tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

3月の消費者物価を追加しました

2022年04月22日 15時51分22秒 | 経済
主要3物価の推移

         資料:日本銀行、総務省
今日、総務省から2022年3月の全国の消費者物価が発表になりました。
2020年=100の指数は101.1で先月発表の先行指標、東京都区部の3月分の速報値101.1と同じでした。
結果、上のグラフ2021年1月基準でも、2月の0.9%上昇から0.4ポイント増え、1.3%になりました。
じりじり上昇が続きそうですが、グラフで確り追跡します。

当面する経済問題を整理する:対策の基本は所得構造

2022年04月22日 14時20分29秒 | 経済
この4回ほど「当面する経済問題を整理する」という事で書いてきましたが、きっかけは、やっと2%インフレ目標が達成されたのに、政府は大慌てで低所得層への給付金のバラマキの仕方の摺合せに走るだけという奇妙な事態でした。

懸案の目標達成ならば、何かいい事があるはずが、実はなんもないのだという事が、国民に広く知れ渡ってしまったという事は、政府の目標はとんだ見当違いだったという事でしょう。(言い訳はあるでしょう。それならそうと最初から・・・)

今は、そんなことになった原因を確り整理して、説明できるようにすることが政府の仕事でしょうが、そんな事はそっちのけで、参院選のための人気取りに、インフレで困っている人により手厚い給付金のバラマキをと与野党ともに競っているのです。

何とも情けない構図ですが、それも我々が選挙で選んだ人たちがやっているのですから、民主主義の原則に則れば、やっぱり責任は我々にあるのでしょう。

ということで、我々が、どうすればこんな奇妙な政治にならないで済むかを考えなければならなくなるのでしょう。

そして最終的に「こうしたインフレ要因を放置する日本経済社会の構造問題」の検討が必要ということになり、今回はその中心「所得構造」、端的に言えば、「所得の格差拡大」といういわゆる格差社会化の放置が、こうした奇妙で不合理な結果につながっているというところまで来たわけです。

確かにジニ係数は大きくなっています。歴史的にはプラザ合意の結果、円レートが1ドル=240円から120円になり、日本が(ドル建てで)賃金も物価も世界一高い国になったことから所得格差の拡大は始まりました。

そして、30年に及ぶ円高不況の中で、日本経済の最大のコストである賃金の引き下げのために、賃下げをやり、それに加えて、賃金の大幅に安い非正規労働力を増やすことで平均賃金の引き下げを図ったため、日本社会に巨大な低賃金層が生まれたのです。

この非正規労働者問題は、賃金格差だけではなく、企業の社会人教育、技能技術教育、人材育成の手抜きにもつながり、結果は、いわゆるメンタルヘルス問題や引きこもり、80=50問題にまでつながる後遺症となっていると見られています。

この問題については、為替レートを2倍に切り上げられて、経済が壊滅しなかっただけでも評価されるべきで、賃下げや非正規雇用像は緊急避難のための已むを得ざる選択だったという見方のあることも事実でしょう。

しかし更なる問題は、安倍政権になって、円レートが$1=120円に正常化してからも、雇用・賃金構造の復元、特に非正規雇用の正規雇用化がほとんど起きていません。
この点については、政府の政策の問題、と企業経営者の業員重視の考え方の希薄化(人よりカネへ)が言われるところです。

このブログでも、再三にわたり、為替レートが正常化すれば、経営者の雇用についての考え方の復元現象が起きるはずだと述べてきましたが、残念ながらその見方は全く外れたままです。

はっきり言って、政府がかつてのように所得税制、企業税制を格差社会化の阻止の重視に切り替え。企業が、非正規従業員の正規化を積極化し、かつてのように企業は人を育てるのが社会的責任といった経営思想に戻れば、2%インフレで、低所得層に慌てて給付金をバラ撒くといった事で大騒ぎする必要はなくなっていたでしょう。

そのあたりの問題を、次回もう少し具体的にみていきたいと思います。