このたびの物価上昇は「悪いインフレ」だと言われるようですが、ともかく、政府・日銀の懸案のインフレ目標「2%」達成されることになるようです。
試しに計算してみますと昨年4月の消費者物価指数は99.1、今年の3月の東京都区部の速報値は101.1です。
割り算をしますと102.0です。来月4月の東京都区部の数字が出、再来月に全国の数字が出て確定ということにあるのでしょうが、4月の数字が上記の101.1を上回ることはほぼ確実ですから、多分4月段階でインフレ目標2%は達成ということになるのでしょう。
思い出すのは昨年の2月、日経平均が3万円を記録したとき、当時の菅総理が「3万円は目標のまた目標だった」大変素直に喜んでいたことです。
今はまた26.000円台に落ちて来ていますが、日本経済をどうするかを考える立場の総理大臣が、3万円になったと喜ぶだけでは困ったものでしかありません。「朝は雨だったけど、お天気なってよかったね」とは違うのです。
ところで、2%インフレが達成されて「良かったね」ではなくて、ではこれからの日本経済をどうするかという段階に入るので、さて、次の目標は何で、そのために何をするか、が決まっていて初めて経済政策、金融政策の役割が意味を持ってくるという事でしょう。
ところがこの段階になっても、日銀は異次元金融緩和をと当分のところ維持ということで、特に新しい目標への言及はありません。
日銀としては、異次元金融緩和を続けて、やっと2%インフレ目標が達成出来たのですから今度は政府の番ですよというのでしょうか。
また政府にしてみても、早晩2%インフレ目標が達成出来るという事は当然見えていると思いますが、ここまで来たら次はこの手につなげていくなどといった計画や構想のお話などは、特に聞こえてきません。
アベノミクスの時から、国民は耳にタコが出来るほど聞かされている経済運営の目標が達成できるのに、国民生活は、よくなるどころかかえって悪くなっているような状況の中で、政府は国民に何と説明してくれるのでしょうか。
いや、今度のインフレは「悪いインフレ」で政府が目指したものとは違うのだから、目標達成ではないのです、などと言われそうな感じもするのですが、それならそうと最初から「こういうインフレが目標です」と国民に解り易く説明しておくべきだったのでしょう。
やっぱり資源価格が上がって、円安になったからインフレになったというのでは駄目でしょうか、外国もインフレだから駄目だというのでしょか。日本だけがインフレでないと駄目なのでしょうか。
色々考えてみても、政府・日銀の考えている2%インフレ目標が、そんなに結構な物なのかという事はさっぱり解りません。
この際、政府・日銀は、国民に対して、何で2%インフレが良くて、しかし、現在のインフレは悪いのか、これを良いインフレにすることは出来ないのか、出来そうないのなら、それなら次はどういう目標を掲げるのか、国民に対して、よく解るように、確りと説明責任を果たしてもらいたいと思うのですが、国民の皆様は、どう感じておられるのでしょうか。