社団法人日本不動産学会主催の「いわゆる中間省略登記代替手段に関する法的実務的論点セミナー」を拝聴した。
http://www.jares.or.jp/jp/events/seminar_2007.pdf
一方当事者である事業者側の論理であるから、致し方ないのかもしれないが、終始、「いわゆる中間省略登記代替手段」は可能!、という論調であった。
既述のとおり、「いわゆる中間省略登記代替手段」である「第三者のためにする契約」手法を採れば、登記技術的にはパスするのかもしれないが、消費者保護の視点は欠けているように思われる。「法的実務的論点セミナー」であるから、そのあたりにも目配せした内容であろうと期待していたが、国土交通省の担当者が「甲と丙は、契約関係にないので、丙は、不安定な立場に置かれる可能性がある。」旨の言及をしたのみで、法的に精緻な発言を続けていた吉田弁護士でさえも、最後にその点を「ためにする議論」と一蹴していたのは真に残念である。
「仲介手数料よりも転売差益の方が儲かる」という発想で(あるいはダブルで儲けようという発想で)、「いわゆる中間省略登記代替手段」が普及することには、消費者保護の観点から、重大な懸念を覚えざるを得ない。
不動産取引に立会する司法書士の職責がさらに重くなるということであろう。