看過していたが,日公連の定款モデル(取締役会設置会社でない株式会社)に次のような条項がある。
(代表取締役及び社長)
第25条 当会社に取締役を複数置く場合には、代表取締役1名を置き、取締 役の互選により定める。当会社に置く取締役が1名の場合には、当該取締役を代表取締役とする。
2 代表取締役は、社長とし、当会社を代表する。
3 当会社の業務は、専ら取締役社長が執行する。
cf. 定款等記載例
https://www.koshonin.gr.jp/format
第3項に「専ら」とあるが,これは,代表取締役以外の取締役の業務執行権を制限する(業務執行権を有しないものとする。)趣旨であるようだ。
取締役会設置会社においては,代表取締役以外の取締役については,会社法第363条第1項第2号の「業務執行取締役」として選定しない限り,業務執行権を有しない。
しかし,取締役会設置会社でない株式会社においては,逆に,定款の別段の定めがない限り,代表取締役以外の取締役も業務執行権を有するのである。
日公連の定款モデルの「専ら」は,定款の別段の定めに相当するものである。
会社法
(業務の執行)
第348条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3・4 【略】
取締役会設置会社以外の株式会社における取締役の属性については,十分に吟味されない嫌いがあるが,実は,次の6種類に分類される点に留意する必要がある。
① 代表取締役
② 業務執行権を有する取締役(代表取締役以外の取締役であって,定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているもの以外の取締役をいう。以下同じ。)であって,現に業務を執行しているもの
③ 業務執行権を有する取締役であって,現に業務を執行していないもので,社外取締役の要件を満たさないもの
④ 業務執行権を有する取締役であって,現に業務を執行していないもので,社外取締役の要件を満たすもの
⑤ 定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているものであって,社外取締役の要件を満たさないもの
⑥ 定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているものであって,社外取締役の要件を満たすもの
cf. 平成22年9月10日付け「取締役会設置会社以外の株式会社における「社外取締役」」
ところで,日公連の同じ定款モデルに,次の条項があるが,
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、取締役の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主に譲渡する場合には、承認をしたものとみなす。
この「取締役の承認」は,取締役が複数ある場合には,業務執行権を有する取締役の過半数の承認の意味である。第25条第3項で「専ら」を用い,代表取締役のみが業務執行権を有する(②③④の取締役が存しない。)類型の株式会社(取締役会設置会社以外の株式会社に限る。)にあっては,第7条の「取締役の承認」については,「代表取締役の承認」と置き換えるべきであろう。
また,本店移転による変更の登記等の申請において,添付書面として取締役による決定書を作成して添付する場合も,「専ら」類型においては,代表取締役による決定書でよいことになる(この場合,定款もセットで添付することになる。)。決定書に取締役全員の記名押印があっても,代表取締役以外の取締役については,余事記載であるということである。
取締役全員が業務執行権を有することとする場合には,上記第25条第3項の規定は,不要であり,削るべきである。
(代表取締役及び社長)
第25条 当会社に取締役を複数置く場合には、代表取締役1名を置き、取締 役の互選により定める。当会社に置く取締役が1名の場合には、当該取締役を代表取締役とする。
2 代表取締役は、社長とし、当会社を代表する。
3 当会社の業務は、専ら取締役社長が執行する。
cf. 定款等記載例
https://www.koshonin.gr.jp/format
第3項に「専ら」とあるが,これは,代表取締役以外の取締役の業務執行権を制限する(業務執行権を有しないものとする。)趣旨であるようだ。
取締役会設置会社においては,代表取締役以外の取締役については,会社法第363条第1項第2号の「業務執行取締役」として選定しない限り,業務執行権を有しない。
しかし,取締役会設置会社でない株式会社においては,逆に,定款の別段の定めがない限り,代表取締役以外の取締役も業務執行権を有するのである。
日公連の定款モデルの「専ら」は,定款の別段の定めに相当するものである。
会社法
(業務の執行)
第348条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3・4 【略】
取締役会設置会社以外の株式会社における取締役の属性については,十分に吟味されない嫌いがあるが,実は,次の6種類に分類される点に留意する必要がある。
① 代表取締役
② 業務執行権を有する取締役(代表取締役以外の取締役であって,定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているもの以外の取締役をいう。以下同じ。)であって,現に業務を執行しているもの
③ 業務執行権を有する取締役であって,現に業務を執行していないもので,社外取締役の要件を満たさないもの
④ 業務執行権を有する取締役であって,現に業務を執行していないもので,社外取締役の要件を満たすもの
⑤ 定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているものであって,社外取締役の要件を満たさないもの
⑥ 定款の別段の定めにより業務を執行しない取締役と定められているものであって,社外取締役の要件を満たすもの
cf. 平成22年9月10日付け「取締役会設置会社以外の株式会社における「社外取締役」」
ところで,日公連の同じ定款モデルに,次の条項があるが,
(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の発行する株式の譲渡による取得については、取締役の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主に譲渡する場合には、承認をしたものとみなす。
この「取締役の承認」は,取締役が複数ある場合には,業務執行権を有する取締役の過半数の承認の意味である。第25条第3項で「専ら」を用い,代表取締役のみが業務執行権を有する(②③④の取締役が存しない。)類型の株式会社(取締役会設置会社以外の株式会社に限る。)にあっては,第7条の「取締役の承認」については,「代表取締役の承認」と置き換えるべきであろう。
また,本店移転による変更の登記等の申請において,添付書面として取締役による決定書を作成して添付する場合も,「専ら」類型においては,代表取締役による決定書でよいことになる(この場合,定款もセットで添付することになる。)。決定書に取締役全員の記名押印があっても,代表取締役以外の取締役については,余事記載であるということである。
取締役全員が業務執行権を有することとする場合には,上記第25条第3項の規定は,不要であり,削るべきである。