根抵当権登記実務研究会編「新訂 ケースブック 根抵当権登記の実務」(ちくさ出版)
http://www.chikusa-shuppan.com/htmls/b003s01s.html
昨日,京都司法書士会研修会「根抵当権の実務」を開催。講師は,司法書士林勝博先生&森忠之先生(愛知県司法書士会)。上記「ケースブック」の執筆に携わられた先生方による密度の濃い講義でした。
さて,根抵当権の債務者の相続による変更の登記に関して,興味深い問題提起があった。
cf. 平成21年3月25日付「遺留分の侵害額の算定に関する最高裁判決」
「相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。もっとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり,各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず,指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。」
というわけで,相続させる遺言の効果により,相続債務をすべて承継した相続人を根抵当権の相続債務者とする変更の登記をすべきではないかというものである。
意見が分かれるところかもしれないが,相続債権者(根抵当権者)の承認があれば,認める余地は十分にあるであろう。
http://www.chikusa-shuppan.com/htmls/b003s01s.html
昨日,京都司法書士会研修会「根抵当権の実務」を開催。講師は,司法書士林勝博先生&森忠之先生(愛知県司法書士会)。上記「ケースブック」の執筆に携わられた先生方による密度の濃い講義でした。
さて,根抵当権の債務者の相続による変更の登記に関して,興味深い問題提起があった。
cf. 平成21年3月25日付「遺留分の侵害額の算定に関する最高裁判決」
「相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。もっとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり,各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず,指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。」
というわけで,相続させる遺言の効果により,相続債務をすべて承継した相続人を根抵当権の相続債務者とする変更の登記をすべきではないかというものである。
意見が分かれるところかもしれないが,相続債権者(根抵当権者)の承認があれば,認める余地は十分にあるであろう。