tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差社会化の阻止と年金問題

2022年04月26日 17時46分43秒 | 経済
コロナ禍の影響でしょうか、合計特殊出生率の低下が見られるようです。一時的なものであってほしいと思っていますが心配です。

いま日本で、社会保障関係で最も心配されているのが年金問題でしょうか。政府自体がまったく定見を持てていないのでしょう。

麻生さんの、審議会の答申受け取り拒否(老後生活に2千万円の準備が必要という答申)についての説明もありませんし、積立金の運用をマネーゲームで稼ごうという事で何とかなるのかどうか誰にも解りません。

基本的にはマクロ経済スライド方式で、つまりは日本経済の動向次第ですという事で、理屈はその通りでしょうが、現実はどうなるかが国民の心配なのです。

老後が心配の国民は、自力で老後資金を準備しようと、現実の生活は「貯金貧乏」になっています。

「貯金貧乏」とは、老後のために頑張って貯金をするのですがゼロ金利で貯金が増えないので(物価も上がりそう)利息を自分でつけなければならず、その分だけ必要貯金額が増えて、消費生活が貧乏になっていくという事のようです。

振り返って見ますと、かつて「厚生年金基金」が大流行の時代がありました。これは厚生年金の報酬比例部分を、企業やその連合体などが○○厚生年金基金という基金を作って政府の代行をし、集めた掛金を運用し、厚生年金より割の良い利回りで、上乗せ給付が可能になるというシステムで、1966年に制度がスタートし、急速に増えて、1996年には1883基金もあったそうですが、今はほとんどありません。

その理由は当時は金利も高く運用益の順調で、基金は好業績で急速に増えていきました。しかし円高とバブル崩壊で長期不況に入り、1996年に公定歩合が0.5%にまで下げられ低金利時代になり、その後ゼロ金利時代に入って運用益が出なくなってしまったからです。

結局、厚生年金基金は積立不足になり、不足分を企業が自己資金で補填したりした上で、本体の厚生年金に返上したのです。

この現実が象徴的に示しますように、ゼロ金利を続ければ、「基金」というものは存在できなくなるのです。

政府関係の基金では経費は国家予算で出るようですが、民間の基金は(財団法人なども)金利がつかなければなり立ちません。

仕方なしに株式投資などのギャンブル収入を得ようとして多くは失敗したりし破産や解散になったりしたのでしょうか。
公的年金の資産を運用するGPIFも頑張っているのでしょうが、なかなか難しいようです

こういうマネーゲームは一般的に資金量の大きい方が有利と言えるようで、マネーマーケットをリードできるような力と、情報力の強い所が有利と言われます。

個人の財産づくりでも、資金力の大きい方が有利で情報力もあり、結果は所得格差、資産格差の拡大になるというのが資産運用では一般的なようです

こうした状況を何とかするためには、まずゼロ金利をやめる事が必要ということになるのでしょうが、
・ゼロ金利をやめたら円高になる可能性が高い
・国債の金利負担が増え、既発債が暴落する
・経済成長がなくては実質金利が挙げられないのではないか
などなどいろいろな問題が一斉に噴き出してくるでしょう。

政府、日銀、産業界、生活者(庶民)の皆さんが、十分なコミュニケーションの下に、ありったけの知恵を出さなければならない(影の声:まず経済成長でしょうね)というのが今の日本でしょう。