人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ユン・ジュンビン監督「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」を観る ~ 北朝鮮への潜入を命じられた韓国のスパイの命を懸けた工作活動の行方

2022年09月20日 07時03分33秒 | 日記

20日(火)。これまでにない規模の大型台風14号が18日夜に九州に上陸し、19日から20日にかけて関東地方にも暴風雨が吹き荒れるという予報が出ていました そんな中、まだ台風は九州だから 早めに出かけて買い物をして帰ってこようと、昨日午前 曇り空の中をいつものように池袋に向けて歩き始めました   池袋駅近くまで着いた時、突然 空が真っ暗になり暴風雨に見舞われ、折り畳み傘がおちょこになり、ジーンズはびしょぬれ、靴の中は雨水でぐちょぐちょになりました 読みが甘かったようです この台風がいかに大きいかを思い知らされました 急いで買い物をしてバスで帰ってきましたが、歩数は目標の約半分の4500歩でした   その後、午後になると何と雨がすっかり上がり、風も止みました しかし、いつまた暴風雨になるか分からないので、あらためて外出しようとは思えず、家で過ごすことにしました。泣く子と台風には勝てません 今夜、サントリーホールで読響の定期公演を聴きますが、実施するだろうな

ということで、わが家に来てから今日で2809日目を迎え、日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査によると、岸田内閣の支持率は43%で8月調査から14ポイント低下、昨年10月の政権発足以来最低となり、不支持率は49%で初めて支持率を上回った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     旧統一教会調査「不十分」79%がすべてを物語っている  国民をなめない方がいい

 

         

 

昨日、夕食に「エビの肉巻き」「生野菜サラダ」「冷奴」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「エビの肉巻き」は昨日の朝日朝刊掲載の「料理メモ」のレシピで作ったので初挑戦です 肉が薄いのでフライパンにくっついて困りましたが、何とか形にしました    娘に言われて気が付いたのですが、海老をメインとした料理はこれが初めてです 初めてにしてはとても美味しくできました

 

     

 

         

 

Netflixでユン・ジュンビン監督による2018年製作韓国映画「工作  黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(137分)を観ました

1992年、北朝鮮の核開発により緊張状態が高まるなか、軍人だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は核開発の実態を探るため、「黒金星(ブラック・ヴィーナス)」というコードネームの工作員として北朝鮮に潜入する 事業家に扮したパクは、慎重な工作活動によって北朝鮮の対外交渉を一手に握るリ・ミョンウン所長(イ・ソンミン)の信頼を得ることに成功し、最高権力者である金正日と会うチャンスも掴む しかし、1997年、韓国大統領選挙を巡る祖国と北朝鮮の裏取引によって、自分が懸けた工作活動が無に帰すことを知ったパクは激しく動揺する

 

     

 

この映画は、北朝鮮の核開発を巡り緊迫する1990年代の朝鮮半島を舞台に、北への潜入を命じられた韓国・国家安全企画部所属のスパイの 命を懸けた工作活動を 実話「北風工作」に基づいて描いた作品です

韓国与党は、大統領選で北朝鮮に対し融和策を掲げる金大中が当選すると 国家安全企画部が縮小・廃止となる恐れがあることから、韓国の与党議員や国家安全企画部と北朝鮮の国家安全保衛部や軍幹部との間で、互いの権力維持のため裏取引して軍事衝突をでっち上げ、国民の危機感を煽って金大中当選を阻止し、北朝鮮軍部はその見返りとして韓国与党側から多額の金を受け取っていたのでした パクは、せっかく北朝鮮の窓口であるリ所長と信頼関係が築けたのに、軍事衝突が起これば北朝鮮の核開発の現状を探る努力が台無しになるとして反発することになります

大統領選の結果、金大中が大統領に選出され、韓国では国家安全企画部が権力維持の為に行った対北朝鮮工作が問題視され、同企画部は解体・規模縮小されたうえで、大統領直属の国家情報院へとリニューアルされます パクはリ所長の計らいで北朝鮮から脱出し、南北共同事業の広告の撮影会でリ所長と再会を果たします このシーンにはジーンときました

北朝鮮の核兵器保有が明らかになっている現代にも、パクのようなスパイが北朝鮮で活躍しているのではないか、と思うと同時に、北朝鮮のスパイが韓国で、あるいは日本で暗躍しているのではないか、と思いました

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フジコ・ヘミング著「『幸福』と『不幸』は半分ずつ。」を読む ~ 「幸せは自分で作らなければいけない」:奇跡のピアニストが贈る説得力のある数々の教訓

2022年09月19日 07時04分37秒 | 日記

19日(月・祝)。わが家に来てから今日で2808日目を迎え、アメリカ連邦捜査局(FBI)によるトランプ前大統領への捜査を巡り、司法省は、押収した機密資料の使用停止を決めたフロリダ州連邦地裁の判決を不服として控訴した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そもそも 裁判所の許可を得て押収した機密資料なのだから 使用停止命令はおかしい

 

         

 

フジコ・ヘミング著「『幸福』と『不幸』は半分ずつ。」(PHP文庫)を読み終わりました イングリット・フジコ・ゲオルギー・ヘミングはスウェーデン人の父と日本人の母のもと、ベルリンに生まれる 5歳でピアノを始め、10歳でレオニード・クロイツァーに師事。東京藝大卒業後、29歳でベルリン音楽学校に留学。ウィーンではパウル・パドゥーラ=スコダに師事。レナード・バーンスタインやブルーノ・マデルナに才能を認められるが、聴力を失うアクシデントに遭遇する 日本に帰国後の1999年、NHK「フジコ ~ あるピアニストの奇跡 ~」が大反響を呼び、デビューCD「奇跡のカンパネラ」は200万枚を超える大ヒットとなる    2001年にはカーネギーホールでコンサートを開き、以来 国内外で演奏活動を続けている

 

     

 

本書は2018年8月に秀和システムから刊行された「くよくよしない力」を改題し、加筆・修正したものです

巻頭言でフジコさんは大筋次のように書いています

「ピアニストの夢を追いかけ、ピアニストとして歩んできた人生の中で、私は多くの苦難に直面しました 学生時代に受けたいじめ、コンサートの直前に聴力を失い、どん底まで突き落とされたこと、それから長い間、ピアニストへの道が開けなかったこと うまくいかない恋もたくさんしました けれども、苦難を乗り越えてこられたのは、大切な人たちに出会い、動物たちに出会って、勇気をもらったおかげ そして、その勇気を力に変えて這い上がってきたから、今の私があると思っています 自分の不幸ばかり考えていたら、ますます不幸になってしまいます。自分のまわりにある幸せとは何か、考えてみてください。どんなにささやかなことでも、人は幸せになれるのです。落ち込んでいても仕方がない。くよくよしていても何もいいことはありません。まわりと比べるのではなく、あなたはあなた、人は皆、いいところがあるのだから、自身と勇気をもって生きていきましょう

このように自信を持って書けるのは、様々な苦難に直面しながらも、持ち前の才能を信じて、いつかは世間に認められると、地道な努力を続けてきたフジコさんだからこそだと思います 1999年にNHKで放映されたドキュメンタリー「フジコ ~ あるピアニストの奇跡 ~」は私も観ましたが、あの番組がなかったら今のフジコさんはいませんでした まさにオセロの石が黒から白に反転し、人生の明るい未来が開けた瞬間でした

