司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社分割無効の訴えの原告適格

2011-07-07 16:35:18 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2011年7月5日号に,弥永真生「会社分割無効の訴えの原告適格」がある。東京高裁平成23年1月26日判決(金融・商事判例1363号30頁)の評釈である。

 上記東京高裁判決は,「新設分割について異議を述べることができない債権者は,会社分割無効の訴えの原告適格を有しない」と判示したものであるが,弥永教授は,これに異論を唱えている。

 すなわち,新設分割後も新設分割会社に対して債務の履行を請求することができる債権者は,新設分割について異議を述べることができないため,会社分割無効の訴えの原告適格を有しないとされた点につき,原告適格を認めてもよいのではないか,という論陣である。

 得心がいくものであり,興味のある方は,ぜひご覧ください。

cf. 平成23年6月27日付「『詐害的会社分割』と破産法による否認権の行使」
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成年後見と登記識別情報の提供の要否について(再掲)

2011-07-07 09:37:03 | 不動産登記法その他
 以下は,登記研究の質疑応答の構成をとっているが,私見である。


【○○○○】成年被後見人が所有する居住用不動産について所有権移転登記を申請する場合における登記識別情報を提供することの要否について

〔要旨〕成年被後見人が所有する居住用不動産について,成年後見人が家庭裁判所の許可を証する情報を添付して所有権移転登記を申請する場合には,登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。

問 成年後見人が,家庭裁判所の許可を得て,被後見人が所有する居住用不動産を売却し,所有権移転登記を申請する場合,家庭裁判所の許可を証する情報を添付するので,申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供することを要しないものと考えますが,いかがでしょうか。

答 ご意見のとおりと考えます。

 問題意識としては,登記識別情報の失念の場合に,本人確認情報の提供を要するか否か,である。
 破産管財人に関する先例,相続財産管理人に関する質疑応答の趣旨からすると,本ケースでは,これらの場合と同様に,家庭裁判所の許可を証する情報を添付するので,登記義務者の申請意思は担保される。また,居住用不動産の処分についての許可は,被後見人=不動産所有者であることが大前提であり,当該許可書は,申請人(被後見人)=登記名義人(不動産所有者)であること,すなわち本人確認資料として十分なものである。さらに,成年後見人が,目的である不動産に関する登記識別情報を入手し難い点も同様である。
 したがって,所有権移転登記を申請する場合に,登記義務者の登記識別情報を提供することを要せず,すなわち,本人確認情報の提供を要しないものと考える。

cf. 平成19年4月12日付「成年後見と登記識別情報の提供の要否について」

 ※ 元記事に若干補訂しました。
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