司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

学校法人における理事との利益相反取引

2020-06-03 13:25:30 | 法人制度
 改正私立学校法(令和元年法律第11号)が令和2年4月1日から施行されており,学校法人における理事との利益相反取引について,取扱いが変更されている。

cf. 新旧対照表
https://sikeiken.or.jp/shigakuhou.pdf

Q&A
http://sikeiken.or.jp/sigakuhouQ%EF%BC%86A.pdf

文部科学省改正私立学校法説明会資料
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1422186.htm

改正前
 (利益相反行為)
第40条の5 学校法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合において、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。

改正後
 (一般社団・財団法人法の規定の準用)
第40条の5 一般社団・財団法人法第80条の規定は民事保全法(平成元年法律第91号)第56条に規定する仮処分命令により選任された理事又は理事長の職務を代行する者について、一般社団・財団法人法第82条、第84条、第85条及び第92条第2項の規定は理事について、一般社団・財団法人法第103条及び第106条の規定は監事について、それぞれ準用する。この場合において、一般社団・財団法人法第82条中「代表理事」とあるのは「理事長」と、一般社団・財団法人法第84条第1項中「社員総会」とあるのは「理事会」と、一般社団・財団法人法第85条中「社員(監事設置一般社団法人にあっては、監事)」とあるのは「監事」と、一般社団・財団法人法第103条第1項中「定款」とあるのは「寄附行為」と読み替えるものとする。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
 (競業及び利益相反取引の制限)
第84条 理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
 (1)理事が自己又は第三者のために学校法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
 (2)理事が自己又は第三者のために学校法人と取引をしようとするとき。
 (3)学校法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において学校法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法(明治29年法律第89号)第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号の取引については、適用しない。


 というわけで,学校法人と理事の利益相反取引については,理事会の承認が必要となる。

 改正前の利益相反行為の規定(法第40条の5)は,理事長や代表権を有する理事についてにのみ適用されていたが,改正後の利益相反取引の規定(法第40条の5の規定による一般社団・財団法人法第84条の規定の準用)は,理事全員について適用される。

 この場合,例えば,不動産取引においては,下記の記事と同様の問題が生ずる。

cf. 平成29年2月2日付け「医療法人における理事との利益相反取引と不動産登記」
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