本書は便宜的に次の3つの章に分けられています

1.愛しなさい! 幸せが待っている

2.大切な出会い、感謝する心

3.夢と自分らしさを捨てないで

この3つのタイトルだけでも「愛する」「感謝」「夢」「自分らしさ」といった重要なキーワードが現れています フジコさんが普段から大切にしている心構えと言っても良いでしょう それぞれの章の中で、フジコさんは自身の経験に基づいた多くの教訓を教えてくれます

そのうちのいくつかをご紹介します

「相手に何かをしてもらうのではなく、愛情を注ぐ存在がいれば、自分の不幸なんてたいしたことないと思えてくる

「へんなプライドは捨てなさい。多くの人に愛される条件は人柄、経験、そして人生そのもの

「幸せは自分で作らなければいけない。自分なりの幸せを見つけて それに満足することが大事

「幸福と不幸は半分ずつ。一生幸福な人もいないし、一生不幸な人もいない

「自分の夢のために努力して、きちんと準備をしていれば、チャンスは必ず訪れる

「何か一つ趣味を持ちなさい。辛いことや悲しいことを一時忘れることができて心をリセットできる

以上のほか、個人的に一番共感できたのは「他者への思いやり」を説いた教訓です フジコさんは次の2つのエッセイで取り上げています

「悲劇が起こっている現実を見ると、一人で幸せに酔うことはできない。人の幸せについても考えていかなければいけない

「自分より貧しい人を見たら、少しでもお金をあげるべき。弱い者のために尽くしたいという気持ちを持つ

フジコさんは演奏活動のほか、動物や被災者のための寄付、チャリティーコンサートなど、数々の支援活動も続けています。そんな彼女だからこそ言葉が説得力を持ちます

以上の通り、本書は 生きていく上で役に立つ多くの教訓を与えてくれる本です   自信をもってお薦めします

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アジス・ショハキモフ ✕ ティーネ・ティング・ヘルセット ✕ 東京交響楽団でドビュッシー「イベリア」、トマジ「トランペット協奏曲」、プロコフィエフ「交響曲第5番」を聴く

2022年09月18日 07時10分20秒 | 日記

18日(日)。わが家に来てから今日で2807日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は16日、ウズベキスタンで開かれた上海協力機構の首脳会議が閉幕した後の記者会見で、最近のウクライナ側の反撃について、「テロや我々の民間施設攻撃の企てがある」とした上で、「ロシア軍がかなりの攻撃をしたが、事態が悪化すれば、より強い対抗策をとる」と警告した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     対抗策をとるどころか実際は後退策をとってるじゃん これ以上若者を死なせるな!

 

         

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第703回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ドビュッシー「管弦楽のための映像」より「イベリア」、②トマジ「トランペット協奏曲」、③プロコフィエフ「交響曲第5番 変ロ長調 作品100」です 演奏は②のトランペット独奏=ティーネ・ティング・ヘルセット、指揮=アジス・ショハキモフです

アジス・ショハキモフはウズベキスタン生まれ。2006年にウズベキスタン国立交響楽団首席指揮者に就任。2010年グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで第2位。現在、ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督などを務めています

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスはグレブ・ニキティン、隣は東響楽団長兼アシスタント・コンマスの廣岡克隆です

1曲目はドビュッシー「管弦楽のための映像」より「イベリア」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)が1905年から08年にかけて当初2台のピアノ用に作曲、後に管弦楽曲として完成、1910年にパリで初演されました 第1曲「通りの道から」、第2曲「夜の香り」、第3曲「祭りの日の朝」の3曲から成ります

第1曲では踊る指揮者が見られました 目立たないもののヴィオラ首席・武生眞紀のソロが素晴らしかった 第2曲ではオーボエ首席・荒木奏美の息の長いソロが印象的でした 第3曲ではヴァイオリンとヴィオラがマンドリンを弾くように弦をつま弾いていたのが楽し気で、祭りを感じました

2曲目はトマジ「トランペット協奏曲」です この曲はアンリ・トマジ(1901ー1971)が1948年に作曲、同年11月13日にトマジの指揮により初演されました 第1楽章「ヴィフ」、第2楽章「ノクターン:アンダンティーノ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ」の3楽章から成ります

トランペット独奏のティーネ・ティング・ヘルセットはノルウェー出身。エコー・クラシック・アワード新人賞をはじめ数々の賞を獲得し、世界各地のオーケストラと協演しています

白を基調とした金のラメ入りの輝く衣装を身にまとったヘルセットが登場し、ショハキモフの指揮で演奏に入ります ソリストは電子楽譜を使用します。西田紘子さんのプログラムノートによると、トマジはこの曲について「バッハの時代から現代まで、ジャズも含めてトランペットのあらゆる表現上・技法上の可能性を総合しようとした」と語っているそうです 第1楽章はトランペットのファンファーレから開始され、その後、弱音器を付けたり外したりしながら音色の違いを際立たせ、トランペットの魅力を発揮します 第2楽章は弱音器の効果が抜群で、いかにも夜曲の雰囲気を醸し出していました そして第3楽章は速いテンポによる超絶技巧で軽快な演奏を展開しました

満場の拍手にヘルセットは、アンコールにオーレ・ブル「ラ・メランコリー」を抒情的に演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はプロコフィエフ「交響曲第5番 変ロ長調 作品100」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891ー1953)が1944年に作曲、1945年に作曲者の指揮によりモスクワで初演されました 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「アレグロ・マルカート」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ジョコーソ」の4楽章から成ります

プロコフィエフは帝政ロシア、現在はウクライナのドネツク州に生まれました ペテルブルクで学び、ロシア革命による混乱を避けて1918年に日本経由でアメリカに渡り、欧米で活躍後、1936年に再びソ連に帰国しました 帰国したソ連は社会主義リアリズム(大衆に分かりやすい音楽の訴求)が作曲家にも求められ、プロコフィエフもその路線に沿って交響曲第5番を作曲しました

ショハキモフの指揮で演奏に入りますが、彼の指揮を見ていて誰かに似ていると思いました 両手の指をひらひらさせて細かく指示を出すところは、ゲルギエフによく似ています 彼の経歴を見るとゲルギエフとの接点はないようですが、ちょっと気になりました

演奏を聴いた全体的な印象は、作品自体が「分かりやすい」作りになっていることもあり、実に明快な指揮で、特に木管楽器群によく歌わせていました 私は第2楽章が好きなのですが、バレエ「ロメオとジュリエット」から破棄したハッピーエンドの音楽を用いて作曲したとのことです スケルツォのリズムが心地よく響きました また、第4楽章の終結部を聴いて、新しい発見がありました それは、この楽章のコーダです 主題が演奏された後、突然ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのトップだけに絞り(まるで弦楽四重奏のように)音量を落とし、その後一気に渾身の演奏で盛り上がってオーケストラ全体で終結します この部分は目で見て耳で聴いて初めて、「ああ、こういう風に演奏していたのか」と納得しました CDを聴いているだけでは全く分かりませんでした

やはり、クラシックは生演奏を聴かないと本当の良さが解らないと思いました

 

     

