tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

物価上昇:諦めと監視と生産性向上

2022年04月04日 17時28分28秒 | 経済
消費者物価が上がっています。最も速報性のある東京都区部の3月の消費者物価の対前年同月上昇率は
消費者物価総合:1.3%
生鮮食品を除く総合:0.8%
生鮮食品とエネルギーを除く総合:-0.4%
という事ですから、上がっているのはエネルギーと生鮮食品で、それ以外は少し下がっているという事でしょう。

生鮮食品も冬場ですから、灯油暖房で栽培の野菜も多いので、エネルギー代が嵩んでいるのかもしれません。
しかし今後は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」も上昇してきそうな気配ですから消費者物価総合ももう少し上って来る可能性があります。
それに対して必要になるのが「諦め」と「監視」と「生産性向上」です。

「諦め」
原油やその他の資源や穀物の価格が上がってガソリンやティッシュやお豆腐やパンが値上がりするのは、諦めるしかありません。政府に補助金を出してもらっても補助金のもとは税金と国債ですから結局は国民負担です。
世界中で上がっているのですから、日本だけ上がらないということは出来なにので、諦めましょう。少し経てばまた下がる事もあるでしょう。

「監視」
こういう時にはよく便乗値上げも起きます。少し多めに値上げして儲けようという動きです。
日本では、人間が真面目ですし、競争も激しく、情報が行き渡っていますから買占めや便乗値上げはあまりないようです。
しかし、外国から物を買う場合も含めてしっかり監視する必要はあるでしょう。

「生産性向上」
物価値上げに対抗する決定打は生産性向上です。鶏卵やもやしが何十年も値上げせずにやっていられるのは、生産性向上が出来ているからです。もやしやキノコの栽培工場は凄いですね。
省エネは、エネルギーの生産性向上、省資源は資源の生産性向上、省力化は労働生産性の向上です。

日本はかつては世界トップクラスの生産性を誇っていましたが、最近はOECD加盟国の中で20番目より下のようです。昔のように頑張れば、それだく物価は上がりません。

ところで、資源価格や為替レートの円安で物価が上がる分は、コロナやロシアのウクライナ侵攻が解決に近づけば、また、アメリカの金利引き上げ問題がおさまればまた正常化するでしょう。

欧米諸国が恐れたり慌てたりしているのは、こうした特殊事情によるインフレを利用して、便乗値上げや大幅賃上げが起きて、インフレが収まらなくなる(賃金物価スパイラルなどで)事なのです。

現に欧米では、労働組合結成や労働組合の賃金要求が急に激しくなっています、さいわい日本はこうした動きは、問題になるようなものではなく、安定した動きが続いています。

こういう国では、インフレはせいぜい2~3%台程度までで、7%とか9%とかいう事には絶対なりません。

コロナもいずれ終息するでしょうし、国際情勢も正常な状態に戻れば、日本の物価は自然に正常化するでしょう。 
そしてその時は、多分、円安ではなく円高を心配しなければならないことになりそうな気がしています。