グレーゾーン解消制度の活用事例
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/result/gray_zone.html
1.確認の求めを行った年月日
令和4年5月6日
2.回答を行った年月日
令和4年6月6日
3.新事業活動に係る事業の概要
(1) ユーザーは、照会者との間でサービスの利用契約を締結し、所定の料金を支払うことにより照会者が提供するアプリケーション上でAI契約審査サービス(以下「本件サービス」という。)を利用することができる。
(2)ユーザーは、法務審査を希望する契約書を当該アプリケーション上にアップロードする。
(3)照会者は、AI技術を用いて、アップロードされた契約書の記載内容について、ユーザーにとって法的観点から有利であるか不利であるか等の審査結果を当該アプリケーション上で表示する。
4.確認の求めの内容
本件サービスが弁護士法第72条本文の適用を受けないものであること。
5.確認の求めに対する回答の内容
(1)弁護士法第72条本文は、「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」と規定している。
本件サービスについては、同条本文に規定する「その他一般の法律事件」に関して「鑑定(中略)その他の法律事務」を取り扱うことに当たるかが問題となる。
照会書によれば、本件サービスは、ユーザーが法務審査を希望する契約書をアプリケーション上にアップロードし、照会者において、AI技術を用いて、当該契約書の記載内容につき、①法的観点から有利であるか不利であるか、②法的リスク、③法的観点から修正を検討すべき箇所及びその修正の文案、④法的観点から留意すべき事項について検討を促す旨、⑤法的なリスクを数値化したリスクスコア、をいずれもユーザーの立場に立ってアプリケーション上で表示するというものである。
(2)ユーザーが、本件サービスを利用して法務審査を受ける契約書に係る契約は、その目的、本件サービスを利用する者(ユーザー)と相手方との関係、契約に至る経緯やその背景事情等の点において様々であり、こうした個別の具体的事情によっては、本件サービスが、弁護士法第72条本文に規定する「その他一般の法律事件」に関するものと評価される可能性がないとはいえない。
次に、本件サービスにおいて、前記①ないし⑤の各事項についての表示をするに当たっては、審査対象となる契約書に含まれる条項の具体的な文言からどのような法律効果が発生するかを判定することが大前提となっており、これは正に法律上の専門的知識に基づいて法律的見解を述べるものに当たり得る。よって、本件サービスは弁護士法第72条本文に規定する「鑑定」に当たると評価され得るといえる。
なお、本件サービスを提供する照会者は、ユーザーが法務審査を受ける契約書に係る契約の当事者等ではないから、本件サービスによる法務審査が「他人の」法律事件に関するものに当たると評価され得る。
(3)以上によれば、本件サービスは、弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる。
「照会者が提供するサービスは」,という限定があるともいえるが。
cf. やまもといちろう氏のブログ
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13306215.html