下記は,拙稿「商業登記掲示板 泣き笑い千例集~1月1日設立~」月刊登記情報2005年4月号(きんざい)である。本件の参考になると思われるので,掲載しておく。同じように,内閣府からの依頼で法務省民事局から全国の法務局及び地方法務局に通知があり,商業登記所の職員が日曜日に出勤して登記事務を行うことになる? この場合,オンライン申請は,システム上受理される?
cf. 平成23年5月4日付「平成24年4月1日付の公益法人等への移行の登記」
【以下,引用】
「この間,『今年の5月1日設立で手続したい。』と言われて,『はい,はい。』と喜んでたら,5月1日は日曜日だったんですよね。後から気付いて『5月1日設立はできません。』と連絡したら,『もう案内状を発送したのに。』と,えらく怒られました・・・。」
会社の「設立の日」は,登記所に「設立登記を申請した日」である(商法第57条)。したがって,現行登記実務上「1月1日設立」の会社はありえない。これは,法務局が「行政機関の休日に関する法律」第1条第1項第3号に基づき,「12月29日から翌年の1月3日までの日」を「行政機関の休日とし,行政機関の執務は,原則として行わない」ためである。
しかし,同法第1条第3項によれば,「行政機関の休日に各行政機関がその所掌事務を遂行することを妨げるものではない」のであるから,法務局の職員が元旦に出勤して登記事務を行えば「1月1日設立」も可能となる。現に平成13年4月に住友銀行とさくら銀行が合併した際,合併期日である4月1日が日曜日であったので「4月2日登記」(合併の効力も登記により生ずる)となったが,同年公的機関である年金福祉事業団の解散により事業を承継した年金資金運用基金の設立は「4月1日登記」である。厚生省(当時)年金局から法務省民事局を通じて東京法務局に通知があり,東京法務局の職員が日曜日に出勤して登記事務を行ったということらしい。
すなわち,「365日24時間受付」実現も決して無理な話ではない(オンライン申請により実現する?)のである。実際,裁判所は夜間,休日も受付可能である。しかし,「元旦にも働いて頂戴!」と声高に主張するわけにも行かない。実現すると,司法書士も大晦日,元旦にまで働かざるを得なくなるという「反射的不利益」が生じてしまうからだ。
平成17年改正による「新会社法」においては,吸収合併又は吸収分割については,登記申請日ではなく,当該組織再編行為を行う株式会社間で定めた一定の日において,その効力を生ずるものとすることが可能となる。したがって,1月1日に合併の効力を生じさせることができ,登記上はたとえば「1月1日合併,1月4日登記」となるわけだ。万一合併等の登記が遅れた場合であっても,当該合併等の効力発生を前提とした株式の流通に与える悪影響を限定的なものとすることができる等,意義は大きい。但し,登記をしなければ,第三者に対して,その善意・悪意を問わず対抗することができないものとされている点は留意すべきである。
【おわり】
cf. 平成23年5月4日付「平成24年4月1日付の公益法人等への移行の登記」
【以下,引用】
「この間,『今年の5月1日設立で手続したい。』と言われて,『はい,はい。』と喜んでたら,5月1日は日曜日だったんですよね。後から気付いて『5月1日設立はできません。』と連絡したら,『もう案内状を発送したのに。』と,えらく怒られました・・・。」
会社の「設立の日」は,登記所に「設立登記を申請した日」である(商法第57条)。したがって,現行登記実務上「1月1日設立」の会社はありえない。これは,法務局が「行政機関の休日に関する法律」第1条第1項第3号に基づき,「12月29日から翌年の1月3日までの日」を「行政機関の休日とし,行政機関の執務は,原則として行わない」ためである。
しかし,同法第1条第3項によれば,「行政機関の休日に各行政機関がその所掌事務を遂行することを妨げるものではない」のであるから,法務局の職員が元旦に出勤して登記事務を行えば「1月1日設立」も可能となる。現に平成13年4月に住友銀行とさくら銀行が合併した際,合併期日である4月1日が日曜日であったので「4月2日登記」(合併の効力も登記により生ずる)となったが,同年公的機関である年金福祉事業団の解散により事業を承継した年金資金運用基金の設立は「4月1日登記」である。厚生省(当時)年金局から法務省民事局を通じて東京法務局に通知があり,東京法務局の職員が日曜日に出勤して登記事務を行ったということらしい。
すなわち,「365日24時間受付」実現も決して無理な話ではない(オンライン申請により実現する?)のである。実際,裁判所は夜間,休日も受付可能である。しかし,「元旦にも働いて頂戴!」と声高に主張するわけにも行かない。実現すると,司法書士も大晦日,元旦にまで働かざるを得なくなるという「反射的不利益」が生じてしまうからだ。
平成17年改正による「新会社法」においては,吸収合併又は吸収分割については,登記申請日ではなく,当該組織再編行為を行う株式会社間で定めた一定の日において,その効力を生ずるものとすることが可能となる。したがって,1月1日に合併の効力を生じさせることができ,登記上はたとえば「1月1日合併,1月4日登記」となるわけだ。万一合併等の登記が遅れた場合であっても,当該合併等の効力発生を前提とした株式の流通に与える悪影響を限定的なものとすることができる等,意義は大きい。但し,登記をしなければ,第三者に対して,その善意・悪意を問わず対抗することができないものとされている点は留意すべきである。
【おわり】