司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「期限付解散決議と書面決議の活用」

2011-07-29 22:31:55 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2011年8月号に,鈴木浩巳「期限付解散決議と書面決議の活用」(6頁以下)がある。

 期限付解散決議に否定的な登記実務(登記所の取扱い)に対して,書面決議を活用することにより,期限付解散決議と類似の効果が得られるとするものである。

 書面決議の効力が生ずる日時を調整して,意図する解散の効力発生日時に,決議の効力が生ずるようにする工夫である。

 すなわち,書面決議の効力が生じた時に,解散の決議の効力が生ずるわけであるから,「期限付決議」ではないのである。

 慧眼である。

 唯一の穴は,当然のことではあるが,活用範囲が,書面決議を利用できる規模の株式会社(株主全員の同意を得ることができる株式会社)に限定されることであるが,相当数活用できるであろう。

cf. 平成23年1月8日付「株主総会の期限付決議」

 ここまでしなければならないものか・・・。

 なお,書面決議は,このように活用法をいろいろと考えることができそうであるので,難題が持ち上がったら,書面決議を利用できないかを検討してみるとよいであろう。
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東日本大震災の津波で死亡した犠牲者の遺族が提訴

2011-07-29 15:06:59 | 東日本大震災関係
讀賣新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110728-00000016-yom-soci

 東日本大震災の津波で死亡した犠牲者(自動車学校の学生)の遺族が,自動車学校の避難に不手際があったとして,提訴したという。

 難しい話である。
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合同会社の社員の同意等

2011-07-29 13:45:17 | 会社法(改正商法等)
 持分会社において社員の同意が必要な場合に、社員が法人であるときの同意書に記名押印をする者は、代表者 or 職務執行者のいずれであるか?

 たとえば、業務執行社員の選任は、定款の別段の定め(会社法第590条第1項)が必要であり、定款の変更は、原則として総社員の同意が必要である(会社法第637条)。この場合の同意の意思表示は、社員の資格に基づくものであるから、同意書は、社員の代表者が作成(記名押印)しなければならない。
 しかし、代表社員の選定を定款の定めに基づく社員の互選(会社法第599条第3項)によって行う場合、業務執行社員の互選によるのであり、業務執行社員の資格に基づく行為であるから、選定を証する書面には、法人の代表者ではなく、職務執行者が記名押印する必要がある。

 また、解散を総社員の同意(会社法第641条第3号)により決定する場合、同意書は、上記と同様に、法人の代表者が作成(記名押印)しなければならない。
 しかし、清算人の選任を社員の過半数の同意(会社法第647条第1項第3号)によって行う場合、同号かっこ書により、業務を執行する社員の過半数の同意とされていることから、この場合の同意の意思表示は、業務執行社員の資格に基づく行為であり、同意書は、職務執行者が作成(記名押印)しなければならない。

 実務上重要な区別であるから、留意する必要がある。

cf. 平成19年11月1日「合同会社の社員の同意等」

 7月27日(水)に,東京司法書士会港支部研修会で「各種法人登記の概要」の講師を務めたが,終了後,「定款変更を,業務執行社員の同意で行う場合はどうか?」という質問をお受けした。

 定款の変更は,原則として総社員の同意が必要である(会社法第637条)が,定款の別段の定めにより,「業務執行社員の全員の同意」によると定めた場合,この場合の同意の意思表示は,社員の資格に基づくものではなく,業務執行社員の資格に基づくものであるから,同意書は,職務執行者が作成(記名押印)しなければならないということになる。
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函館にて

2011-07-29 12:02:44 | 会社法(改正商法等)
 7月23日(土),函館司法書士会会員研修会で,「会社法施行後5年と商業登記実務」と「各種法人登記の概要」の講師を務めた。延べ5時間という長丁場で,途中地震でぐらぐら揺れたりしたが,参加された皆さん,お疲れさまでした。また,懇親会等でお世話になった先生方,ありがとうございました。

 24日(日)は,飛行機の時間まで余裕があったので,函館市内を散策。京都と違って,さわやかな気候で,快適。御指導いただいたとおり,立待岬や,五稜郭内に再現された函館奉行所なども訪れた。束の間の夏休みでした。
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