第8回規制改革推進会議
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20200702/agenda.html
答申案16頁以下である。
(5)書面規制、押印、対面規制の見直し
【a,g:措置済み、b:令和2年度、できるだけ早期に措置、
c:令和2年検討開始、早期に結論、d,f:令和2年度上期措置、
e:直近の法改正の機会を捉えて速やかに法案提出】
<基本的考え方>
今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした新しい生活様式により、不必要な出社や他者との接触の機会を減らすことが求められている中、書面のやり取りや押印等のために出社を余儀なくされるという事態ができるだけ生じないようにしていく必要がある。
民間事業者間の手続において、民間事業者が押印の廃止や他の方法による代替をする際には、それによりどのような影響があるか等の懸念が伴う。規制改革や各業界を所管する府省庁からこれらの懸念点に対する考え方を示すことで、民間事業者の押印の廃止や代替に向けた動きを促進すべきである。
また、押印の代替手段としては、メール等含め様々な電磁的手法が考えられるが、電子署名の活用も有効な一手段である。電子署名や認証サービスとして、現在、様々な形態のサービスが生まれ利用が広がっているが、それぞれのサービスについて、電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)における取扱いが不明確である。コロナ危機への対応やデジタル技術の活用の観点も踏まえ、クラウド技術を活用した電子認証サービスの電子署名法上の取扱いを速やかに示すとともに、今後抜本的な制度改正も視野に入れた見直しが必要である。
さらに、民間事業者間における手続については、特に不動産関係、金融関係、会社法関係において書面の電子化や押印の不要化、対面規制の見直しを求める声が多くある。これらの分野において必要な緊急対応を行うとともに、引き続き問題点の洗い出しを行い、手続の見直しを早急に行っていかなければならない。
なお、書面規制、押印、対面規制の見直しについては、感染症対策として速やかに緊急的措置を行うとともに、今回の措置が社会に与えた影響も踏まえつつ、今後、企業の生産性向上の推進や緊急時への備えとして、引き続き取り組んでいく必要がある。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。
<実施事項>
a 内閣府、法務省及び経済産業省は、商慣行として押印が定着している民間事業者間の商取引等について、民間事業者による押印廃止の取組が進むよう、押印に関する民事基本法上の規定の意味や、押印を廃止した場合の懸念点に応える考え方等を示す。
b 総務省、法務省及び経済産業省は、サービスの利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化を行うこと等によって当該 文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサービスであっても、当該サービスの利用者の意思に基づきサービス提供事業者の判断を交えず機械的に行われることが技術的・機能的に担保されたものがあり得るところであり、このようなサービスに関して、電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」の解釈において、当該サービスの対象となる電子文書に付された情報の全体を1つの措置として捉え直してみれば、当該サービスの利用者が当該措置を行ったと評価できることについて、その考え方をQ&A等で明らかにし、広く周知を図る。
c 総務省、法務省及び経済産業省は、電子署名に対し、民事訴訟において署名・押印同様の推定効を定める電子署名法第3条の在り方に関して、サービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービスなどについても一定の要件を満たせば対象となり得ることに関して、その考え方を明らかにする。
d 国土交通省は、不動産取引に係るITを活用した重要事項説明について、賃貸取引においては本格運用、法人間及び個人を含む売買については社会実験を実施しているところ、社会実験における実施報告、アンケート等の参加事業者の責務について、負担軽減を図り、環境整備に努める。
e 国土交通省は、不動産の賃貸取引における重要事項説明書等の書面の電子化について、社会実験を行っているところであり、それを踏まえつつ、不動産取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付等に向けて宅建業法の関連規定について、改正措置を講じる。書面の電子化の本格運用に際しては、対面の場合とは異なり事前の電子メール等での説明が容易である等オンライン取引の特
質があることを踏まえ、利便性について、総合的な判断により一定の評価を受けた手法については積極的に活用するものとする。
f 金融庁は、金融機関における口座開廃、融資の申込み等、種々の金融関連手続について、金融業界と連携して検討を行う場を設けた上で、業界全体での慣行の見直しを行い、書面、押印、対面の不要化や電子化を促進する。
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法務省は、電磁的記録をもって作成された取締役会の議事録への出席取締役等による「署名又は記名押印に代わる措置」(会社法第 369 条第4項、会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)第 225条第1項第6号、第2項)について、電子契約事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービス等も含まれるものとし、その解釈について周知徹底を図る。