司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

株式会社ライフに関する過払金返還請求

2011-05-04 12:19:01 | 消費者問題
 吸収分割によって,株式会社ライフからライフカード株式会社に承継される事業は,次のとおりである。

○ クレジットカード事業、個品あっせん事業、前払式支払手段事業、銀行保証事 業、保険事業、集金代行サービス事業、株式会社青山キャピタル(住所:広島県福山市船町8番14号)の顧客に対して行う融資事業及び(株式会社ライフの)会員に対して行うサポートローン

 したがって,ローン事業については,承継されない(吸収合併によって,アイフル株式会社に承継される。)。

 クレジットカード事業に属する債務は,原則として,ライフカード株式会社に承継される。ただし,クレジットカードに附随するキャッシングによって生じた過払金の返還請求については,吸収分割契約の別紙2により,効力発生日時点での顕在化(司法書士,弁護士の介入等があったに過ぎないものを含む。)の有無によって,顕在化しているもの(管理債権)は,承継されないこととされている。

 ただし,ライフカード株式会社に承継される債務に関しては,すべて株式会社ライフが重畳的債務引受けを行っており,その契約上の地位は,吸収合併によって,アイフル株式会社に承継される。

 したがって,過払金返還請求は,吸収分割による承継の有無にかかわらず,アイフル株式会社に対して行うことが可能である(ただし,吸収分割の効力発生後に,過払いが生じたものを除く。)。

 なお,これから返還請求をする場合には,ライフカード株式会社への請求の余地を残す意味で,吸収分割の効力発生日以降に,受任通知を送付すべきということになるであろう。

cf. 吸収分割契約
http://toushi.kankei.me/docs/text/S00088AI

吸収合併契約
http://toushi.kankei.me/docs/text/S00088CK

 余談ながら,吸収合併契約の第1条は,粗い。株式会社シティズの株式の一部を株式会社シティグリーンが保有しているのであるから,「株式会社シティグリーンを合併後に株式会社シティズを合併する」ような条件付けが必要であろう。

cf. 平成22年9月13日付「プロミスと三洋信販等との合併」
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アイフルのグループ再編~債権者異議申述手続開始

2011-05-04 10:58:20 | 会社法(改正商法等)
官報(平成23年5月2日付)
http://kanpou.npb.go.jp/20110502/20110502h05547/20110502h055470031f.html

 債権者が異議を申述することができるのは,平成23年6月2日(木)までである。

 なお,吸収分割会社である株式会社ライフが,吸収分割に関して官報公告を行っていないのは,債務の承継について重畳的債務引受けを行っているからである(会社法第789条第1項第2号)。

cf. アイフル株式会社のプレスリリース(平成23年4月28日)
http://www.lifecard.co.jp/press/pdf/230428.pdf

平成23年4月28日付「アイフルの適時開示規則違反?」
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平成24年4月1日付の公益法人等への移行の登記

2011-05-04 10:03:39 | 法人制度
 本年4月1日には,全国の登記所で,公益法人への移行の登記が数多申請された。移行の登記の申請日が,事業年度の途中である場合には,「事業年度開始の日から当該移行の登記をした日の前日までの期間」及び「その移行の登記をした日からその事業年度終了の日までの期間」を各々みなし事業年度として,各々決算申告をしなければならない,という税務上の取扱いがあるため,3月決算の特例民法法人においては,それを回避したいニーズが強いためである。

cf. 平成23年3月30日付「特定の日に移行登記を希望される法人の皆様へ(内閣府からのお知らせ)」

 ところで,平成24年4月1日は,「日曜日」である。登記所の閉庁日であるから,登記申請は,できない。

 この点に関して,内閣府が,

「同日(日)は、登記所の閉庁日に当たりますが、同日付けの移行の登記も可能となるよう措置がされます。なお、具体的な受付の手続については関係省庁間で検討していますので、後日改めてお知らせします」

と報じている。

cf. 平成24年4月1日の移行登記について(4/28)by 内閣府
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/other/pdf/20110428tokutei.pdf

 確かに,管轄登記所が平成23年4月1日に開庁し,登記申請を受理してくれれば,平成23年4月1日登記も可能であるが。

cf. 拙稿「商業登記掲示板 泣き笑い千例集~1月1日設立~」月刊登記情報2005年4月号(きんざい)

 上記のとおり,4月1日登記に拘るのは,税務上の問題なのであるから,新設合併等に係る取扱いと同様に,税務上の措置が講じられれば十分であるはずである。平成23年4月1日(日)の登記を認めるのであれば,新設合併等についても,同様に登記申請を認めるべきであることになる。

cf. 平成19年11月22日付「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて by 国税庁」

 登記所が,1年366日開庁して,登記申請を受理するように姿勢転換するのであればともかく,そうでないのであれば,本件に関してのみ「日曜日」に登記申請を受理する措置を執るのは,著しく平仄を欠くと言わざるを得ない。

 ユーザーサイドからすれば,1年366日,登記申請が受理されることになるのであれば,ありがたい話であるが。
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生命保険会社による戸籍謄本等の直接取得の容認

2011-05-04 07:59:41 | 東日本大震災関係
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110503-OYT1T00318.htm

 総務省と法務省が,東日本大震災で被災した保険契約者の住民票や戸籍謄本について,生命保険会社による直接取得を認めたらしい。

 ただし,保険金の支払には,支払請求をする者(通常は,相続人である。)がいるわけであるから,生命保険会社による直接取得を認める必要があるケースは,受取人が保険契約者の相続人でない場合に限定されるであろう。
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