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小泉和裕 ✕ 清水和音 ✕ 新日本フィルでブラームス「ピアノ協奏曲第1番」、同「交響曲第1番」を聴く ~ 大地に根を張った堂々たる演奏:第9回すみだクラシックへの扉

2022年09月17日 07時04分22秒 | 日記

17日(土)。わが家に来てから今日で2806日目を迎え、欧州連合欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は15日に公開されたインタビューで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウクライナでの戦争犯罪について、国際刑事裁判所で裁かれるべきだとの見解を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア兵はウクライナを破壊尽くし 無実の市民を虐殺したのだから責任は免れない

 

         

 

昨日、夕食に2週間に一度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました いつも通り、栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」(醤油、ニンニク、生姜、削り節)に漬け込んで、2度揚げしています。味が浸み込んでとても美味しく出来ました もちろん唐揚げにはサッポロCLASSICです

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「クラシックへの扉」第9回演奏会を聴きました プログラムは①ブラームス「ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15」、同「交響曲第1番 ハ短調 作品68 」です   演奏は①のピアノ独奏=清水和音、指揮=小泉和裕です

錦糸町に着いて万歩計を見たら3000歩しか歩いていなかったので、駅の近くの錦糸公園を散歩して歩数を稼ぎ、6000歩まで歩きました ホール内の受付でパトロネージュ部の登原さんに「1日8000歩 歩かなくちゃならないので、公園を散歩して歩数を稼いできました」と話すと「毎日のようにあちこちのコンサートに通っていらっしゃるから、相当歩いているんじゃないですか。でも、腰の痛みはもう大丈夫なんですか?」と訊かれました    今年に入って左腰の椎間板を痛め しばらく歩くのも大変だったので、そのことを心配してくれていたのです 「もう全然平気ですよ」と答えると「本当ですか~、心配ですねぇ」と返されました。余計な心配をおかけして申し訳ない気持ちでいっぱいです せめて階段から転げ落ちて頭を5針縫う手術をしないで済むように気をつけたいと思います

さて、コンサートです 小泉和裕は東京藝大指揮科で山田一雄に師事。第2回民音指揮者コンクール第1位、第3回カラヤン指揮者コンクール第1位入賞 その後、ベルリン・フィルを指揮してベルリン・デビューを果たす。新日本フィル初代音楽監督、カナダ・ウィニペグ響音楽監督、都響首席指揮者、九響首席指揮者、日本センチュリー響音楽監督、仙台フィル首席客演指揮者などを歴任。現在、都響終身名誉指揮者、九響音楽監督、名古屋フィル音楽監督、神奈川フィル特別客演指揮者を務める

清水和音は1981年パリのロン・ティボー国際コンクール・ピアノ部門優勝。2016年4月から「芸劇ブランチコンサート」を主宰するなど室内楽にも力を入れている 桐朋学園大学・大学院教授

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは西江王子。隣は山田容子さん(今年6月退団)カムバックか?   チェロのトップには笑顔が魅力の長谷川彰子さんと並んでサミュエル・エリクソンがスタンバイします

1曲目はブラームス「ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1854年から58年にかけて作曲、1859年1月22日にハノーファーで初演されました 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

小泉氏の指揮で第1楽章がオーケストラによる力強い演奏で開始されます 開演前にホール隣のホテルの一室で開かれた小室敬幸氏の「60分ワンコイン講座」で、この曲がいかにシンフォニックに作られているかが解説されましたが、冒頭から交響曲のような迫力で迫ってきます 独奏ピアノが加わりますが、悠然とした音楽運びは指揮者・小泉ペースで進んでいると思わせます 第2楽章は重心の低い演奏が続き、ブラームスの秘めた情熱を感じさせます 第3楽章は推進力に満ちた音楽が展開し、ピアノとオーケストラが混然一体となったアグレッシブな演奏でフィナーレに突入します

カーテンコールが繰り返されますが、ソリスト・アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第1番 ハ短調 作品68 」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1855年から76年にかけて作曲、1876年にカールスルーエで初演されました 第1楽章「ウン・ポコ・ソステヌート~アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・ソステヌート」、第3楽章「ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ」、第4楽章「アダージョ、ピウ・アンダンテ~アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

開演前の講座での小室氏の解説によると、「この曲は完成まで20年以上かかったと言われているが、それは『ピアノ協奏曲第1番』の基となった『2台ピアノのためのソナタ  ニ短調』からカウントした年月である 『交響曲第1番』に繋がる素材が最初に書かれたのは1862年で、この時に作曲されたのが第1楽章(冒頭の序奏の後に続く)提示部主部の始まりだった そこから数えた実際の創作年数は1862~76年に至る15年ほどである」とのことです それにしても、1つの曲を作るのに15年もかかるのですからブラームスの曲作りは周到だと思います

小泉氏の指揮で第1楽章の序奏がティンパニの連打で開始されます 悠然たるテンポは小泉氏ならではの音楽づくりです オーボエ、フルートといった木管楽器、そしてホルンが素晴らしい 第2楽章でもオーボエ、クラリネットが素晴らしい演奏を繰り広げていました 第3楽章を経て、第4楽章で印象的だったのは、ブラームスがクララに贈ったというアルペンホルンの旋律です まず日高剛の独奏ホルンが悠然と高らかにメロディーを奏で、それを野津雄太のフルートが受け継ぎますが、このリレーは鳥肌者ものでした さらにその後、ベートーヴェンの「第九」の歓喜のメロディーになぞられる有名なテーマが弦楽器群によって演奏されますが、これが わざとらしさがなく、ごく自然に流れていて好感が持てました    ここまでは悠然としたテンポで進んできましたが、そこから小泉氏はアクセルを踏み、一気に加速して快速テンポで演奏が展開、スケールの大きい圧倒的なフィナーレを迎えました

さて、小泉和裕氏は他の指揮者とは全く違うキャラクターの持ち主です その指揮姿はほとんどカラヤンそのものです これは彼がカラヤン国際指揮者コンクールで優勝したことと決して無関係ではないと思います 強いて言えば、腕の振りがカラヤンよりも大きいと言えます さらに、彼は演奏中に足を動かしません。まるで足に根が生えたように指揮台にピタリと固定し、微動だにしません したがって上半身だけで指揮をするので、両足は前を向いたまま、上半身を右に左に向けて指示を出すことになります これもカラヤン流かもしれませんが、ここまで徹底すると指揮に対するこだわりや信念さえ感じます 今回は楽章間にわずかに足を動かしましたが、これまではその間も足を固定していました 「動かざること山のごとし」(風林火山)ならぬ「動かざること小泉氏の足のごとし」(風鈴花山)です この日の演奏は、その足のごとく、大地に根を張った重心の低い重厚な演奏でした

最近とくに、小泉氏の指揮について「円熟味が増してきた」といった評価をあちこちで耳にするようになりましたが、今回の演奏を聞いて、決して的外れではないな と思いました

帰りがけに受付に寄って「楽章間に小泉氏の足が1センチ動いた」と伝えたら、登原さんとスタッフの方に笑われました 「これを『軽く足らわれる』と言うんだな」と一人呟きながらホールをあとにました

 

     

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バッティストーニ ✕ 東京フィルでマーラー「交響曲第5番」、リスト「巡礼の年 第2年 イタリア」より「ダンテを読んで」を聴く ~ 東京フィル9月度定期 / ウェールズSQのチケットを取る

