【アフリカン・アメリカン】
オバマ上院議員(2007.02.15、「Barack OBAMA」)のエスニシティーを、現在日本ではこのように報道している。
初のアフリカ系アメリカ人(アフリカン・アメリカン)のアメリカ大統領になるかもしれない人物。
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「エスニシティー」や「民族」という用語は、使い方にすごく気を使わなくちゃいけない言葉だ。
オバマ上院議員について、僕が疑問に感じていること。それは、彼(のエスニシティー)をアフリカン・アメリカンと、アフリカン・アメリカンが感じるかということ。アメリカの、いわゆるアフリカン・アメリカンのマジョリティーが、彼のことをアフリカン・アメリカンと見なすかということだ。
アフリカン・アメリカン(African-American)とは、19世紀半ばの南北戦争以前にアフリカ(サハラ以南のブラックアフリカ)からアメリカに強制連行された黒人奴隷の子孫の呼称で、アフリカ北部のアラブ系のアフリカ人をルーツに持つものは含まないのが一般的らしい。オバマ上院議員の亡父はケニヤからの留学生であり、自らの意志でアメリカに来た人だ。少なくとも奴隷として(売られて)きたわけではない。
彼は、僕が前のエントリで取り上げた演説でも、、、
There is not a Black America and a White America and Latino America and Asian America -- there’s the United States of America.
黒人のアメリカ、白人のアメリカ、ラテン系のアメリカ、アジア系のアメリカなどはない。あるのはユナイテッドステーツのアメリカだ。We are one people, all of us pledging allegiance to the stars and stripes, all of us defending the United States of America.
われわれは一つの国民だ。みんな星条旗に忠誠を誓い、アメリカを守るのだ。
などと主張している。(このこと自体問題ではない。)
オバマ上院議員自身は、自分のエスニシティーをことさら強調してはいないことも事実のようだ。少ない資料で判断することは難しいが…支持者が彼をどう思うかはともかく…彼自身は少なくとも声高にアフリカン・アメリカンであると主張はしていないような気がする。これは、あまり特定のエスニシティーに依存しても、選挙には勝てない、少なくとも大統領選には勝てないことを自分でわかっているからだと思う。また、あまりそれを強調すると、大学卒、ロースクール修了(JD)の弁護士という肩書き(けっして貧しい階級とは言えない。)が選挙民に嫌われる可能性にも気づいているからだろう。
この人、頭がいい。