以下は、衆議院予算委員会会議録(平成17年2月15日)の抜粋である。印鑑証明書の有効期限短縮は、末尾の「通達」によるものであろう。
cf. 毎日新聞ニュース
○中塚委員 次に、今度は、またお配りした資料の次のページなんですが、商工ローンの取り立ての問題をやりたいというふうに思います。
商工ローンの取り立てなんですけれども、この商工ローンの取り立て自体に公正証書というものが大きくかかわっておりますので、金融担当大臣と法務大臣、そして国家公安委員長にもお越しをいただいておりますが、お三方中心に質疑をしてまいりたいというふうに思います。
これは、どういう被害が発生しているかというと、このお配りをした書類は、債務の弁済契約証書というのが一枚目、ナンバーでいくと四ですけれども、この四と次の五ページなんですが、この五ページと四ページは、重なって配られるわけですね。それで、四ページ目のこの契約書にサインをすると、下にカーボンコピーができるようになっていて、この債務の弁済契約証書をつくったと同時に公正証書作成の委任状までできるという仕組みになっているわけなんです。
たくさんの書類があるものだから、この債務者となる人あるいは連帯保証人となる人というのは、はっきり言って、たくさんの書類があってよくわからない。この契約を結ぶ債権者の方も、書類について一々説明をしないわけですね。ここにサインしてください、これは契約書ですとぱっとサインをさせる。後は、では今度は印鑑を貸してくださいということで、印鑑をその場で自分の手にとってぽんぽんと押していくわけなんです。
そうすると、債務弁済の契約書ができ上がると同時に公正証書の委任状までできてしまうわけですね。これで、返済が滞った瞬間に、この公正証書に基づいて、給与の差し押さえであるとか預金の差し押さえ等が行われていく。大変に今社会問題化しているところなわけなんです。裁判になっている例も多々あるわけなんです。
まず、金融担当大臣にお伺いをしたいのですが、こうやって契約のときに、はっきり言って、ちゃんと説明しないわけですね。最近は、このカーボンコピーはやめたというふうに言っている、この会社の方は。カーボンコピーによって公正証書の委嘱状をとることはやめたというふうに言っているんですが、ただ相変わらず、この書類が何かということを説明しないままサインしてくれと。例えば、契約書を逆向きにひっくり返して、公正証書の委任状であるということがわからないようにして書かせるというようなことはずっと続いている。印鑑をちょっと貸してくれと言われて、ぽんぽんとつくということもずっと行われているんですね。
やはりこれは、こういう債権債務の契約を結ぶとき、金銭の消費貸借契約を結ぶというときには、きっちりと説明をするというのは当然の話だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 今委員からは、十分な説明責任を果たすことは当然であるという御指摘がございました。
貸金業規制法上も、貸金業者は、利用者に対する十分な説明責任を確保するために、利用者に対して、その契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならないとされるとともに、保証人に対しても、保証契約及び貸付契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならないとされているところでございます。
また、公正証書作成委任状についても、利用者等がその内容を十分に理解している必要があることから、貸金業規制法上、貸し付けの金額あるいは利率等について、白紙の委任状を貸金業者が取得することは禁止されております。したがって、貸金業者は、公正証書作成委任状について、利用者等にその内容の説明を尽くすことが重要であると考えられます。
いずれにいたしましても、私ども金融庁といたしましては、法律に抵触する事実が認められた場合には、貸金業者に対して厳正に対処してまいりたいと考えております。
○中塚委員 ここに、書き込む前の契約書があるんですけれども、この契約書は、今皆さんにお配りしたのとはまたちょっと違って、限度付根保証承諾書というふうになっているんですね。限度付根保証承諾書兼金銭消費貸借契約証書、下に括弧で債務弁済公正証書作成嘱託委任状ということにもなっている。だから、これを、ここを書いてくれと言われた人は、根保証はさせられるわ、公正証書まで勝手につくらされるということになってしまう。今大臣御答弁になられましたけれども、まずはやはり、こういった一種の詐欺的なやり方、これをちゃんと取り締まる必要があるということだと思います。
