私は、いわゆる本人訴訟を選択したのだ。
実は、被害者である大津典子とは、3度、神田駅駅そばの居酒屋で酒を飲んでいた。
ただ二人だけではなく、他社の仲間の記者の一人である三田村春樹と部下の典子3人とである。
「うちの新人の大津典子。よろしくな」私が、いつもの居酒屋で三田村を待っていると彼は若い女性と一緒であった。
二人は互いの名刺を交換した。
その人が大津典子であった。
高校卒業後、偶然にも尚子と同じに、日本ジャーナリスト専門学校の出身者であり、当時、20歳だった。
その時は、私はまだ独身だった。
居酒屋の後は、私が行きつけのバー「フロリダ」へ二人を誘う。
私のウイスキーがキープされていたのだ。
「私、ウイスキー飲むの初めて」すでに、ビールを飲んいた典子は、水割りを飲む。
我々はロックだった。
店のホステスのミドリが「南さんは、ママの恋人みいね」と言うのだ。
「ミドリちゃん、そんなこと言ってはダメ!南さんに失礼よ」とママの都さんがたしなめる。
「だって、南さんが来ると、ママはとっても嬉しそうな顔をするもの」
ママの都さんは30代半ばの年齢と思われた。
都さんは外語大学出で、アメリカのフロリダ州へも留学経験があり、店名は「フロリダ」となる。
彼女は東京芸大出の画家の彼氏と後年結婚した。
「南さんは、女の人にもてるのね」酔って顔をすっかり赤らめた、典子が言うのだが、残念ながら私は女性にもてたことはなかった。
私は、翌年、尚子の隣の下宿人であった藤間千絵と結婚する。
そして、三田村から「南さんが結婚して残念だわ」と言う大津典子の言葉を伝え聞いたのだった。
りまりは、灯台下暗しであっのだ。
女性自身から「恋心」を吐露することは、稀だろう。
「言ってくれたら、藤間千絵と結婚せずに、大津典子を選んでいたも知れなかった」私の思いは広がり始めていた。
相思相愛の男女の関係を私は、長らく欲していた。
だが、皮肉なものだ、その大津典子に強姦罪で訴えれる身となり、京都地裁の被告席に座っていたのだ。
参考
本人訴訟とは、弁護士や司法書士を代理人として立てず、自分で訴え提起や裁判所への出廷をすること、つまり、自分で裁判を行うことをいいます。
裁判は弁護士がやるイメージだと思いますが、実は弁護士(代理人)を立てなくても、自分で裁判をすることはできます。
本人訴訟のメリット
費用が節約できる!
本人訴訟のメリットは、料金が安く済むことだといえるでしょう。
弁護士に依頼しなければ、費用のメインである「弁護士費用」(着手金・報酬金)は一切かかりません。
着手金は、最低でも10万円かかることが多く、数十万円になることはざらです。着手金だけで100万円を超える裁判もあります。
費用の節約はご本人にとっては一番の大きな課題なので、この点がクリアできるのは大きいですね。
スピーディーに物事を進めることができる!
訴状等の書面の書き方などをはじめとする本人訴訟のやり方を事前に学んでおけば、思い立ったらすぐに訴えることができることもメリットです。
また、弁護士に依頼する場合、裁判期日ごとに打ち合わせをする必要がありますが、自分だけで裁判をする場合には打ち合わせはいりません。
したがって、弁護士に相談し、事務手続きを踏んで裁判を起こすよりも早く問題を解決できる可能性があるといえます。
できるだけ安く・素早く問題を解決したい人は、本人訴訟で裁判を起こすのも選択肢の一つではあります。
本人訴訟のデメリット
しかし、本人訴訟にはデメリットもあります。
難しい法律を理解する必要があること
素人と専門家では法的な知識に圧倒的な差があります。
したがって、法律が理解できずに、裁判では苦労するシーンを多く見かけます。
例えば、法廷ではどのように振る舞うかということ1つを取ってみても、素人の方ですとわからず不安になることは多いでしょう。
「準備書面」、「上申書」の違いは何か、準備書面に「否認する」、「認める」等と書く必要がありますが、「認める」と書いたら負けてしまうのか、などなど、素人の方が裁判の1から10まで理解するのは困難です。
また、弁護士は法律について5年、10年、それ以上勉強してきているわけですから、法律の理解という点では太刀打ちはできません。
うまく主張立証できない結果、不利な結果になる可能性がる
また、裁判で正しい主張や立証活動ができず、敗訴したり不利な条件の判決が下されたりする可能性があり、望み通りに裁判が進まないケースがあります。
例えば、立証責任というものがありますが、どちらも証明できない場合にどちらが負けるのか、というのは素人の方には理解しにくいものです。
自分が証明しないと負けてしまう部分をしっかり証明しないでいるとそのまま負けてしまいます。
また、時効が成立しているのに気づかないまま時効を援用しないでいると、それはそれで勝てるチャンスを逃すことになります。
和解をする場面で「いい和解」ができない可能性がある
裁判の後半には「和解」をするかどうかを検討する場面があります。
裁判の中では最も重要な局面だと言えます。
例えば、和解の場面で、弁護士がついていれば、「期限の利益喪失約款の条項を入れる」ということは当然に検討します(「期限の利益喪失約款がわからない方は調べてみて下さい」。
他にも、例えば、実際にあったケースですが、素人同士で清算条項を入れなかった結果、後日紛争が蒸し返されてしまったということがあります(清算条項がわからない方は調べてみて下さい)。
書類の準備や裁判に出席する時間や手間がかかる
裁判の手続がわからない場合には、手間と時間がかかってしまうこともデメリットです。
訴状を初めとする書面の書き方を調べ、どこにいつ何を提出したらいいのか、証拠とはどんなものかなど、自分だけでは難しいことは多々あります。
*実際に裁判に必要な書類の例*
訴状/答弁書/準備書面/証拠説明書/証拠申出書/反訴状/控訴状/控訴理由書/上告状/上告理由書/上告受理申立書/上告受理申立理由書/抗告状/陳述書
裁判が長期化することがある
また、本人訴訟の場合、弁護士を依頼したときに比べて裁判が長期化する傾向にあります。
自分の主張をまとめるのに時間がかかると、裁判は無駄に長引くおそれがあります。
弁護士を依頼した場合には、期日における裁判官の発言や指示などから、裁判官の求めるものを予測し、適切に対応して、時間を短縮できます。
本人訴訟で、裁判官の求めるものを1回で用意できないと、「次回期日に持ち越し」となります。口頭弁論は1か月から2か月に1回程度ですので、「次回期日に持ち越し」となってしまうと、単純に決着までの期間が1~2か月延びてしまうことになります。