2022年09月16日 07時00分30秒 | 日記

16日(金)。11月19日(土)午後2時から第一生命ホールで開かれる「ウェールズ弦楽四重奏団 ~ アカデミー生とともに」のチケットを取りました    プログラムは①モーツアルト「弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516」、②ウェーベルン「弦楽四重奏のための緩徐楽章」、③シューマン「弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調 作品41-2」、④リヒャルト・シュトラウス:歌劇「カプリッチョ」より序曲、⑤ブラームス「弦楽六重奏曲第2番 ト長調 作品36」です 演奏はウェールズ弦楽四重奏団(崎谷直人、三原久遠、横溝耕一、富岡廉太郎)とアカデミー生12名です

もちろん、モーツアルトとブラームス狙いです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2805日目を迎え、ウクライナ東部ハリコフ州のロシア側支配地域をほぼ取り戻したウクライナ軍は、南部でも奪還作戦を展開しており、ロシア国内でも「敗北」を認める声が強まっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     いくら国内の言論統制をしても 戦果を得られなければ  プーチンへの批判は高まる

 

         

 

昨日、夕食に「回鍋肉」「生野菜とツナのサラダ」「マグロの山掛け」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 回鍋肉は娘が葱が嫌いなので入れていません

 

     

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京フィル9月度定期演奏会を聴きました 私は本来サントリーシリーズ会員ですが、1日に2公演以上コンサートを聴かないという方針により前日に振り替えました プログラムは①リスト(バッティストーニ編)「巡礼の年 第2年 イタリア」より「ダンテを読んで」、②マーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です 指揮は東京フィル首席指揮者アンドレア・バッティストーニです

 

     

 

振り替えで指定されたのは1階22列17番。センターブロックですが、通路から一番奥のど真ん中の席です。私はこういう席が一番苦手です しかし、こちらからは指定できないので仕方ありません

オケは16型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは近藤薫です    さすがに16型ともなるとステージが狭く感じます。チェロのトップは伊東裕君の客演だろうか

1曲目はリスト(バッティストーニ編)「巡礼の年」第2年「イタリア」より第7曲「ダンテを読んで」です この曲はフランツ・リスト(1811ー1886)が1837年頃に作曲(1849年改訂)しました 玉川大学芸術学部教授・野本由紀夫氏のプログラムノートによると、ピアノ独奏曲集「巡礼の年」は4集から成り、それぞれ「第1年:スイス」「第2年:イタリア」「第2年補遺:ヴェネツィアとナポリ」「第3年」となっています    このうち「第2年: イタリア」より「ダンテを読んで」は、ダンテの「神曲」を読んで、その恐ろしい情景、淫乱、憎悪、苦痛の状態から受けた強烈な印象を、いわば「音楽による読書感想文」として作曲したものとのこと 今回の演奏はバッティストーニがオーケストラ用に編曲した版によるものです

バッティストーニの指揮で演奏に入ります 冒頭、金管楽器によって「地獄門の動機」が強烈なリズムで演奏されますが、最後まで聴いた印象は、「ファンタジア」で有名なストコフスキーばりの編曲で、オーケストラの各セクションの色彩感をフルに生かした音楽になっています バッティストーニは自ら編曲した作品をエネルギッシュに指揮、リストの神髄に迫りました

 

     

 

プログラム後半はマーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860ー1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年10月18日にケルンでマーラーの指揮により初演されました 第1楽章「葬送行進曲:正確な速さで。厳粛に。葬列のように」、第2楽章「嵐のように荒々しく動きをもって。最大の激烈さをもって」、第3楽章「スケルツォ:力強く、速すぎずに」、第4楽章「アダージェット:非常にゆっくりと」、第5楽章「ロンド・フィナーレ:快速に、楽し気に」の5楽章から成ります

バッティストーニの指揮で第1楽章がトランペットの独奏により開始されます 某交響楽団の7月定期演奏会で聴いた崩壊したファンファーレが頭にあったので心配しましたが、全くの杞憂に終わりました 素晴らしい演奏でした 独奏トランペットはその後も安定していました クラリネットがベルアップ奏法を見せていたので、音が直線で飛んできました 間断なく続けられた第2楽章は強烈な速さで開始され、楽譜指示通り「嵐のよう」でした 金管が咆哮し、弦楽器が渾身の演奏を展開する中、中盤におけるチェロセクションのアンサンブルが美しく響きました

ここでチューニングに入ります これは、この曲が第1楽章と第2楽章が「第1部」、第3楽章が「第2部」、第4楽章と第5楽章が「第3部」となっていることによります バッティストーニはこの構成に従って、第3楽章の前と後に「間」を置きました

第3楽章はまるでホルン協奏曲ですが、首席の高橋臣宣の独奏が素晴らしかった この人、現在の日本のオケのホルン奏者の中で1,2位を争う実力者かもしれません

第4楽章はあまりにも有名な「アダージェット」です ハープの伴奏により弦楽器群が美しいメロディーを奏でますが、この音楽こそ、出会って間もないアルマへの愛の告白なのです

マーラーは1901年11月10日、アルマ・シントラー(1879ー1964)との運命的な出会いをします マーラーは41歳、アルマは22歳でした。お互いに一目ぼれし、そのわずか1か月後の12月には婚約し、翌1902年3月9日に電撃結婚したのでした ダブルスコアに近い年齢差ですが、恋は盲目。「いいじゃないの愛があれば歳の差なんて」というわけです これほど甘く切ないロマンティックな音楽も珍しいかもしれません 弦楽器の渾身の演奏とそれに寄り添うハープ(梶彩乃さん?)が素晴らしかった

マーラーの指示通り、いつまでも余韻に浸ることなくホルンの合図で第5楽章に入ります この楽章はアルマと結婚したマーラーの幸福感がそのまま反映したような喜びに満ちた楽しい音楽です 前へ前へという推進力に満ちた音楽が繰り返され、オーケストラ総力により幸福の喜びが爆発します

バッティストーニは終始、身体全体を使ってエネルギッシュに指揮をし、楽団員から持てる力をすべて引き出していました あの指揮姿を前にしたら、シャカリキになって演奏せざるを得ないでしょう

 

     

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ヌーベルバーグの旗手、ジャンリュック・ゴダール死す / 西條奈加著「隠居すごろく」を読む ~ 孫に振り回されながら充実した人生を送る隠居の物語

2022年09月15日 07時11分25秒 | 日記

15日(木)。新聞各紙によると、『勝手にしやがれ』などの作品でヌーベルバーグの旗手と言われたフランスの映画監督ジャンリュック・ゴダール氏が死去しました スイスで認められている『自殺幇助』により亡くなったとのことです(享年91歳)

映画は120年以上の歴史の間に3度の革命を経験しました ①1920年代に「無声」から「トーキー」へ、②1930年代に「モノクロ」から「カラー」へ、③1960年代に「スタジオセット」から「屋外撮影」へという革命です ③の革命はフランスで起こったヌーベルバーグ(新しい波)と呼ばれる映画革新運動です ゴダールは1960年、初の長編「勝手にしやがれ」(主演=ジャン=ポール・ベルモンド)を監督し、セットから街へカメラを持ち出し、若者の風俗や気分を活写しました 彼の手法はその後の映画の撮り方やテーマを大きく変え、もう一人の先駆者フランソワ・トリュフォーとともに後進の映画監督に大きな影響を及ぼしました

