新型コロナウイルスの災禍で、外出自粛。
巣ごもり生活、ひきこもり生活の中、便利なのがeラーニング、オンライン学習です。
家にいながらにして、学習することが出来ます。
2020年度の放送大学の受講の一発目は、「キャリアコンサルティング概説(`20)」。
印刷教材はなく、すべてオンライン、インターネットでの学習になります。
全8会合、珍しく一単位。
主任講師の岩永教授を中心に弁護士さんや目白大学の先生、現役のキャリアコンサルタントが登壇しています。
昔お世話になった岩永先生は、副学長になられたんですね。
◆シラバス
第1回 職能開発とキャリア形成
・現在の社会経済的状況と職能開発の必要性・専門職としてのキャリアコンサルタント(キャリアコンサルタントの概要)・キャリア形成のめざすもの・新しい能力観の概説(キーコンピテンシー)・キャリアコンサルタント制度の全体像、ほか
担当講師: 藤田 真也(キャリアカウンセリング協会理事長) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第2回 人事管理と労務管理
・人事労務管理の概要・人事労務管理の理論とモデル・人事労務管理と経営(マネジメント)・国際化とダイバーシティマネジメント・SDGsと経営倫理
担当講師: 原田 順子(放送大学教授) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第3回 労働関係法令と社会保障制度
・労働者を取り巻く環境とその変化・労働関係法令と訴訟・労働法令・労働行政のトレンド・労働者と社会保障(概観、しくみ、制度)
担当講師: 中井 智子(中町誠法律事務所弁護士) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第4回 成人の労働市場と高齢者のキャリア
・成人、とりわけ高齢層の就業状況、就業意欲の現状・課題と労働政策の基本的方向性・生涯現役で働くために職業生涯を通じて必要な準備・ハローワーク、職業能力開発校、人材派遣会社、シルバー人材センターなどの活動と課題
担当講師: 岡崎 淳一(東京海上日動火災保険株式会社顧問) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第5回 若年労働市場の動向
・若者の就職と離職・職業能力開発とリカレント教育・若者の貧困とセーフティネット支援、自立支援
担当講師: 小杉 礼子(独法・労働政策研究・研修機構 研究顧問) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第6回 学校とキャリア教育
・新規学卒者の労働市場とその変化・新規学卒者への雇用対策・学校から社会への移行とキャリア教育の現状・大学等におけるキャリアコンサルタントの役割と課題
担当講師: 末廣 啓子(目白大学教授) 岩永 雅也(放送大学副学長)
第7回 メンタルヘルスと障害への対応
・労働の場におけるメンタルヘルスと障害の現状
・ストレスとその把握(仕事とストレス)
・メンタルヘルスの維持とキャリアコンサルタントの役割
担当講師: 石丸 昌彦(放送大学教授) 岩永 雅也(放送大学副学長) ゲスト:種市 康太郎(桜美林大学教授)
第8回 カウンセリングと適応支援
・職業への適応と不適応・キャリアカウンセリングの実際・女性のキャリアと結婚・育児・職業的多様性(ダイバーシティ)をめぐる課題と展望
担当講師: 岩永 雅也(放送大学副学長)ゲスト:窪田 みち代( 株式会社ユー・エス・イー人財開発担当部長)
企業内では、メンタルヘルス、リテンション、働き方改革推進、人手不足、ジェンダー、高齢化、外国人雇用、LGBTなど多様な課題が山積、かつ複雑化、多様化しています。
日本の企業は、外部のコンサルタントを入れることに、まだまだ抵抗感があり、キャリアコンサルタントの知名度も低いということもあります。
キャリアコンサルタントの原点は、1901年のアメリカ合衆国。
ヨーロッパからの移民に対して、職業能力を開発するだけではダメで、キャリア概念がなければ雇用の開発に結び付かないということでボストンの街でキャリアコンサルティングという機能が生まれたそうです。
キャリアコンサルタント(国家資格・厚労省)は、ハローワークや大学のキャリアセンターなどで活躍の場があるようですが、その多くが非正規雇用のようです。
国家資格でも法律に定められた独占業務がないため、「キャリアコンサルタント」という呼称だけが使えるというメリットしかないとのこと。
ただし、職業能力開発促進法で定められた職業能力開発推進者はキャリアコンサルタントの資格が求められているため、大企業の人事労務担当者に有利な資格だと思います。
また、中小企業の人事労務管理を担当する社会保険労務士が職域を拡大するために親和性のある資格だと思います。
日本に「キャリア」の概念を普及するために、キャリアコンサルタントさんに頑張ってほしいと思います。この講座でも、これからのキャリアコンサルタントは相談室で待つのではなく、積極的に現場、職場に出て働く人たちの声を聴く、ヒアリングしていくことが重要であると指摘していました。
キャリア相談のデリバリー機能はアリだと思います。
(人事部のスタッフも部屋を出て、現場、職場の空気、体温を感じていただきたいものです)
全8会合を何とか修了。
この講座のまとめは、最終リポート。
800字以内で「現代社会においてキャリアコンサルタントが果たすべき役割と活動上の課題について考えるところを述べなさい。」。
自身の解答は、こんな感じになりました。
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AI、IoT、RPA、データサイエンスなど第四次産業革命と呼ばれる時代に突入した。
また、その変化のスピードは加速度を伴い、グローバリゼーションの中にある。さらに、仕事の内容は高度化、複雑化し、従来の仕事の流れの延長線上では対応、順応することが難しくなっている。
こうした中、働く人、職業人は、自分自身の職業スキル、職業適性、志向などを勘案しながら自らのキャリアの舵取りをしていかなければならない。また、自らが目指すキャリアを実現していくために、自らの能力開発、自己啓発が必須となる。
しかしながら、厚生労働省や経済産業省などの国の施策、民間の職業能力開発機関、大学などの情報の入手は多様化しており、また、自らのキャリア実現のためのルート、方法論を策定することも難しくなっている。
こうした状況の中、キャリア、職業の専門家であるキャリアコンサルタントは、頼りになる存在である。
キャリアマネジメント、カウンセリング、社会保障(労働法や年金など)、企業経営や人事労務管理等の専門知識を有したキャリアコンサルタントは、悩める職業人のサポーターとして貢献が求められている。
また、企業の中で起こっているメンタルヘルス問題、子育てをしている労働者のキャリア問題、LGBT、重責を担っている中高年労働者の悩みなど、企業組織内の課題も多い。これに対して、キャリアコンサルタントが働きかける、支援することにより、問題解決し、当該労働者を主体的に次のキャリアステージに向かわせることも期待されている。
ただし、労働者が積極的に自ら相談に来るわけではない、経営者や管理者に直接的に働きかけることが難しい等の課題が存在していることも事実である。
これに対して、キャリアコンサルタントは、個別の案件を注意深く観察し、カウンセリングし、助言し、他の専門家とも協働しながら働く人ファーストのコンサルティングをしていかなければならない。以上(800字)