前回は、雇用や賃金を中心に、産業界や企業労使が考える、いわば企業の経営理念や人為制度における日本企業の伝統的な活動について見てきました。
しかし現在の世界の潮流を考えれば、放置すれば進行する格差社会化を阻止し、国として適切な平等度の実現を目指す手段は、基本的には国の役割というのが正常な姿でしょう。
今回は、国としてのいかなる政策が望まれるのか、何が間違っていたから、急速な格差社会化が進んでしまったのかを見ていきたいと思います。
問題を大きく分ければ、所得税制、企業税制、社会保障制度、中でも児童手当制度、それに今後問題になるキャピタルゲイン税制といったことになるのではないでしょうか。
<個人所得税の累進度の問題>
日本の高度成長期には、個人所得税の最高税率は、国税・地方税合わせて80%を越えていました。そこまで高いのがいいかどうかは別として今は55%です。
これはかつてアメリカがレーガン税制で所得税のフラット化を打ち出した時、日本も真似して最高税率を下げてきたことに由来します。
アメリカ型の社会がいいとは限りません。今後は試行錯誤も覚悟しながら、国民が納得するように、累進度の設計をし直すことが必要でしょう。
<法人税率の是正>
世界的に法人税率の引き下げで企業競争力をつけよう動きが行き過ぎ、G7でも最低税率15%といった合意があったようです。日本も高度成長期は地方税も合わせて概算50%というのが常識でしたが、これもレーガン税制改革の影響で引き下げられ、さらにアベノミクスの中でじりじり下げられ23.2%になっています。(中小特例15%)
税制構造のバランスの中で、日本的経営に適切な水準の探求が必要でしょう。
<社会保障制度>
これは問題が大きすぎて簡単には論じられませんが、政・社会保障の一体改革に本気で取り組む時期でしょう。
特に、消費税は社会保障との関係を国民に解り易く説明できることが必須でしょう。消費税増税は、これこれの社会保障給付に充てるものといった具体的な説明があれば、納得性も高まるでしょう。(年金問題はまた改めて)
<児童手当制度>
かつては企業が人間中心の経営という立場から支生計費援助として、かなり手厚い家族手当を支給していました。
今は児童手当が少子化対策として重要な国策です。しかし、本気で少子化対策としてやったフランスなど比べれば、極めてお粗末です。
当時フランスでは子供5人いれば可処分所得は平均給与の2倍になるといった水準でした。
<高等教育の無料化>
これは容易でないでしょう。OECD加盟国で北欧諸国など7か国が実施していますがGDPの1~1.5%(大学進学率50%前後)がかかるようようです。(参考:日本の防衛費は1.24%)
<金融所得課税の考え方>(試論)
これは今後の問題でしょう。今は利子・配当所得のようなインカムゲインと株式の売買な租のキャピタルゲインが同じ20%分離課税になっていますが、本来の性質からすれば、キャピタルゲイン税制とインカムゲインの税制は別物であるべきでしょう。
さらに、キャピタルゲインにしても、単に金でカネを儲ける場合と応援する企業の安定株主になって会社の成長の結果キャピタルゲインを得たといった場合の税率には違いがあって当然です。
コンピュータ取引で、瞬時に1000万円儲かった場合と10年持っていた株の値上がりで1000万円儲けた場合の税率が同じというのは、資本主義経済の中で資本を提供して経済成長への貢献という面から不公平、税率に差があった当然でしょう。
余計な事まで書いたかもしれませんが、資本主義が持続可能であるためには格差社会化を防止する事が必須です。
日本社会は伝統的に格差社会化を防止するシステムを内蔵していたように思います。
欧米では資本主義と社会主義の対立の中で福祉国家の概念が生まれ、北欧のような国づくりが実現しました。
日本は伝統文化をさらに洗練するか、福祉国家の思想を導入するか、いずれにしても、資本主義を持続可能なものにするために、真剣に努力する必要がありそうです。
しかし現在の世界の潮流を考えれば、放置すれば進行する格差社会化を阻止し、国として適切な平等度の実現を目指す手段は、基本的には国の役割というのが正常な姿でしょう。
今回は、国としてのいかなる政策が望まれるのか、何が間違っていたから、急速な格差社会化が進んでしまったのかを見ていきたいと思います。
問題を大きく分ければ、所得税制、企業税制、社会保障制度、中でも児童手当制度、それに今後問題になるキャピタルゲイン税制といったことになるのではないでしょうか。
<個人所得税の累進度の問題>
日本の高度成長期には、個人所得税の最高税率は、国税・地方税合わせて80%を越えていました。そこまで高いのがいいかどうかは別として今は55%です。
これはかつてアメリカがレーガン税制で所得税のフラット化を打ち出した時、日本も真似して最高税率を下げてきたことに由来します。
アメリカ型の社会がいいとは限りません。今後は試行錯誤も覚悟しながら、国民が納得するように、累進度の設計をし直すことが必要でしょう。
<法人税率の是正>
世界的に法人税率の引き下げで企業競争力をつけよう動きが行き過ぎ、G7でも最低税率15%といった合意があったようです。日本も高度成長期は地方税も合わせて概算50%というのが常識でしたが、これもレーガン税制改革の影響で引き下げられ、さらにアベノミクスの中でじりじり下げられ23.2%になっています。(中小特例15%)
税制構造のバランスの中で、日本的経営に適切な水準の探求が必要でしょう。
<社会保障制度>
これは問題が大きすぎて簡単には論じられませんが、政・社会保障の一体改革に本気で取り組む時期でしょう。
特に、消費税は社会保障との関係を国民に解り易く説明できることが必須でしょう。消費税増税は、これこれの社会保障給付に充てるものといった具体的な説明があれば、納得性も高まるでしょう。(年金問題はまた改めて)
<児童手当制度>
かつては企業が人間中心の経営という立場から支生計費援助として、かなり手厚い家族手当を支給していました。
今は児童手当が少子化対策として重要な国策です。しかし、本気で少子化対策としてやったフランスなど比べれば、極めてお粗末です。
当時フランスでは子供5人いれば可処分所得は平均給与の2倍になるといった水準でした。
<高等教育の無料化>
これは容易でないでしょう。OECD加盟国で北欧諸国など7か国が実施していますがGDPの1~1.5%(大学進学率50%前後)がかかるようようです。(参考:日本の防衛費は1.24%)
<金融所得課税の考え方>(試論)
これは今後の問題でしょう。今は利子・配当所得のようなインカムゲインと株式の売買な租のキャピタルゲインが同じ20%分離課税になっていますが、本来の性質からすれば、キャピタルゲイン税制とインカムゲインの税制は別物であるべきでしょう。
さらに、キャピタルゲインにしても、単に金でカネを儲ける場合と応援する企業の安定株主になって会社の成長の結果キャピタルゲインを得たといった場合の税率には違いがあって当然です。
コンピュータ取引で、瞬時に1000万円儲かった場合と10年持っていた株の値上がりで1000万円儲けた場合の税率が同じというのは、資本主義経済の中で資本を提供して経済成長への貢献という面から不公平、税率に差があった当然でしょう。
余計な事まで書いたかもしれませんが、資本主義が持続可能であるためには格差社会化を防止する事が必須です。
日本社会は伝統的に格差社会化を防止するシステムを内蔵していたように思います。
欧米では資本主義と社会主義の対立の中で福祉国家の概念が生まれ、北欧のような国づくりが実現しました。
日本は伝統文化をさらに洗練するか、福祉国家の思想を導入するか、いずれにしても、資本主義を持続可能なものにするために、真剣に努力する必要がありそうです。