経営の神さまと言われていた稲盛和夫さんが永眠されました。
享年90歳。
心よりお悔やみ申し上げます。
京セラを起業し、KDDI創業、日本航空の再建、稲盛財団設立、京都賞創設・・・日本の産業界に多大なる貢献をされました。
稲盛さんこそ国葬にふさわしい方だと思います。
利他 人は人のために生きる
瀬戸内寂聴・稲盛和夫著 小学館文庫 495円+税
わずか235ページの文庫本。
ただ、内容は魂の対談集・・・心を浄化してくれる一冊です。
奥付は2014年です。
故瀬戸内寂聴さんも稲盛和夫も僧籍に入られました。
現実世界で活躍され、その後、仏教の世界に入られた僧侶の言葉には重みがあります。
目次
第1章 今こそ勇気を 千年に一度の悲しみを乗り越える方法
第2章 なぜ、いい人ほど不幸になるのか どんな世の中もいずれ変わる
第3章 利他のすすめ 人は誰かの幸せのために生きている
第4章 日本を変えよう、今 小欲知足と慈悲を忘れた日本人へ
第5章 人はなぜ働くのか 誰かのために尽くすことが心を高める
第6章 天寿とあの世の話 生老病死の四苦とどう付き合うか
アンダーラインを引いた一部を引用させていただきます。
人に言われなくても、困っている誰かのために働く人がいる
損得勘定や利己主義が社会を悪くしている
己を忘れて他に利する 「忘己利他」という教え
地獄と極楽の違いは紙一重にすぎない
90年生きてきて、今ほど贅沢な時代はない
母性愛こそ、お釈迦様の慈悲の典型
寝食を忘れて働くのは、僧侶の修行に匹敵すること
会社を変えるのはテクニックではなく社員の心
ビジネスの決断も「人間としてどうなのか」が基本
諸行無常だから、震災後の日本にもいいことが起こる
歳をとるほど生きづらい、日本人は長生きしすぎる
日本刀でバッサリ斬るようなフレーズには引き込まれます。
同書の中で「第5章 人はなぜ働くのか」のにあるフレーズに勇気づけられました。
稲盛イズムの核心部分です。
「働くということは、どうやら人間の心を整えたり、心根を良くしていく効果がある」
「一生懸命仕事をしていると、三毒(欲、怒り、無知)・・・悪しき心が働く暇がなく、善なる心だけ残る」
「働くことは、心を鍛えて、いい人間関係に変えていく効果がある」
「寝食を忘れて働くのは、僧侶の修行に匹敵すること」
稲盛さんの生き方は、メザシの土光敏夫さんを彷彿させる庶民的で足るを知る生活を送られていました。
巨万の富があるにも関わらず、接待は吉野家有楽町店(ガード下)、社員との飲み会は1000円会費のコンパ・・・。
凡人には理解できない世界です(笑)。
JALの会長職の時も無給。
無欲、利他・・・品格、品性を高めていくと、究極、稲盛さんのような人物になるのだと思います。
小人である小職は、せめて「小人閑居して不善をなす」を心に留めて、生涯現役で世のため人のため社会のために働き続けることぐらいしか出来ないと思います。
稲盛さんの著作「生き方」「実学」「アメーバ経営」は座右の書。
稲盛さんが実学として極めてきた経営学を再び読み返してみたいと思います。