国家公安委員長にお越しいただいておるわけなんですが、こうやってちゃんと説明もしない。大方の人は、公正証書によって差し押さえなんかが起こって初めて、自分が公正証書をつくっていた、つくらされていたということに気がつくのがほとんどなわけなんです。
そういった意味で、今、金融担当大臣からの御答弁も踏まえてなんですが、こういったやり方自体を検挙する等の方策はないのかということについて、お伺いをしたいと思います。
○村田国務大臣 今委員が御指摘になった契約証書の作成について、これが犯罪を構成するか否かについては、どのような文言で契約の相手方、契約者に説明がなされたか、説明がないというふうにおっしゃいましたけれども、個々具体的なケースにつきまして、当該証書の作成過程等々を個別に見てみないと、判断が大変難しいということでございますが、いずれにしましても、法と証拠に基づきまして判断していくべきではないか、こういうふうに考えております。
○中塚委員 法と証拠に基づいてということなんですが、制度の不備でこういったことがなかなか検挙できないということならば、制度を改正するのは国会の役目だというふうに思っておりますから、そのことはまたちゃんと取り組んでいきたいというふうに考えています。
次に、今度、公正証書について、法務大臣にお伺いしたいというふうに思います。
要は、公正証書も無効であるというふうな訴訟が起きて、その公正証書が無効である、今度、業者の方が慰謝料を払って和解するというふうな事例もたくさん出ておるんですが、もちろんこういった、ほとんど詐欺に近いようなやり方で書類をつくらせる、まずここで一番問題があると思います。だから、それをちゃんと取り締まるということは一番大事なことなんですけれども、ただ、私は、この話を聞いて、公正証書の作成ということについてももうちょっと厳しくやらなきゃいかぬのじゃないかというふうにも思うわけなんです。
公正証書、公証人制度。今、司法改革ということもおやりになっているわけなんですが、予防司法としての公証人制度のあり方ということも含めてお伺いをするんですけれども、今、公正証書が年間約四十万件つくられるということなんだそうです。二〇〇三年で公正証書は四十万件つくられるということなんですが、そのうちの約六割、二十四万件が金銭債務関係の公正証書であるということを御存じですか。
○南野国務大臣 先生お尋ねの件でございますが、平成十五年の統計によりますと、全国の公証人が作成した公正証書は約三十九万六千件でございまして、そのうち約三万七千件、約九・三%、これが消費貸借公正証書でありまして、約二十万一千件、約五〇・八%になるわけですが、それが債務確認公正証書となっております。
○中塚委員 さて、それで、この公正証書というのがいかに金銭債務関係についてつくられているのが多いかということをおわかりいただいたと思うんですけれども、公証人法というのは、公正証書作成に当たり、代理人でも構わないということになっておるわけですね。
お配りした資料のところにも、五ページのところなんですが、五ページの左半分の下のところを黒く消してありますけれども、ここに代理人の名前を書くということなんです。
ただ、この代理人も、商工ローンの件では、まず契約書をつくるときは代理人の名前が入っていないということもあるんですね。代理人欄が白紙になっているというふうなこともある。大体、債務者の人は、公正証書の委任状をつくっているなんという意識もないわけですから、債務者の本当の意味での代理人ではないわけですよ。あらかじめ書いてあろうが抜けてあろうが、要は債務者の本当の意味での代理人ではないんですね。
ところが、その代理人が公証役場に行って、公証人法に基づいて公正証書を作成してしまうということなんですが、今、その公正証書をつくる際に、その代理人が本当の意味での代理人であるかどうかということをどういうふうに確認していらっしゃるんですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
公正証書の作成の嘱託は代理人によっても行うことができる、今先生がおっしゃったとおりでございますが、その場合には、公証人は、代理人の権限を証すべき書面、これは委任状でございますが、それを提出しなければならない。原則として、これとあわせまして、市町村長等が作成した印鑑証明書、これも提出することになっております。委任状が本人の意思により作成されたことを証明させなければならないものとなっております。
また、公証人は、無効の法律行為や違法な事項について公正証書を作成することはできない、当該法律行為が有効であるかどうか等について疑いがありますときには、当事者に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせなければならないものとされております。
