マンション関係の試験に出題されている事項というものは
実務にも 直結し 役立つことが多いです
マンションに関しての サマザマなことを題材にしている
のですから
当然 といえば 当然のこと と言えるでしょうが・・・・
ということで
マンション管理士の過去問題 ということで載せていただいておりますが
サマザマな相談においても 登場することであること
つまり 実務上の資料として 有用なことが 多く含まれています
受験者の方だけのための一連の掲載 というわけでは モチロンありません
さて
本日は 2010年度 マンション管理士試験
問 7
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参考 として 重要判例 を示しておきます
( 既知のことで参照の必要はないとする方は 先にお進みを )
管理費等の支払請求権の消滅時効に関しての重要な判例が 最高裁から平成16年に
だされていますので その当時の条文とともに 要点と考えられるところを示してお
くこととします
[ 管理費等の債権は管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して発生するもので
あり、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに所定の方法で支払
われるものである。
このような本件の管理費等の債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権
として、民法169条所定の債権に当たるものというべきであるから 5年間の
短期消滅時効を認めることができる。]
最判平成16・4・23
<旧 民法169条> (定期給付債権の短期消滅時効)
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権
は、五年間行使しないときは、消滅する。
[改正後に これに対応する規定はありません]
<新 民法168条> 省略アリ
(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を
行使することができることを知った時から十年間行使しないとき。
二 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。
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滞納管理費の消滅時効に係る次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例に
よる正誤を、各肢について答えよ。
※ 現行法により答えることになりますので改題(問題の内容を変える)
しての利用をさせていただき また 答え方も変えさせていただいて
おります
1 長期にわたり管理費を滞納している区分所有者に対して、管理組合が月々累積
する滞納額全額について、毎月、内容証明郵便をもって支払の請求をしている
場合には、滞納管理費に係る債権が時効により消滅することはない。
2 管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して発生し、その具体的な額は総会
の決議によって確定し、月ごとに支払われるものである管理費に係る債権は、
定期金債権として、最後の弁済期から10年間行使しないときは、時効により
消滅する。
3 管理組合が管理費を滞納している区分所有者に対して滞納管理費を請求する訴
訟を提起して勝訴した場合には、滞納管理費に係る債権は、確定判決のときよ
り新たに従前と同様5年の消滅時効期間が進行する。
4 管理費を滞納している区分所有者が「滞納管理費支払合意書」により、滞納管
理費全額を分割して毎月定額で支払うことを管理組合と合意した場合、そのこ
とによる時効の更新の効力は、区分所有権を譲り受けた特定承継人に及ぶ。
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条文省略アリ
1 について
再度の催告は 時効の完成猶予の効力を有していない(150①)
肢にある支払の請求は催告であり 2度目以降の催告は時効の完成猶予の効力が
生じない(最初の催告があったその時から6か月を経過するまでの間は時効は完
成しないということだが)
なので [請求をしている場合には、滞納管理費に係る債権が時効により消滅する
ことはない。] とはならず 時効による消滅ということがある
また 本肢において [内容証明郵便をもって]ということが 各別の意味をも
つということはありません
(催告による時効の完成猶予)
2 について
肢にある[月ごとに支払われるものである管理費に係る債権]は 定期金債権にはあたりません
改正前に 定期給付債権 と捉えられていたものです
(旧169条に対応する規定は 現行法にありません)
166条の規準で時効により消滅することになります
(債権等の消滅時効)
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
3 について
滞納管理費に係る債権ついて 確定判決の時から新たに10年の消滅時効期間が進行する
ことになります
(判決で確定した権利の消滅時効)
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年
より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
4 について
肢の合意は 債務の承認にあたりますので 時効が更新することになります(152①)
肢の合意による時効の更新の効力は その当事者の承継人の間においても効力を有します
(153③)
(承認による時効の更新)
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
3 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間におい
てのみ、その効力を有する。
ということで
1 ・ 2 ・ 3 は誤り 4 は 正しい
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気になる
ワンポイントとして
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
による時効の完成猶予の効力を有しない。
権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか
早い時までの間は、時効は、完成しない。
めたときは、その期間を経過した時
ときは、その通知の時から六箇月を経過した時
同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。
ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時か
ら通じて五年を超えることができない。
定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予され
ている間にされた催告についても、同様とする。
ということで
催告にも時効の完成猶予の効力が認められています(新150条1項)
けれど
権利についての協議を行う旨の合意と催告とは同等ということではありません
権利についての協議を行う旨の合意を繰り返すことによって時効の完成を数度先延ばし
にすること可能ですが 催告によって時効完成が猶予されている間に権利についての協
議を行う旨の合意をしたり それとは逆に権利についての協議を行う旨の合意によって
時効完成が猶予されている間に催告をしたりしても 時効の完成の先延ばしが再度生じ
るということはありません(新151条3項)