法務大臣閣議後記者会見の概要(令和2年7月10日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00101.html
「2件目は,自筆証書による遺言書を保管する制度が開始したことについてです。
本日,「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行され,遺言書保管所として指定された全国312か所の法務局において,自筆証書による遺言書を保管する制度が始まりました。
申請された遺言書は,法務局において,長期間適正に保管されることから,改ざんされたり,遺言者の死亡後に相続人に発見されなかったりするリスクが軽減されます。
また,家庭裁判所における検認も不要となります。
この制度の開始に当たっては,申請等の手続についてウェブサイトから予約ができるようにするなど,利便性の向上に努めております。
今後も,より広く国民の皆様に利用していただけるよう,適正な運用を行うとともに,引き続き,制度の周知に努めてまいります。」
〇 自筆証書遺言書保管制度に関する質疑について
【記者】
大臣から今発表がございました自筆証書遺言書保管制度についてお伺いいたします。
この制度によって遺言書の紛失,破棄,改ざんなどの懸念を払拭できる一方で,依然としてパソコンなどで作成した遺言書については認められておりません。こういった現状について改善の余地を指摘する声もありますが,電子媒体による遺言の位置付けについて,どのような在り方が望ましいと大臣はお考えでしょうか。
【大臣】
平成30年の相続法制の見直しにおいて,御指摘の自筆証書遺言書保管制度を導入しました。その際,自筆証書遺言についても方式が緩和され,遺言書に添付する財産目録については,自書することを要しないこととされました。
もっとも,遺言書の本文については,現在も,遺言者本人の自書による必要があるものとされております。
これは,遺言書については,紛争が生じた場合には,本人が既に死亡しているため,本人の筆跡など遺言書自体から,本人が書いたものであるかどうか,遺言者の真意により作成されたものかどうかについて客観的に判断することができるようにする必要性が高いためです。
他方で,電子媒体による遺言が認められれば,自筆で遺言書を書くことが困難な方が遺言を作成する場合の選択肢が増えるものと考えられ,遺言書の作成を容易にするという観点からはメリットがございます。
したがって,電子媒体による遺言については,最新技術の活用等によって,当該遺言書が本人の真意により作成されたものであることが担保されるなどの条件面が整えば,その導入を検討する余地があるものと考えております。
私が主催する法務省DX会議(法務省デジタルトランスフォーメーション総合推進会議)において,CIO補佐官からのアドバイスも受けながら,現在のデジタル社会において,こういった電子媒体による遺言というものを導入できないかどうかについて,積極的に検討を進めてまいりたいと思います。
デジタル遺言について,検討するということですね。
cf.
平成31年12月17日付け「米国,デジタル遺言が普及へ」
平成30年11月5日付け「デジタル遺言」の可能性