本田直之さんと言えば、「レバレッジ」シリーズ。
MBAファイナンスの梃の原理を活かしたハウツーを様々な分野に活用しようというコンセプトを打ち出した作家です。
「ノマド」ワーカーという生き方を具体的に提唱された人でもあります。
私の書斎にも3冊の本田さんの著書があります。
本田さんは、「ビジネス界のコピーライター」。
言葉の使い方が本当にお見事。人は、コトバだけで動くとは考えていませんが、マネジメントの中心は、やはり言葉。
本田さんからは、ビジネスにおける言葉の使い方を学ぶことが出来ます。
「LIVE SIMPLY シンプルに生きるための162のコトバ」
本田直之著 日本経済新聞出版社刊 1300円+税
同書は、本田さんの、いわばベストアルバム。
過去出された21の著作の中から、162のコトバを取り出しまとめた一冊です。
今の、20歳代の人たちにぜひとも読んでいただきたい本。
目次
セクション1 自由な働き方
セクション2 自由に働く人の習慣
セクション3 古い仕事のやり方をリセットする
セクション4 時間・場所から自由になる
セクション5 モノ・カネから自由になる
セクション6 人間関係から自由になる
セクション7 自由な新しい世界に踏み出す
昔、西武セゾングループのリクルート広告のコピーで、「サラリーマンという仕事はありません」という秀逸なキャッチがありました。
会社に入るのではなく、仕事のプロフェッショナルになってもらいたいというメッセージです。
サラリーマン・サラリーウーマンというのは、日本が近代化し、「カイシャ」という組織体が出来上がったころの話。
明治時代~大正時代頃になるでしょうか。
もっというと徳川幕藩体制のもとの巨大な幕府中央集権体制でしょうか?
勤め人、宮使いは、ほんの数パーセント・・・大多数は、農業、工業、商業にたずさわる自営業者だったのです。
それが、いつの間にか、働くというのはサラリーマン・サラリーウーマンになることを指すことになります。
今では、被雇用者の9割が勤め人です。
まさに、異常で、特殊な時代です。
そんな状況・・・組織で働くという事は、自分らしさを捨てて組織の価値観に合わせる事・・・安定した給料・賞与はもらえるものの、自我を捨てて仕事に没頭しなければなりません。
ストレスはたまるし、不条理にぶち当たるし、我慢の連続が続きます。
まさに、「社畜」。
そんな時に、ふと手にするのが本田さんの本。
会社を飛びだしてもいいじゃない、ノマドライフも楽しいよ、シガラミから外れると楽になるよ・・・そんな囁きは、リーマン・勤め人にとって、とても魅力的、悪魔的な言葉です。
本田さん自身、ハワイと日本の生活を、それぞれ半分ずつ過ごされているとのこと。
その遊牧民のような知的な生活は、うらやましいライフスタイル。
一つのロールモデルを提示されています。
日本人は、昔から、その多くが自営業として、長年生きのびてきました。
最近になって、日本の社会全体も、多様性を帯び始め、さまざまな仕事が出てくるようになりました。
そんな中で、本田さんの主張する「LIVE SIMPLY」。
物事を複雑にせず、出来るだけシンプルにする・・・そしてマインド面では「足るを知る」こと。
そのエッセンスを同書で読み取ることが出来ます。
装丁もなかなかオシャレで、カラーページもあります。
わたしが付箋紙を貼ったページの本田さんの名言を紹介させていただきます。
(本田さんの補足がないと理解できない部分もありますが、そこは本書をご覧ください)
「自由を与えられるということは、自己管理しなければならなくなったということ」
「一番避けるべきは時間給的な仕事」
「移動すること自体をライフスタイルのひとつに加える」
「ワークライフハピネス」
「会社の理不尽な習慣やルールに耐えるのは、ストレス耐性を高めるための筋トレ」
「手帳には結果を記録する」
「言い訳上手な会社員は一番危険」
「早起きは人生の重要なスキル」
「どこの場所に住むのかは、どんな人生を送りたいのかとイコールだ」
「アウェーに出て新しい世界に晒される」
「地方にいながら都心の仕事をする」
「節約から選択へ」
「経験的・精神的な幸せ」
「副業ではなく、複業」
シューカツだ、コンカツだと大騒ぎしている・・・今、20歳代の若人に、ぜひとも一読いただきたい一冊です。