最初の授業で、名前の意味について彼女はそう説明したのだが、ぼくら生徒のそれぞれの名前の日本語の意味を聞かれて困ってしまった。・・・「ミキ」なんて名前。なんて説明すればいいんだ?
さて、ご存知のように、英語に「敬語」や「オンナ言葉」というのは存在しない。厳密に言うと、アメリカ南部のティーンエイジャーの女の子たちが話す言葉は
・単語を省く。
・造語でしゃべる。
・きちんとした文章になっていない。
・脈略がない。
・話がどこに飛ぶか予測がつかない
・相手にわかるように話をしない。
という「オンナ言葉」以上の特徴があり、これはそのまま、ぼくの英語に、ひいてはぼくの文章にも当てはまっている。
・・・という話は置いておいて、英語には「オンナ言葉」が無いから、メアラの授業でのその会話を正確に日本語に訳して書くと次のようになる。
「昨夜、夜の一時ごろ、アパートに帰ったら、反対側のアパートに不審な男が立っていた」
「アーハー?」
「私のアパートの反対側には、若い日本人女性が住んでいるんだ」
「それで?」
「男はじっと、そのアパートの窓をみていた」
「・・・」
「きっとあの男は下着ドロボーだ」
「ということは、あなたは下着を盗ませたことが・・・そーりー。下着を盗んだ・・・こと?あるか?」
「ん?・・・普通の人なら、そんな時間にそんな場所にはいないだろう」
「その若い女の”愛人?”・・・じゃなくて、”恋人”かも・・・」
「いや、あきらかに変態だ。白い日本の着物を着て、あたまに白いバンデージ巻いてたし」
「ボンデージ?って、頭につけるんだっけ?」
「???」
いやあ、全然会話になっていない英語の会話を、そのまま日本語に訳して書くって難しい。
話を整理すると、こうだ。
・丑三つ時に彼女がフィアンセが待つ自分のアパートに帰宅した。
・彼女のアパートの反対側の建物の暗がりに、白い着物を着て頭に白い布を巻いた男らしき人が立っていた。
・男は、ゆらゆらと人間離れした動きをしていた。
・また、男がタバコでも吸っているように、その周りがぼっと時折光って見えた。
・その夜は、なま暖かい風が吹いていた。
・・・って、メアラ先生。それって、ひょっとしたらその男は下着ドロボーじゃなくて、幽霊じゃね?
>投稿: miki⇒tetujin様
>「しらねぇってこわくね??」と生徒さん達がいったかどうか。
> 各国幽霊スタイルって違うから~
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