司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

経済産業省,「当面の株主総会の運営に関するガイドライン」を公表

2011-04-29 09:12:37 | 会社法(改正商法等)
当面の株主総会の運営に関するガイドラインの公表について 第1回~第3回当面の株主総会の運営に関するタスクフォースの結果について by 経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110428004/20110428004.html

 定時株主総会の開催時期については,

「本年の定時株主総会の開催日程については、取締役会に剰余金の配当を授権しているか否かによって分けることが考えられる。その上で、6月末までに決算を確定させることができるか、6月末までに間に合うよう定時株主総会の準備ができるかにより対処方針を分けることが考えられる」

として,詳細に分析(13頁以下)がされている。上場企業の関係者は,目を通しておくべきであろう。


 また,「有価証券報告書の提出義務がない会社は、株主総会をいつまでに開催すれば良いか不明」である観点からも検討されたようで,

 「開催期限については、決算の確定時期や電力需給などを勘案して定めることが望ましいが、例えば、有価証券報告書提出会社においては、震災により本来の提出時期までに有価証券報告書を提出できない3月決算会社などについては有価証券報告書の提出期限が9月末まで延期される見込みであることに鑑み、定時株主総会も9月末までに開催することが考えられる。また、会計監査人設置会社以外の会社は、定時株主総会の承認を受けなければ計算書類が確定しないため、法人税の確定申告の提出期限までに定時株主総会を開催する必要がある」
 「国税庁は、国税通則法第11条及び国税通則法施行令第3条第1項に基づき、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の地域の納税者に対して、国税に関する申告、納付等の期限を延長している(平成23年国税庁告示第8号)。また、これら以外の地域の法人であっても、当該法人が申請することにより、災害などを理由として個別指定を受けること(国税通則法第11条及び国税通則法施行令第3条第2項)等により、申告、納付の期限の延長措置を受けることができる」

とされている。

 しかし,税務上,確定決算主義は建前で,定時株主総会の承認を受けなくても,法人税の申告をすることが広く認められている感があるのだが・・。

 とはいえ,野放図に定時株主総会がいつまでも開催されない事態を回避する上では,一定のルールが必要であるから,妥当な線であろうか。

cf. 平成23年4月15日付「定時株主総会の開催遅延に関する経済産業省の提言」

平成23年4月2日付「定時株主総会の不開催と取締役等の任期満了の問題について」

 なお,「これら以外の地域の法人」であって,「災害などを理由として個別指定を受けること等により,申告の期限の延長措置を受け」た法人については,取締役等の任期満了の時期が不分明であり,当該証明書の添付を要求する等の登記実務上の取扱いが明確にされることが望ましいであろう。
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「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」

2011-04-29 08:25:50 | 消費者問題
「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」について by 金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/22/kinyu/20110428-8.html

官報(平成23年4月28日付)
http://kanpou.npb.go.jp/20110428/20110428t00033/20110428t000330001f.html

 「東日本大震災の被災者が,貸金業者から,返済能力を超えない借入れを行おうとする場合に,例えば特定の書面を用意できないなど,法令に定める手続き等が問題となって,本来なら借りることができる資金を借りられないという不都合が生ずるおそれがあれば,これを取り除く必要があることから,貸金業法施行規則の一部を改正する」ということである。

(1) 総量規制の例外とされている「社会通念上緊急に必要と認められる費用」の借入手続等の弾力化
(2)総量規制の例外とされている個人事業主の借入手続の弾力化
(3)総量規制の例外とされている配偶者の年収と合算して年収を算出する場合の借入手続の弾力化
(4)極度額方式によるキャッシング(総量規制の枠内貸付け)の借入手続の弾力化
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「民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律」が成立

2011-04-29 08:18:44 | 民事訴訟等
民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00034.html

時事通信記事
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011042800875

 気になるところをピックアップ。


三 消費者契約及び労働関係に関する訴えの管轄権
1 消費者(個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。以下同じ。)と事業者(法人その他の社団又は財団及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。以下同じ。)との間で締結される契約(労働契約を除く。以下「消費者契約」という。)に関する消費者からの事業者に対する訴えは、訴えの提起の時又は消費者契約の締結の時における消費者の住所が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができるものとすること。(第三条の四第一項関係)
2 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(以下「個別労働関係民事紛争」という。)に関する労働者からの事業主に対する訴えは、個別労働関係民事紛争に係る労働契約における労務の提供の地(その地が定まっていない場合にあっては、労働者を雇い入れた事業所の所在地)が日本国内にあるときは、日本の裁判所に提起することができるものとすること。(第三条の四第二項関係)
3 消費者契約に関する事業者からの消費者に対する訴え及び個別労働関係民事紛争に関する事業主からの労働者に対する訴えについては、二は、適用しないものとすること。(第三条の四第三項関係)

四 管轄権の専属
1 会社法第七編第二章に規定する訴え(同章第四節及び第六節に規定するものを除く。)、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第六章第二節に規定する訴えその他これらの法令以外の日本の法令により設立された社団又は財団に関する訴えでこれらに準ずるものの管轄権は、日本の裁判所に専属するものとすること。(第三条の五第一項関係)
2 登記又は登録に関する訴えの管轄権は、登記又は登録をすべき地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に専属するものとすること。(第三条の五第二項関係)
3 【略】

六 管轄権に関する合意
1~3 【略】
4 将来において生ずる消費者契約に関する紛争を対象とする1の合意は、(一)及び(二)の場合に限り、その効力を有するものとすること。(第三条の七第五項関係)
(一) 消費者契約の締結の時において消費者が住所を有していた国の裁判所に訴えを提起することができる旨の合意(その国の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意については、(二)の場合を除き、その国以外の国の裁判所にも訴えを提起することを妨げない旨の合意とみなす。)であるとき。
(二) 消費者が当該合意に基づき合意された国の裁判所に訴えを提起したとき、又は事業者が日本若しくは外国の裁判所に訴えを提起した場合において、消費者が当該合意を援用したとき。
5 将来において生ずる個別労働関係民事紛争を対象とする1の合意は、(一)及び(二)の場合に限り、その効力を有するものとすること。(第三条の七第六項関係)
(一) 労働契約の終了の時にされた合意であって、その時における労務の提供の地がある国の裁判所に訴えを提起することができる旨を定めたもの(その国の裁判所にのみ訴えを提起することができる旨の合意については、(二)の場合を除き、その国以外の国の裁判所にも訴えを提起することを妨げない旨の合意とみなす。)であるとき。
(二) 労働者が当該合意に基づき合意された国の裁判所に訴えを提起したとき、又は事業主が日本若しくは外国の裁判所に訴えを提起した場合において、労働者が当該合意を援用したとき。
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