あらためてゴダールさんのご冥福をお祈りします

 

     

     

ということで、わが家に来てから今日で2804日目を迎え、米主要メディアは13日、ロシアが2014年以降、20か国以上の政党や政治家などに対し、少なくとも3億ドル(約430億円)を供与していたが、選挙干渉による民主主義体制の弱体化や、ロシアに有利な世論形成を図る工作の一環だったと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     せっかくの裏工作だけど  ウクライナ侵攻で退却を強いられ 誰も相手にしなくなる

 

         

 

昨日、夕食に「牛モモステーキ」「メカジキのソテー」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 今週は娘が残業ならぬ超早出勤務で始発電車で出勤するため、スタミナをつける必要があるので、食事量が多めになっています

 

     

 

         

 

西條奈加著「隠居すごろく」(角川文庫)を読み終わりました 西條奈加は1964年北海道生まれ。2005年「金春屋ゴメス」で第17回日本ファンタジーノベル賞を受賞しデビュー 2015年「まるまるの毬」で第36回吉川英治文学賞文学新人賞を、2021年「心淋し川」で第164回直木三十五賞を受賞

 

     

 

私は普段 時代小説は読まないし、「サラバ!」の西加奈子に著者名が似ているな、という印象しかありませんでした 新聞の読書欄でこの本が紹介されているのを読んで興味を持ちました 小説の舞台が現在 私が住んでいる巣鴨であるところにも親近感を感じました

主人公の隠居というのは巣鴨で6代続く老舗糸問屋の店主・嶋屋徳兵衛です 還暦を機に息子に身代を譲り、店と離れた土地に隠居家を構え念願だった隠居生活を始めます しかし、33年間商売一筋に生きてきた徳兵衛には趣味がありません 退屈を持て余していたところにやってきたのが8歳の孫・千代太です 千代太は犬や猫を拾ってきては動物嫌いの徳兵衛を困らせます 徳兵衛は孫の優しさを否定してはいけないと、「その優しさを人のために使ってみてはどうだ」と諭します 「我ながら良いことを言った」と一人悦に入っていると、その一言が彼の隠居生活を一変させる契機となることを思い知らされます 千代太は今度は 貧乏な子どもを連れてきて、「食事を与えてほしい」と言い、さらに 働き口のない彼らの親まで連れてきて面倒を見てほしいと言い出します 千代太の要求はどこまで広がっていくのか・・・徳兵衛は頭を抱えます

これまで商売一筋に生きてきた徳兵衛が、孫との接し方も分からず、あたふたと対応する様子は微笑ましく感じます しかし、徳兵衛はそれまで培ってきた商人としての知見と経験により、孫が次々と持ち込む難題に対処していきます それは多くの貧しい人たちの雇用を生み、彼らの生活を安定させていきます

純粋で優しい心を持った幼い千代太の行動が、人生の大先輩の徳兵衛を徐々に変えていくところは痛快です 徳兵衛の隠居生活は”穏健”からは程遠いものになってしまいますが、反って生き甲斐に満ちた第二の人生を送ることになり、まさに隠居のすごろくは上がりとなったわけです

西條奈加の作品を読むのは本作が初めてでしたが、江戸時代の隠居の生活を描くだけの物語なのにストーリー展開が見事で、その上文章力が優れており、読み進めるにつれて心揺さぶられました 彼女の別の作品も読んでみたくなりました タイトルは地味ですが、中身は素晴らしい作品です。お薦めします

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エマニュエル・クールコル監督「アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台」を観る ~ ベケット「ゴドーを待ちながら」を演じる囚人達の行方:ヒューマントラストシネマ有楽町 / 「断章その1」

2022年09月14日 07時02分39秒 | 日記

14日(水)。本棚を整理していた娘が「これ捨ててもいい?」と1冊のガリ版刷り小冊子を持ってきました タイトルに「無冠」とあり、私が大学時代に所属していた新聞学科のSゼミナールの機関誌であることを思い出しました 巻頭言に「紙不足の時に、こんな駄文で紙を埋めることはいかんともしがたいけれど・・・」とあり、当時がオイルショックの時世だったことを思い出しました 「無冠」はゼミ生のエッセイを収録したもので、お互いの文章を読んで感想を述べあい、文章力の向上を目指して切磋琢磨することを目的として年1回刊行されていたものです

その最初に登場しているのは「断章  その1」という下の文章です

「歳を重ねるごとに、人は成長するという。だが、何を基準として成長するというのか。成長していく主体に、その成長の過程が自覚されうるだろうか。

我々の人生は過ぎていくという。だが、何に対して過ぎていくというのか。過ぎていく者に、過ぎていくものが知覚できようか。

季路曰く  敢えて死を問う 子曰く  未だ生を知らず  焉んぞ死を知らん(論語第6巻)

生は果たして生を知覚できようか。

人は、ある特定の感動を得るとき、美しいという。だが、その客体が真に美しいものならば、美しいという言葉は嘘になる。なぜなら、美は人を沈黙させるからだ。沈黙以上の感動の表現方法は何ひとつない。

ゆく河の流れは絶えずして  しかももとの水にあらず  淀みに浮かぶうたかたは  かつ消えかつ結びて  久しくとどまりたる例なし  世の中にある人と栖と  またかくのごとし(方丈記)

我々は生きている、というのは事実。だが、何の為に生きているのか。その意味さえ理解していないのも事実。そして、人が生きていく限り、それが将来も変わらないであろうことも、間違いのない事実。我々は、果たして我々を知覚できようか」

最後の行に私の名前が書かれていました 正直言って、まったく覚えていません あれからン十年経った今、あらためて読み返してみると、評論家・小林秀雄の影響をもろに受けていることが分かります 当時この文章を読んだゼミの仲間たちはどう思っただろうか?  ン十年前の自分自身に感想を求められたら「理屈ばかりで内容が固過ぎる 独りよがりの文章だ」とでも言うでしょう

その上であらためて思うのは、当時から文章を書くことが好きだったし、同じテーマでも他の人たちとは異なる視点で書こうと意識していたことです その方向性は、今ブログを書く上で継承されています

ということで、わが家に来てから今日で2803日目を迎え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、関係省庁が設置した合同の電話相談窓口に、5~9日の最初の5日間で計1002件の相談が寄せられたが、内容は金銭トラブルが多く、他にも「生活困窮に陥ってしまった」「親族に信者がいるがどうすればいいか」といった様々な相談が寄せられたと葉梨康弘法相が13日の閣議後記者会見で明かした  というニュースを見て感想を述べモコタロです

 

     

     これほど問題の多い団体を 宗教法人として認めておいていいのか 詐欺集団じゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉のスタミナ丼」「生野菜とササミのサラダ」「冷奴」「もやしの味噌汁」を作りました ニンニクを使った料理は元気が出ますね

 

     

 

         

 

昨日、ヒューマントラストシネマ有楽町で、エマニュエル・クールコル監督による2020年製作フランス映画「アプローズ、アプローズ!  囚人たちの大舞台」(105分)を観ました