また、具体的な事案におきましては、委任状が本人の意思により作成されたかどうかについて疑いを持った場合には、必要な説明を求めるということになっております。
さらに、公証人は、代理人の嘱託により公正証書を作成した場合には、三日以内に当該証書が作成された旨等を本人に通知しなければならないものとされておりますので、それをもちまして本人の意思に基づかない公正証書の作成が防止されるというふうに思っております。
○中塚委員 大臣はそういうふうに思っていらっしゃるのかもしれないが、でも、現実問題、本人の意思に基づかない公正証書がこれだけできているわけですね。だから、今大臣が御説明になったような制度になっているはずなんだけれども、でも、現実問題はそれがちゃんとできていないということなわけなんです。印鑑証明を持っていけば、それで代理人と認められる。この印鑑証明も、はっきり言って、だましてとるんですよ、業者は。借りかえのときに使いますからとか言って、印鑑証明をたくさんもらったりするんですね。
そういった意味で、印鑑証明もだましてとってくる、そのだましてとってきた印鑑証明を公証人役場へ持っていって、公証人は、はっきり言って、その判この形とか中身が似ていれば、同じならば、単に代理人だと認めるということをやっているから、自分がつくった覚えのない公正証書がこれだけたくさん、いろいろな事件を生んでしまっているということなんです。
ですから、実はそんな難しい話じゃない。要は、代理人じゃなくて、本人の意思確認を事前に行えばいいわけですね。本人にちゃんと意思確認を行えばいいんですよ。そういう制度改正をやるべきだというふうに考えますが、いかがですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げますが、意思確認の方法といたしましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、委任状とあわせて本人の印鑑証明書を提出させることにしている。今先生がいろいろおっしゃいましたが、本当にそんな悪い人ばかりいるのかななんて、ちょっと今驚いております。また、疑わしい場合には当事者に必要な説明を求めることになりますから、本人の意思確認は適切になされているような仕組みが成っている、決していいかげんなものではないというふうに思っております。
○中塚委員 法務大臣、いいかげんなものではないとおっしゃるけれども、いいかげんなものだからこれだけ被害が出ているわけですよ。だから、悪ければ直せばいいわけであって、代理人じゃなくて、本人に確認をするようにすれば問題は解決するんじゃないですかということをお尋ねしているんです。
私が挙げたこの事実、ここに日弁連がとった公正証書問題のアンケートというのもある。先ほどの答弁でいろいろおっしゃいましたけれども、公正証書が代理人により作成されたら、公証人法の施行規則十三条に基づいて、つくったということを送れというふうになっているけれども、これだって努力規定みたいなもので、送らない公証人だっているじゃないですか。
しかも、このアンケートによれば、法律違反の内容の公正証書が作成をされたということまであるわけですね。利息制限法に反する内容とか、真実の借入額と異なる金額とか、存在しない債務とか、そういう公正証書までつくられている。それを防ぐためには、本人がちゃんと行って意思確認を行うというふうにすればいいんじゃないでしょうか。ちゃんとやっているとおっしゃったって、ちゃんとできていないからこれだけの人が被害に遭っているんですね。いかがですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げますが、公正証書の作成、それの嘱託におきましても、一般の法律行為と同様に、経済取引をする者の便宜を図るため、代理人による嘱託を認めているものであり、仮に、どのような嘱託についても一律に公正証書の作成前に本人の意思を確認しなければならないとすると、このような代理人による嘱託を認める趣旨を損なうおそれがあるというふうに考えられるわけでありまして、もっとも、個々の事案によりまして、本人の意思と合致しない嘱託であることが具体的に疑われる場合には、事前の意思確認を行う必要があるというふうに思っております。
○中塚委員 南野大臣、本当に普通の、一般庶民の代表になってほしいんですね。これだけの被害が出ているということから考えてほしいんですよ。制度はこうなっているから被害は出ないはずだじゃないんですね。これだけの被害が出ているから、それをどう変えましょうかという話をしているんであって、ぜひとも普通の人の代表ということに立ち返っていただきたいというふうに思います。
