司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

森友学園問題 「錯誤」登記をめぐる謎

2017-02-27 21:22:29 | 不動産登記法その他
郷原信郎が斬る
https://nobuogohara.wordpress.com/2017/02/27/%E6%A3%AE%E5%8F%8B%E5%AD%A6%E5%9C%92%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%80%80%E3%80%8C%E9%8C%AF%E8%AA%A4%E3%80%8D%E7%99%BB%E8%A8%98%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8B%E8%AC%8E/

 国から新関西国際空港株式会社への「平成24年7月1日現物出資」を原因とする不動産の所有権の移転の登記が「錯誤」により抹消されているそうだ。

 新関西国際空港株式会社は,平成24年4月1日設立であり,上記現物出資は,いわゆる募集株式の発行によるものである。同社の有価証券報告書にもその旨の記載がある。

1 商業登記について
 不動産の現物出資であり,会社法第207条の適用があるから,裁判所が選任する検査役による調査等の手続が必要となる。

 いわゆる相応の手続を踏んで,募集株式の発行による変更の登記が管轄登記所に申請されて,登記官による慎重な審査を経て,登記が完了したものであるはずである。

 その現物出資の一部が錯誤により無効というのであれば,新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したということであろうか?

 この場合,資本金の額は減少しない(会社計算規則第25条第2項第1号)が,発行済株式の総数は,その分減少するはずであるが,その旨の更正の登記はされたのであろうか?

 最近の登記所の傾向として,単純に「間違ってました!」では,更正の登記の申請は受理されないはずである。

 とまれ,国自ら公正証書原本等不実記録罪,ということは,さすがにないでしょう。


2 不動産登記について
 不動産の所有権の移転の登記を「錯誤」により抹消の登記を申請する場合においても,その登記の申請書には,いわゆる登記原因証明情報を添付しなければならない。

 この点,平成16年改正前不動産登記法の時代は,「錯誤」による抹消の登記の申請は,申請書副本を添付して,いわゆる登記原因証書の添付なしで行われていた。

 しかし,同改正後は,登記原因証明情報を添付しなければならないものとされ,登記官による慎重な審査が行われている(はずである)。

 申請書に添付された登記原因証明情報には,上記のとおり,新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したということが記載されているのであろうか?

 善解すれば,現物出資する不動産を取り違えた?

 とまれ,こうゆう事情については,速やかに開示すべきではないだろうか。

cf. 登記事項証明書の写真
https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=jog7ng90b-760#_760
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