売れない俳優エチエンヌ(カド・メラッド)は、刑務所の囚人たちを対象とした演技ワークショップの講師を依頼される サミュエル・ベケットの不条理劇「ゴドーを待ちながら」を演目に選んだ彼は、一癖も二癖もある囚人たちに演技を指導していく エチエンヌの情熱はいつしか囚人たちや刑務所管理者の心を動かし、実現は困難とされていた刑務所外での公演に漕ぎつける 彼らの舞台は予想以上の好評を呼んで再演を重ねることになり、ついには大劇場パリ・オデオン座から最終のオファーが届く エチエンヌにとっては憧れの場所 一行はバスでオデオン座に乗り付け出演の準備をするが、開演時間になっても誰一人として現れなかった 

 

     

 

この映画は、1985年に実際に起こったスウェーデンの俳優ヤン・ジョンソンの体験をもとに、実在の刑務所で撮影を敢行した作品です

映画の序盤、遅刻した囚人にエチエンヌが「30分待ったぞ」と怒ると、「俺は(出所を)7年待ってるんだ」と返すシーンが印象的です 囚人たちにとってベケットなど知らない存在で、ただひたすら台詞を覚えることに追われますが、稽古をしていくうちに「『ゴドーを待ちながら』という物語はひたすら退屈に耐えて待つしかない自分たちの日常そのものだ」と気が付きます そこから、彼らは稽古を通じてお互いの心を開き、舞台で演じることによる達成感を知り、自分自身を変えていくことになります

彼らは時に台詞を忘れ、アドリブによっていきなりドタバタ喜劇にしてしまいますが、プロでない素人集団ならではのハプニングで観衆の笑いを誘います

映画のラスト、誰もいないステージに現れたエチエンヌは事の次第を語り始めます  「彼らを待っていたが、とうとう現れなかった   まさに『ゴドーを待ちながら』そのものです

「オデオン座での大舞台で演じる前に、囚人たちは申し合わせて逃走してしまう」という実話通りのストーリーについて、エマニュエル・クールコル監督は、「なぜああなったかと言えば、演劇というものがそこまで彼らを変えてしまうほど大きな体験だったからだろう」と答えています(7月29日付朝日新聞)。

残念ながら私はこれまで「ゴドーを待ちながら」の舞台を観たことがありません チャンスがあれば是非観たいと思います

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おめでとうクァルテット・インテグラ! / 「ギンレイホール」11月27日に閉館 ⇒ シネ・パスポートは引き続き有効 / 原田ひ香著「ランチ酒」を読む ~ テイストとペーソスに満ちたグルメ本

2022年09月13日 07時01分03秒 | 日記

13日(火)。新聞各紙によると、世界最難関のコンクールとして知られる第71回ミュンヘン国際音楽コンクールの弦楽四重奏部門で10日、日本の「クァルテット・インテグラ」が2位に入賞しました ファイナルではベートーヴェンとバルトークを演奏し、聴衆賞も獲得しました おめでとうございます! 「クァルテット・インテグラ」は2015年に桐朋学園大学の卒業生、ヴァイオリン=三澤響果、菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=築地杏里の4人で結成したカルテットです サントリーホール室内楽アカデミー(第5・6期生)などで研鑽を積み、2021年のバルトーク国際コンクール弦楽四重奏部門でも優勝しています

私も過去のサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンで何度か彼らの演奏を聴きましたが、バルトークとシューベルトが特に良かったという印象があります

昨日、トリトン・アーツ・ネットワークから届いた主催公演のチラシに彼らのコンサートが紹介されています 来年1月28日(土)14時から晴海の第一生命ホールで彼らのリサイタルが開かれます プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番」、②バルトーク「弦楽四重奏曲第1番」、③ブラームス「弦楽四重奏曲第1番」という「3大B」による「第1番」が選ばれています 彼らのこだわりを感じさせるプログラミングです ますますの活躍が期待されます

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2802日目を迎え、ロイター通信によると、10月2日のブラジル大統領選の有力候補、ルラ元大統領は9日、ボルソナロ大統領について「トランプ前大統領よりややひどい」とし、「より無礼で品がなく、粗悪な模造品だ」とこき下ろしたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプより無礼で品がなく 粗悪な模造品とは よほど救いようのない人物らしい

 

         

 

昨日の夕食は、娘のリクエストで「王将の羽根つき餃子」を焼きました 焼き加減にムラがありますが、味は同じでとても美味しいです あとは「生野菜とアボカドとササミのサラダ」「冷奴」「豚汁」です もちろん餃子にはサッポロCLASSICです

 

     

     

     

 

         

 

ミニシアターの先駆け的存在「ギンレイホール」のホームページに「ギンレイホール閉館のお知らせ」が載っていました それによると、「同ホールは1974年(昭和49年)の創業以来48年間、神楽坂で営業してきた この度、入居する築63年の銀鈴会館ビルの老朽化に伴い、ビル所有者が建て替え工事をすることになり、ギンレイホールは立ち退き移転することになった ついては令和4年11月27日(日)をもって閉館することとする 同日までは通常通り営業する。移転については、現在準備中のため移転場所等営業再開の予定が決まり次第改めてお知らせする」となっています また、「ギンレイ・シネマクラブ会員の皆さまへ」というお知らせには、「劇場の移転・再開までは一時休館となるが、再開後もシネ・パスポートは引き続き利用できる」と書かれています あまりにも急なことだったのでびっくりしましたが、いつからどこで上映再開となるのか、今後のホームページに注目したいと思います

 

     

 

         

 

原田ひ香著「ランチ酒」(祥伝社文庫)を読み終わりました 原田ひ香は1970年神奈川県生まれ。2006年「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞優秀作受賞。2007年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞受賞 著書に当ブログでもご紹介した「ランチ酒 おかわり日和」「三千円の使いかた」他がある

 

     

 

実は何も知らないで「ランチ酒 おかわり日和」の方を先に読んでしまったので、順番が逆になってしまいましたが、どちらから読んでも不都合はありません

主人公の犬森祥子はバツイチ・アラサーで職業は「見守り屋」です 営業時間は夜から翌朝までで、様々な事情を抱える客からの依頼で人やペットなど、頼まれたものを「寝ずの番」で見守るのが仕事です 昼夜逆転生活の祥子の唯一の楽しみは、夜勤明けにお酒を飲みながらランチを食べる「ランチ酒」です 中目黒、中野、御茶ノ水。新宿、十条、秋葉原などの各地で、仕事を終えて訪ねたお店で、ある時はビール、ある時は日本酒、ある時はワインをたしなみながら、それぞれのお店の名物料理を堪能します その時 祥子の頭に浮かぶのは別れた夫のもとで暮らす愛娘・明里のことです   果たして自分は正しい選択をしたのだろうか、と今でも悩みます

祥子が「ランチ酒」を楽しむ各地のお店は、どうやら実在するようですが、名前は伏せてあります いずれの店の料理も、原田ひ香さんの描写にかかるとすごく美味しそうでビール片手に食べてみたくなります その一方で、子供を夫の元に残して、一人で暮らす祥子の心情が切々と迫ってきます その意味では、テイストとペーソスに満ちたグルメ本と言えるかもしれません