それで、資料の一番最後なんですが、公証人の最終職歴というのをきょうお配りしております。これを見ると、公証人というのは法務局の方、検事、裁判官ということで、皆さんの言葉で言えば再就職と言うのかもしれないが、世間一般ではこういうのを天下りと言うんですよ。要は、全員がもと皆さんのお身内じゃないですか。
しかも、公証人に対して立入調査というのをされたことがある。そのことを御存じかどうかわかりませんけれども、公証人に対して立入調査をされたことがあって、公証人数五百五十二人のうち、指摘を受けた公証人の数は三百二十八人ですよ。約六割の公証人が何らかの指摘を受けておるということなので、まさに、こういうふうに制度はなっていますというふうにおっしゃるけれども、そうなっていない現状というのをよく見ていただきたい、本当にそういうふうに思います。
公証人の自浄能力ということについても、やはり私はお尋ねせにゃいかぬと思うんです。
というのは、公証人の収入というのは公正証書を作成する手数料ですね。公証人は公正証書をつくって、その手数料を収入にしているわけですね。そうすれば、公証人の方は立派な方が多いのかもしれませんが、中には、やはり手数料の収入が欲しいということで、ついつい中身のチェック等がいいかげんになる例だって出てくるんじゃないでしょうか。
だから、そういう意味で、これは法務大臣が任命をされる公務員なんですから、この公証人制度ということについて、まずは自浄能力、それに加えて、やはり、こういう金銭の消費貸借契約なんかで公正証書をつくるということであるならば、ちゃんと本人が出頭するという形に制度改革をせにゃいかぬというふうに思いますが、最後に御答弁いただけますでしょうか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
法務省では、今月九日、公証人法の施行規則を改正いたしました。同規則第十三条の二の通知につきましては、作成された公正証書の内容が本人によりわかりやすく伝わるように書式を法定いたしました。また、あわせて、適正な事務の遂行を厳しく求める内容の通達も出したところでございます。
個々の公証人におきましても、これらを踏まえ、公正証書の作成について疑念を抱かれることのないよう適切な職務遂行に努める必要があるところであり、法務省といたしましても、今後とも厳正な指導監督に努めてまいりたいと考えております。
cf. 毎日新聞ニュース
○中塚委員 次に、今度は、またお配りした資料の次のページなんですが、商工ローンの取り立ての問題をやりたいというふうに思います。
商工ローンの取り立てなんですけれども、この商工ローンの取り立て自体に公正証書というものが大きくかかわっておりますので、金融担当大臣と法務大臣、そして国家公安委員長にもお越しをいただいておりますが、お三方中心に質疑をしてまいりたいというふうに思います。
これは、どういう被害が発生しているかというと、このお配りをした書類は、債務の弁済契約証書というのが一枚目、ナンバーでいくと四ですけれども、この四と次の五ページなんですが、この五ページと四ページは、重なって配られるわけですね。それで、四ページ目のこの契約書にサインをすると、下にカーボンコピーができるようになっていて、この債務の弁済契約証書をつくったと同時に公正証書作成の委任状までできるという仕組みになっているわけなんです。
たくさんの書類があるものだから、この債務者となる人あるいは連帯保証人となる人というのは、はっきり言って、たくさんの書類があってよくわからない。この契約を結ぶ債権者の方も、書類について一々説明をしないわけですね。ここにサインしてください、これは契約書ですとぱっとサインをさせる。後は、では今度は印鑑を貸してくださいということで、印鑑をその場で自分の手にとってぽんぽんと押していくわけなんです。
そうすると、債務弁済の契約書ができ上がると同時に公正証書の委任状までできてしまうわけですね。これで、返済が滞った瞬間に、この公正証書に基づいて、給与の差し押さえであるとか預金の差し押さえ等が行われていく。大変に今社会問題化しているところなわけなんです。裁判になっている例も多々あるわけなんです。
まず、金融担当大臣にお伺いをしたいのですが、こうやって契約のときに、はっきり言って、ちゃんと説明しないわけですね。最近は、このカーボンコピーはやめたというふうに言っている、この会社の方は。カーボンコピーによって公正証書の委嘱状をとることはやめたというふうに言っているんですが、ただ相変わらず、この書類が何かということを説明しないままサインしてくれと。例えば、契約書を逆向きにひっくり返して、公正証書の委任状であるということがわからないようにして書かせるというようなことはずっと続いている。印鑑をちょっと貸してくれと言われて、ぽんぽんとつくということもずっと行われているんですね。
