tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀「短観」で見る企業の想定円レート

2022年04月02日 17時17分08秒 | 経済
前回、昨日発表された2022年3月時点の日銀「短観」主要部分についてご報告致したところです。

昨年12月時点までは、コロナもそろそろ征圧の可能性も見えて来て、先行き明るいという見方が大勢でしたが、2月下旬からはロシアのウクライナ侵攻による国際経済の混乱と、オミクロン株の意外に強い感染力で、世界的に経済情勢が変わり、企業は当面容易でない状態が続くのではないかといった見方に変わっていました。

前回は、円レートの部分については触ませんでしたいので、今回補足したいと思います。

項目の表題は「事業計画の前提になっている想定為替レート」という事で。2022年3月期の発表資料(ネット)で出ているのは全産業全規模の想定の平均だけです。

後から詳細のデータが発表になりますが、その時は産業中分類の業種別の回答も発表されますから、2021年12月時点(前回)の調査については業種別の想定値の違いなども見られます。

という事で今回の3月時点の全産業全規模の想定の為替レート(ドル・円)を見ますと

2021年度110.00円  (上期109.06円 下期110.96円)
2022年度111.93円  (上期111.92円 下期111.95円)

ということになっています。
現状とは、かなり違った数字になっていますが、企業としては、マーケットの乱高下も考慮の上、最終的に(平均的に)この程度に落ち着くのではないかという想定でしょう。

ここから見えてくることは、2021年度については既にほぼ結果が出ている部分もあるわけで、問題は今後ですが、2円近い円安を見込んでいます。
マネーマーケットの投機的な動きはあるにしても、この程度が経済の先行きから見てと同時に、自社の収益状況などを予測するにしても、適切に説明できる可能性のある範囲を見据えて「想定値」としていると思われます。

因みに、政府経済見通しの円レートの2022年度の予想値は114.1円ですから、政府の方が大分円安の見込みのようです。

政府、日銀は、円安になった方が、経済運営は上手く行くという考え方が基本的にあるようですから少しバイアスがかかっていると見るのは僻目でしょうか。
民間企業は、固めに見るというのが一般的なようで、上記の前回調査についての数字をみましても、輸出関連産業は、僅かに円高寄りを想定、輸入関連産業は、僅かに円安寄り想定といった傾向があるように見受けるところです。

ただ、産業別の想定値を見ましても、せいぜい1円内外の差というのが実態で、出来るだけ客観的であり、出来るだけ正確を期したいという意識が見えるように感じます。

日銀「短観」では、「ユーロ・円」の想定値も調べていますので、それも載せておきます。

2021年度128.01円  (上期128.11円 下期127.92円)
2022年度128.18円  (上期128.17円 下期128.20円)