「ランチ酒 おかわり日和」ともどもお薦めします

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ファビオ・ルイージ ✕ ヒブラ・ゲルズマーワ ✕ オレシア・ペトロヴァ ✕ ルネ・バルベラ ✕ ヨン・グァンチョル ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ NHK交響楽団でヴェルディ「レクイエム」を聴く

2022年09月12日 07時01分40秒 | 日記

12日(月)。わが家に来てから今日で2801日目を迎え、国連ウクライナ人権監視団のボグナー団長は11日までに、ウクライナに侵攻したロシア軍が、拘束した戦争捕虜に虐待や拷問を加えていることを確認したと発表したが、ロシアは監視団に捕虜収容施設の調査を認めていないと批判、水や食料、医療が適切に提供されていない施設があると訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     戦争は「勝てば官軍負ければ賊軍」ウクライナが逆転攻勢に出ればロシアは賊軍だ

 

         

 

昨日、NHKホールで「NHK交響楽団 9月定期公演 Aプログラム」を聴きました 本公演は2022/2023シーズンの開幕を飾る「ファビオ・ルイージ 首席指揮者就任 記念演奏会」という位置づけにあります プログラムはヴェルデイ「レクイエム」です 出演はソプラノ独唱=ヒブラ・ゲルズマーワ、メゾ・ソプラノ独唱=オレシア・ペトロヴァ、テノール独唱=ルネ・バルベラ、バス独唱=ヨン・グァンチョル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮はファビオ・ルイージです

ファビオ・ルイージは1959年イタリア・ジェノヴァ生まれ。これまでにメトロポリタン歌劇場首席指揮者、チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団および同歌劇場音楽総監督、MDR交響楽団芸術監督、スイス・ロマンド管弦楽団音楽監督などを歴任   現在、デンマーク国立交響楽団首席指揮者、ダラス交響楽団音楽監督を務めており、今年9月、NHK交響楽団首席指揮者に就任しました

NHKホールは天井の耐震工事や設備更新のため2021年3月から2022年6月まで閉館となったため、この間のN響の定期演奏会は従来からのサントリーホールに加え、池袋の東京芸術劇場で開催してきました この日は久しぶりのNHKホールです

 

     

 

コロナ前にあったホール入口近くでのチラシの配布がありませんでした チラシ配布業者との間で何かあったのだろうか 東京フィルの定期演奏会(サントリーホール)では以前からチラシの配布がありません 演奏中にチラシをカサカサさせたり、落として音を出したりすると迷惑この上ありませんが、その一方で、私にとってはこれから聴くコンサートの重要な情報源なので、配布していないと寂しさを感じます よい方法はないでしょうか

ロビーに入って、周囲を見回してみたら、エレベーターとトイレが新しくなっているように思いました 会場に入って周囲を見たら、椅子や床などは以前とほとんど変わらないように感じました 天井の耐震工事に力を入れたのかもしれません。見上げたものです

私は前シーズンはCプロ(池袋・東京芸術劇場)会員でしたが、今期からAプロ(NHKホール)とBプロ(サントリーホール)会員に追加・変更しました この日のAプロの自席は1階センターブロックで、後方ながら通路側です この席で向こう1年間聴くことになります

 

     

 

さて、ヴェルディ「レクイエム」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901)が1874年に作曲した鎮魂ミサ曲です その6年前の1868年、ジョアッキーノ・ロッシーニの死に際して13人のイタリア作曲家による「レクイエム」合作の企画があり、ヴェルディは最後の部分「リベラ・メ(われを解き放ちたまえ)」を作曲しましたが、この時は演奏の機会が与えられませんでした その後、1873年に尊敬する詩人・小説家のA.マンゾーニの死を追悼して、他の部分を作曲し全曲を完成、翌1874年5月22日にサン・マルコ教会で開かれた一周忌で初演されました

ヴェルディ「レクイエム」は次のような構成になっています

Ⅰ レクイエムとキリエ

Ⅱ 怒りの日

 ①怒りの日

 ②不思議なラッパの音

 ③書きしるされた書物は

 ④哀れな私

 ⑤みいつの大王

 ⑥思い出させたまえ

 ⑦私は嘆く

 ⑧判決を受けた、のろわれた者は

 ⑨涙の日よ

Ⅲ 奉献唱

Ⅳ 聖なるかな

Ⅴ 神の子羊

Ⅵ 永遠の光を

Ⅶ われを許したまえ

 

ソプラノ独唱のヒブラ・ゲルズマーワは黒海東海岸を臨むアブハジア出身 1994年モスクワ音楽院を卒業、同年、チャイコフスキー国際コンクールで史上初、唯一の女性歌手による最優秀賞を受賞 これまで、マリインスキー劇場、英国ロイヤル・オペラ・ハウス、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など世界の主要な歌劇場に出演しています

メゾ・ソプラノ独唱のオレシア・ペトロヴァはロシア出身 2014年に「アンドレア・シェニエ」でメトロポリタン歌劇場デビュー その後、世界各地の歌劇場で歌い、2016年からミハイロフスキー劇場のソリストとして活躍しています

テノール独唱のルネ・バルベラはアメリカ出身 2008年メトロポリタン歌劇場ナショナル・カウンシル・オーディションで優勝 ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場などに出演しています。2020年2月には新国立劇場で上演されたロッシーニ「セヴィリアの理髪師」にアルマヴィーヴァ伯爵として出演しました

バス独唱のヨン・グァンチョルは韓国出身 1993年から2004年までベルリン国立歌劇場のアンサンブル・メンバーとして幅広いレパートリーを身に着け、2018年にはベルリンで「宮廷歌手」の称号を与えられました ウィーン国立歌劇場、パリ・オペラ座など世界の歌劇場で活躍しています

最初に新国立劇場合唱団のメンバーが舞台正面のオケの後方にスタンバイします    正確な人数は分かりませんが、女声50名 対 男声40名くらい、合計90名程度です。いずれにしても、これほど多数の合唱団で聴くのはコロナ後では初めてです

次いで、オケのメンバーが配置に着きます オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは篠崎史紀、その隣はゲスト・アシスタント・コンマスの郷古廉です

 

     

 

拍手の中ソリスト4名がオケの後ろ、コーラスの手前にスタンバイし、ルイージが登場しさっそく演奏に入ります

「Ⅰ レクイエムとキリエ」は最弱音から入ります。そして「Ⅱ 怒りの日」に入ると大太鼓とティンパニの強打、金管の咆哮、弦楽器の渾身の演奏をバックに、世界に通用する新国立劇場合唱団が力強い最強音で怒りの音楽を歌い上げます 次の「②不思議なラッパの音」では、ステージ上のオーケストラと2階左右のバルコニーにスタンバイしたバンダ(別働隊:トランペット各2本)との相乗効果によって高らかなファンファーレが鳴り響き、合唱を引き立てました

次の「③書きしらされた書物は」ではメゾ・ソプラノのオレシア・ペトロヴァが、最高音から再低音までよくコントロールされた歌唱によりドラマティックに歌い上げました 彼女はその後のソロやデュオでも素晴らしい歌唱力を発揮しました 「⑥思い出させたまえ」ではソプラノのヒブラ・ゲルズマーワとオレシア・ペトロヴァとの二重唱が聴かれましたが、はっきり言ってオペラのデュオです この「レクイエム」はオペラティックな側面が強いと言われていますが、こういうところに表れています 「⑦私は嘆く」ではルネ・バルベラのテノール独唱が聴かれましたが、よく通る声で、歌唱力も申し分ありません 次の「⑧判決を受けた、のろわれた者は」ではヨン・グァンチョルのバスが力強く響きました