やはりこれは、こういう債権債務の契約を結ぶとき、金銭の消費貸借契約を結ぶというときには、きっちりと説明をするというのは当然の話だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 今委員からは、十分な説明責任を果たすことは当然であるという御指摘がございました。
貸金業規制法上も、貸金業者は、利用者に対する十分な説明責任を確保するために、利用者に対して、その契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならないとされるとともに、保証人に対しても、保証契約及び貸付契約の内容を明らかにする書面を交付しなければならないとされているところでございます。
また、公正証書作成委任状についても、利用者等がその内容を十分に理解している必要があることから、貸金業規制法上、貸し付けの金額あるいは利率等について、白紙の委任状を貸金業者が取得することは禁止されております。したがって、貸金業者は、公正証書作成委任状について、利用者等にその内容の説明を尽くすことが重要であると考えられます。
いずれにいたしましても、私ども金融庁といたしましては、法律に抵触する事実が認められた場合には、貸金業者に対して厳正に対処してまいりたいと考えております。
○中塚委員 ここに、書き込む前の契約書があるんですけれども、この契約書は、今皆さんにお配りしたのとはまたちょっと違って、限度付根保証承諾書というふうになっているんですね。限度付根保証承諾書兼金銭消費貸借契約証書、下に括弧で債務弁済公正証書作成嘱託委任状ということにもなっている。だから、これを、ここを書いてくれと言われた人は、根保証はさせられるわ、公正証書まで勝手につくらされるということになってしまう。今大臣御答弁になられましたけれども、まずはやはり、こういった一種の詐欺的なやり方、これをちゃんと取り締まる必要があるということだと思います。
国家公安委員長にお越しいただいておるわけなんですが、こうやってちゃんと説明もしない。大方の人は、公正証書によって差し押さえなんかが起こって初めて、自分が公正証書をつくっていた、つくらされていたということに気がつくのがほとんどなわけなんです。
そういった意味で、今、金融担当大臣からの御答弁も踏まえてなんですが、こういったやり方自体を検挙する等の方策はないのかということについて、お伺いをしたいと思います。
○村田国務大臣 今委員が御指摘になった契約証書の作成について、これが犯罪を構成するか否かについては、どのような文言で契約の相手方、契約者に説明がなされたか、説明がないというふうにおっしゃいましたけれども、個々具体的なケースにつきまして、当該証書の作成過程等々を個別に見てみないと、判断が大変難しいということでございますが、いずれにしましても、法と証拠に基づきまして判断していくべきではないか、こういうふうに考えております。
○中塚委員 法と証拠に基づいてということなんですが、制度の不備でこういったことがなかなか検挙できないということならば、制度を改正するのは国会の役目だというふうに思っておりますから、そのことはまたちゃんと取り組んでいきたいというふうに考えています。
次に、今度、公正証書について、法務大臣にお伺いしたいというふうに思います。
要は、公正証書も無効であるというふうな訴訟が起きて、その公正証書が無効である、今度、業者の方が慰謝料を払って和解するというふうな事例もたくさん出ておるんですが、もちろんこういった、ほとんど詐欺に近いようなやり方で書類をつくらせる、まずここで一番問題があると思います。だから、それをちゃんと取り締まるということは一番大事なことなんですけれども、ただ、私は、この話を聞いて、公正証書の作成ということについてももうちょっと厳しくやらなきゃいかぬのじゃないかというふうにも思うわけなんです。
公正証書、公証人制度。今、司法改革ということもおやりになっているわけなんですが、予防司法としての公証人制度のあり方ということも含めてお伺いをするんですけれども、今、公正証書が年間約四十万件つくられるということなんだそうです。二〇〇三年で公正証書は四十万件つくられるということなんですが、そのうちの約六割、二十四万件が金銭債務関係の公正証書であるということを御存じですか。
