司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

合資会社の解散の定めと種類の変更(再掲)

2010-10-20 19:51:33 | 会社法(改正商法等)
 昨年10月27日掲載の記事を再掲する。


 民事月報平成21年9月号「商業・法人登記実務の諸問題(2)」の事例のご紹介第4弾。

5.合資会社の解散の定め
 合資会社の定款に解散の事由として「無限責任社員又は有限責任社員の全員が退社したとき」との定めを設けた場合において,無限責任社員又は有限責任社員のいずれか一方の全員が退社したときは,まず,合名会社又は合同会社への種類の変更の登記を経た上で,当該定款の定めに従って解散したものとして,解散の登記をすることとなる。

※ このような定款の定めの趣旨としては,合名会社又は合同会社への種類の変更をパスしたいと考えているわけであり,ユーザー・フレンドリーであるといわれる会社法の考え方としては,「種類の変更」の登記を経ずに解散の登記をすることを認めるのが妥当ではないかと考える。
 法的には,定款のみなし変更(会社法第639条)と定款で定めた解散の事由の発生(会社法第641条第2号)が同時に効力を生じているわけではあるが,敢えて定款のみなし変更による「種類の変更」の登記を要求する実益は,まったく存しないからである。

 と直感的には考えたのであるが・・・。

 会社法第639条の規定は,清算持分会社についても適用される(会社法第674条)。また,清算持分会社においては,合同会社に限って,債権者異議申述手続をしなければならない(会社法第660条第1項)とされ,合名会社及び合資会社に限って,任意清算をすることができる(会社法第668条第1項)。このように,清算持分会社の種類によって清算手続が異なることに鑑みると,本件においては,「種類の変更」の登記を経る必要があると言うべきである。
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