「Ⅱ 怒りの日」の最後の「⑨ラクリモーザ(涙の日よ)」の主題は、1867年に初演されたオペラ「ドン・カルロス」のために書かれ、初演直前にカットされた二重唱からの転用ですが、オレシア・ペトロヴァとヨン・グァンチョルの歌唱はほとんどオペラそのものです

「Ⅲ 奉献唱」以降もソリスト4人と合唱団の素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられ、オーケストラが渾身の演奏で支えました

ソプラノにより「Ⅶ われを許したまえ」の最後の「Libera  me」(われを解き放ちたまえ)が歌われ、オーケストラが静かに曲を閉じると、しばしの”しじま”の後、満場の拍手がステージに押し寄せました

休憩なし約90分の演奏を聴き終わって感じたのは、約200人のオーケストラ・ソリスト・合唱団を束ね、一瞬も弛緩することなく緊張感に満ちた演奏を展開したファビオ・ルイージの卓越した統率力です つくづく、N響は素晴らしい人財を首席指揮者に迎えたと思います

カーテンコールが繰り返されますが、本公演からカーテンコールがスマートフォンで撮影可能(フラッシュは不可)になりました 撮影してSNSで流すのはN響の思う壺ですが、クラシック・コンサートの歴史の中ではエポックメイキングな出来事なので、私もN響の企みに乗って撮影することにしました まさか、N響がこの新しい試みに先鞭を付けるとは思ってもみませんでしたが、クラシック人口を増やすためにも、今後 他のオーケストラにも広がることを期待します いいじゃないですか、撮影したからと言って、減るもんじゃないし

 

     

     

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「ベルリン便り メンデルスゾーンが聴きたい」を聴く ~ 「ピアノ三重奏曲第1番」ほか:石原悠企 ✕ 藤原秀章 ✕ 野上真梨子 / 新国立劇場ゲネプロ見学会抽選に当選

2022年09月11日 07時05分24秒 | 日記

11日(日)。昨日、新国立劇場友の会「クラブ・ジ・アトレ」からポイントアップサービスのアイテム(折り畳み傘とエコバッグ)が届きました 傘はボトル・ケース付きなので濡れたまま持ち運べますが、難点は長いこと(25センチ)と重いこと(330グラム)です これは予想外でした。はっきり言って使えないかもしれない

【写真は上が折り畳み傘、下がエコバッグ】

 

     

 

むしろ、嬉しかったのは「抽選アイテム」で応募していたオペラ「ジュリオ・チェーザレ」ゲネプロ見学会の招待に当選したことです 当選者数が少ない有名なオペラの本番でなく、あまり知られていないオペラのゲネプロを選んで応募したのが功を奏しました 私は同オペラの初日公演を10月2日(日)に聴きますが、ゲネプロはその2日前の9月30日(金)に開かれるので、本番の予習として聴きます

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2800日目を迎え、ロシア・モスクワの区議グループは9日、プーチン大統領のウクライナ侵攻の責任を問い 辞任を要求したが、要請書で「(プーチン氏の)言動がロシアを冷戦時代に引き戻し、世界を核兵器で脅かすことにつながっている」と批判、「経済成長は実現せず、有能な人材が海外へ流出している」と指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアにも良心のある議員がいるのは心強い  しかし少数派なのですぐに潰される

 

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」で「ベルリン便り メンデルスゾーンが聴きたい」公演を聴きました プログラムはメンデルスゾーン①ヴァイオリン・ソナタ  ヘ長調 MWVQ26,②チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 作品58,③無言歌より3曲、④ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49です 演奏はヴァイオリン=石原悠企、チェロ=藤原秀章、ピアノ=野上真梨子です

石原悠企は1993年東京都生まれ。桐朋学園大学を経てベルリン芸術大学学士過程・修士課程を修了 ザルツブルク=モーツアルト国際室内楽コンクール2013年第1位ほか優勝・入賞歴多数

藤原秀章は1994年山梨県生まれ。東京藝大・同大学修了。ベルリン芸術大学大学院在学 第89回日本音楽コンクールチェロ部門第2位ほか入賞歴多数

野上真梨子は千葉県生まれ。桐朋学園大学を首席で卒業。ベルリン芸術大学大学院修了 第6回ブルクハルト国際音楽コンクールピアノ部門第1位ほか受賞歴多数

3人の経歴からも分かるように、タイトルの「ベルリン便り」は3人ともベルリン芸術大学の出身者であることから付けられたものです

 

     

 

自席はLb4列12番、左ブロック右から3つ目です

1曲目は「ヴァイオリン・ソナタ  ヘ長調 MWVQ26」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809ー1847)が1838年=29歳の時に作曲しました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アッサイ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

初めて聴く作品ですが、全体を通して聴いた印象は、メンデルスゾーンらしい溌溂とした躍動感に満ちた音楽で、ヴァイオリンとピアノの対話が楽しく聴けました

2曲目は「チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 作品58」です この曲は1843年=34歳の時に作曲されました 第1楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

この曲も初めて聴く作品です 全体を通して聴いた印象は、伸びやかで気品に溢れた音楽で、チェロが良く歌い、ピアノがしっかり寄り添いました

 

     

 

プログラム後半の最初は「無言歌集」より「作品19-1  アンダンテ・コン・モト ”甘い思い出”」「作品67-4  プレスト ”紡ぎ歌”」「作品38-6  アンダンテ・コン・モト ”デュエット”」の3曲が野上真梨子さんのソロで演奏されました 1曲目の「作品19-1」がロマンティックで良いと思いました

最後の曲は「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49」です この曲は1839年=30紙の時に作曲、翌年ライプツィヒで初演されました 第1楽章「モルト・アレグロ・アジタート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト・トランクィロ」、第3楽章「スケルツォ:レジェッロ・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ・アパッショナート」の4楽章から成ります

この曲が聴きたくてチケットを買ったようなものです 名曲中の名曲なのに、なかなか生演奏に接する機会がありません この日は絶好のチャンスでした

全体的に藤原秀章のチェロが良く歌い、石原悠企のヴァイオリンが抒情的に加わり、野上真梨子のピアノがアクセントをつけ、二短調特有のデモーニッシュな音楽を、絶妙のアンサンブルで奏でました 曲想として面白いと思うのは第3楽章「スケルツォ」です メンデルスゾーンの「スケルツォ」は「弦楽八重奏曲」にしてもこの曲にしても、「夏の夜の夢」の妖精が忙しそうにあちこちを飛び回っているような印象を抱きます とても楽しい音楽です

会場いっぱいの拍手に3人は、アンコールにメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第2番ハ短調作品66」から第2楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」を優雅かつノーブルに演奏、再び満場の拍手を浴びました

この日のコンサートは、大好きなメンデルスゾーン三昧で、終始楽しく聴くことができました 今度CDショップに行ったときには「ヴァイオリン・ソナタ」と「チェロ・ソナタ」を買おうと思います

 

     

     

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