書棚を整理していて奥の方から面白い本が出てきました。
思わず、整理を中断し、読み始めました(笑)。
日本人は、なぜ同じ失敗を繰り返すのか?撤退戦の研究
半藤一利・江坂彰著 知恵の森文庫 590円+税
博覧強記の歴史作家で今年亡くなられた半藤さんと経営評論家・作家の江坂さんが、往還書簡のように綴った一冊。
違う観点からのアプローチがとても面白い内容となっています。
大敗北した大東亜戦争・・・ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、インパール作戦などを取り上げながら日本人のメンタリティ、特性をあぶり出していきます。
目次
第1章 なぜ同じ失敗を繰り返すのか 成功の復讐
第2章 なぜ情報が軽視されるのか 精神主義の呪縛
第3章 平時のリーダー、戦時のリーダー 撤退戦の研究
第4章 組織を伸ばす人事、潰す人事 戦略なき膨張
第5章 負けると分かってなぜ戦うのか 魔性の歴史
名著「失敗の本質」や永野護「敗戦真相記」、石原莞爾「最終戦争論」など太平洋戦争を巡る分析、研究は多々あります。
半藤さんと江坂さんは、そこに史実を交えて新たな視点を与えてくれます。
大敗したミッドウェー海戦の直前に帝国海軍が定期人事異動をしていたこと、一度成功したら病みつきになる日本海軍、三代目が国を滅ぼす、情報より作戦を重視する伝統・・・。
当時、国力、工業力が20倍あると言われていたアメリカ合衆国に戦争を仕掛けるとは・・・。
どう考えても理解できません。
これに対して、半藤さんは言います。
「最初から日本には大戦略がなかった」「歴史の必然」・・・。
そして、5つのポイントを提示しています。
1 日本型タコツボ社会における小集団の弊害 秀才が小さく固まり、トップマネジメントも不在
2 理性的な判断の目を曇らせる情緒的、ムード的な思考の支配
3 国際社会における日本の位置づけを客観的に把握していなかったこと
4 現象面での成果を急ぐ短兵急な発想
5 自民族の利益のみを追求する国際的エゴイズム
ムードに左右され、小さくまとまり、短気で、自分のことしか考えない日本人のメンタリティ・・・。
それが先の大戦の大敗になったということなんですしょうね。
300万人の日本人の命が失われた戦争・・・。
もう二度と起こしてはいけません。
8月6日を前に、強く思う1日でした。