○南野国務大臣 先生お尋ねの件でございますが、平成十五年の統計によりますと、全国の公証人が作成した公正証書は約三十九万六千件でございまして、そのうち約三万七千件、約九・三%、これが消費貸借公正証書でありまして、約二十万一千件、約五〇・八%になるわけですが、それが債務確認公正証書となっております。
○中塚委員 さて、それで、この公正証書というのがいかに金銭債務関係についてつくられているのが多いかということをおわかりいただいたと思うんですけれども、公証人法というのは、公正証書作成に当たり、代理人でも構わないということになっておるわけですね。
お配りした資料のところにも、五ページのところなんですが、五ページの左半分の下のところを黒く消してありますけれども、ここに代理人の名前を書くということなんです。
ただ、この代理人も、商工ローンの件では、まず契約書をつくるときは代理人の名前が入っていないということもあるんですね。代理人欄が白紙になっているというふうなこともある。大体、債務者の人は、公正証書の委任状をつくっているなんという意識もないわけですから、債務者の本当の意味での代理人ではないわけですよ。あらかじめ書いてあろうが抜けてあろうが、要は債務者の本当の意味での代理人ではないんですね。
ところが、その代理人が公証役場に行って、公証人法に基づいて公正証書を作成してしまうということなんですが、今、その公正証書をつくる際に、その代理人が本当の意味での代理人であるかどうかということをどういうふうに確認していらっしゃるんですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
公正証書の作成の嘱託は代理人によっても行うことができる、今先生がおっしゃったとおりでございますが、その場合には、公証人は、代理人の権限を証すべき書面、これは委任状でございますが、それを提出しなければならない。原則として、これとあわせまして、市町村長等が作成した印鑑証明書、これも提出することになっております。委任状が本人の意思により作成されたことを証明させなければならないものとなっております。
また、公証人は、無効の法律行為や違法な事項について公正証書を作成することはできない、当該法律行為が有効であるかどうか等について疑いがありますときには、当事者に注意をし、かつ、その者に必要な説明をさせなければならないものとされております。
また、具体的な事案におきましては、委任状が本人の意思により作成されたかどうかについて疑いを持った場合には、必要な説明を求めるということになっております。
さらに、公証人は、代理人の嘱託により公正証書を作成した場合には、三日以内に当該証書が作成された旨等を本人に通知しなければならないものとされておりますので、それをもちまして本人の意思に基づかない公正証書の作成が防止されるというふうに思っております。
○中塚委員 大臣はそういうふうに思っていらっしゃるのかもしれないが、でも、現実問題、本人の意思に基づかない公正証書がこれだけできているわけですね。だから、今大臣が御説明になったような制度になっているはずなんだけれども、でも、現実問題はそれがちゃんとできていないということなわけなんです。印鑑証明を持っていけば、それで代理人と認められる。この印鑑証明も、はっきり言って、だましてとるんですよ、業者は。借りかえのときに使いますからとか言って、印鑑証明をたくさんもらったりするんですね。
そういった意味で、印鑑証明もだましてとってくる、そのだましてとってきた印鑑証明を公証人役場へ持っていって、公証人は、はっきり言って、その判この形とか中身が似ていれば、同じならば、単に代理人だと認めるということをやっているから、自分がつくった覚えのない公正証書がこれだけたくさん、いろいろな事件を生んでしまっているということなんです。
ですから、実はそんな難しい話じゃない。要は、代理人じゃなくて、本人の意思確認を事前に行えばいいわけですね。本人にちゃんと意思確認を行えばいいんですよ。そういう制度改正をやるべきだというふうに考えますが、いかがですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げますが、意思確認の方法といたしましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、委任状とあわせて本人の印鑑証明書を提出させることにしている。今先生がいろいろおっしゃいましたが、本当にそんな悪い人ばかりいるのかななんて、ちょっと今驚いております。また、疑わしい場合には当事者に必要な説明を求めることになりますから、本人の意思確認は適切になされているような仕組みが成っている、決していいかげんなものではないというふうに思っております。
