司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「役員会運営実務ハンドブック」

2016-04-18 11:28:01 | 会社法(改正商法等)
辺見紀男=武井洋一編「役員会運営実務ハンドブック」(商事法務)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=1276253

 平成26年改正会社法下における取締役会をはじめとした各種会議の運営等に関するポイントを簡潔にまとめた良書。特に,「役員会に関する情報管理」は,一読をお薦めする。
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取締役会と秘密投票

2016-04-18 09:53:45 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO99726180V10C16A4EN2000/

 件のセブン&アイの取締役会で,秘密投票(無記名投票)が行われたというお話。

 記事は,批判的であるが,取締役会の表決の方法については,会社法等に特段の規定はなく,また無記名投票が行われたのも,当該議案に限ってということのようであるから,問題なしであろう。

 ところで,取締役会における表決の結果は,取締役15名全員が出席し,当該議案については,賛成7名,反対6名,棄権2名ということだったようである。

 一見賛成多数で可決のように見えるが,特別利害関係人がないということであれば,いわゆる過半数要件は「15名」を基準に考えるから,「8名」の賛成がなければならず,「7名」では過半数に及ばず,否決ということになる。

 このような重要な議案に関して,「棄権」した2名は誰という話もあるが,一般論としては,議長である取締役社長(村田氏)ともう一人であり,私は,信認を問われた形である井阪氏ではないかと推測する。

 通常のケースであれば,議長は,表決権の行使を一旦留保し,可否同数の場合にはじめて自らの賛否の意思表示をするのであるが,今回はどうだったのであろう。

 退席せずの「棄権」は,「賛成しなかった」ということで,結果として「反対」の効果となったものであり,そういった意味では,今回の帰趨を決し得たわけであるが・・。

 通常の取締役会においても,表決の結果,賛成7名,反対6名,留保1名という事態は一般に起こり得るわけであるが,そこで,議長が「じゃあ私は賛成」と表決権を行使することを認めるのか,認めないのか,取締役会規程等で明確にしておくべきであろう。

 議長も取締役会の一員であることから,表決権の行使を認めない取扱いは,難しいと思われるので,「じゃあ~」の時点で「棄権」扱いとすることを不文律としておくことになろうか。
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