日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG12017_S2A011C1CR0000/
民法に基づく詐害行為取消しの対象となると判断。
債権者は,新設分割会社が取得した新設分割設立会社の株式に対して強制執行をすることができるとはいえ,取消しを認めざるを得ないでしょうね。
最高裁平成24年10月12日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82628&hanreiKbn=02
【要旨】
「株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,民法424条の規定により,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる」
【抜粋】
「本件新設分割により,上告人(新設分割設立会社)はA(新設分割会社)から一部の債務を承継し,Aは上記承継に係る債務について重畳的債務引受けをしたが,本件保証債務(被上告人に対する債務)は上告人に承継されなかった」
「詐害行為取消権の行使によって新設分割を取り消したとしても,その取消しの効力は,新設分割による株式会社の設立の効力には何ら影響を及ぼすものではない」
「株式会社を設立する新設分割がされた場合において,新設分割設立株式会社にその債権に係る債務が承継されず,新設分割について異議を述べることもできない新設分割株式会社の債権者は,民法424条の規定により,詐害行為取消権を行使して新設分割を取り消すことができる」
「債権の保全に必要な限度で新設分割設立株式会社への権利の承継の効力を否定することができる」
【補足意見】
「本件新設分割によって,その直前の時点でのAに対する一般債権のうち,上告人によって承継されない本件保証債務(約4億5500万円)を含む債務に係る一般債権(以下「本件残存債権」という。)と,承継された債務に係る一般債権(以下「本件承継債権」という。)とは,その引当てとなる財産(責任財産)が異なることになる」
「要するに,本件新設分割における対価が相当であるとしても,Aの純資産(株式価値)は変動しないが,本件残存債権の責任財産は大幅に変動するなどの事態が生じ,かつ,本件残存債権の債権者と本件承継債権の債権者との間で著しい不平等が生ずるに至ったということである」