○中塚委員 法務大臣、いいかげんなものではないとおっしゃるけれども、いいかげんなものだからこれだけ被害が出ているわけですよ。だから、悪ければ直せばいいわけであって、代理人じゃなくて、本人に確認をするようにすれば問題は解決するんじゃないですかということをお尋ねしているんです。
私が挙げたこの事実、ここに日弁連がとった公正証書問題のアンケートというのもある。先ほどの答弁でいろいろおっしゃいましたけれども、公正証書が代理人により作成されたら、公証人法の施行規則十三条に基づいて、つくったということを送れというふうになっているけれども、これだって努力規定みたいなもので、送らない公証人だっているじゃないですか。
しかも、このアンケートによれば、法律違反の内容の公正証書が作成をされたということまであるわけですね。利息制限法に反する内容とか、真実の借入額と異なる金額とか、存在しない債務とか、そういう公正証書までつくられている。それを防ぐためには、本人がちゃんと行って意思確認を行うというふうにすればいいんじゃないでしょうか。ちゃんとやっているとおっしゃったって、ちゃんとできていないからこれだけの人が被害に遭っているんですね。いかがですか。
○南野国務大臣 お答え申し上げますが、公正証書の作成、それの嘱託におきましても、一般の法律行為と同様に、経済取引をする者の便宜を図るため、代理人による嘱託を認めているものであり、仮に、どのような嘱託についても一律に公正証書の作成前に本人の意思を確認しなければならないとすると、このような代理人による嘱託を認める趣旨を損なうおそれがあるというふうに考えられるわけでありまして、もっとも、個々の事案によりまして、本人の意思と合致しない嘱託であることが具体的に疑われる場合には、事前の意思確認を行う必要があるというふうに思っております。
○中塚委員 南野大臣、本当に普通の、一般庶民の代表になってほしいんですね。これだけの被害が出ているということから考えてほしいんですよ。制度はこうなっているから被害は出ないはずだじゃないんですね。これだけの被害が出ているから、それをどう変えましょうかという話をしているんであって、ぜひとも普通の人の代表ということに立ち返っていただきたいというふうに思います。
それで、資料の一番最後なんですが、公証人の最終職歴というのをきょうお配りしております。これを見ると、公証人というのは法務局の方、検事、裁判官ということで、皆さんの言葉で言えば再就職と言うのかもしれないが、世間一般ではこういうのを天下りと言うんですよ。要は、全員がもと皆さんのお身内じゃないですか。
しかも、公証人に対して立入調査というのをされたことがある。そのことを御存じかどうかわかりませんけれども、公証人に対して立入調査をされたことがあって、公証人数五百五十二人のうち、指摘を受けた公証人の数は三百二十八人ですよ。約六割の公証人が何らかの指摘を受けておるということなので、まさに、こういうふうに制度はなっていますというふうにおっしゃるけれども、そうなっていない現状というのをよく見ていただきたい、本当にそういうふうに思います。
公証人の自浄能力ということについても、やはり私はお尋ねせにゃいかぬと思うんです。
というのは、公証人の収入というのは公正証書を作成する手数料ですね。公証人は公正証書をつくって、その手数料を収入にしているわけですね。そうすれば、公証人の方は立派な方が多いのかもしれませんが、中には、やはり手数料の収入が欲しいということで、ついつい中身のチェック等がいいかげんになる例だって出てくるんじゃないでしょうか。
だから、そういう意味で、これは法務大臣が任命をされる公務員なんですから、この公証人制度ということについて、まずは自浄能力、それに加えて、やはり、こういう金銭の消費貸借契約なんかで公正証書をつくるということであるならば、ちゃんと本人が出頭するという形に制度改革をせにゃいかぬというふうに思いますが、最後に御答弁いただけますでしょうか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。
法務省では、今月九日、公証人法の施行規則を改正いたしました。同規則第十三条の二の通知につきましては、作成された公正証書の内容が本人によりわかりやすく伝わるように書式を法定いたしました。また、あわせて、適正な事務の遂行を厳しく求める内容の通達も出したところでございます。
個々の公証人におきましても、これらを踏まえ、公正証書の作成について疑念を抱かれることのないよう適切な職務遂行に努める必要があるところであり、法務省といたしましても、今後とも厳正な指導監督に努めてまいりたいと考えております。