脇 明子 (著)
脇 明子(わき あきこ、1948年2月6日 - )は、日本の英国ファンタジー研究者・翻訳家。
ノートルダム清心女子大学名誉教授。
祖母は北原白秋門下の歌人・脇須美。
母の脇和子とは絵本の共著がある。夫は児童文学研究者、翻訳者の歌崎秀史。
単著
『幻想の論理 泉鏡花の世界』(講談社現代新書) 1974。増補版(沖積舎) 1992
『ファンタジーの秘密』(沖積舎) 1991、新装版 1993・2004
『読む力は生きる力』(岩波書店) 2005
『魔法ファンタジーの世界』(岩波新書) 2006
『物語が生きる力を育てる』(岩波書店) 2008
『少女たちの19世紀 人魚姫からアリスまで』(岩波書店) 2013
『読む力が未来を開く 小学生への読書支援』(岩波書店) 2014
共著・編著
『あたごの浦 讃岐のおはなし』(脇和子共著、大道あや絵、福音館書店、こどものとも年中向き) 1984 - 絵本
『あたごの浦 - 讃岐のおはなし』(こどものとも傑作集) 1993
『おかぐら』(小野かおる絵、福音館書店) 1996 - 絵本
『自分を育てる読書のために』(小幡章子共著、岩波書店) 2011
『子どもの育ちを支える絵本』(編著、岩波書店) 2011
翻訳
『天のろくろ』(アーシュラ・K・ル=グウィン、サンリオSF文庫) 1979、復刊ブッキング 2005
『星を帯びし者』(パトリシア・A・マキリップ、ハヤカワ文庫FT) 1979
『海と炎の娘』(マキリップ、ハヤカワ文庫FT) 1980
『風の竪琴弾き』(マキリップ、ハヤカワ文庫FT)1981
『丘はうたう』(マインダート・ディヤング、モーリス・センダック絵、福音館書店) 1981
『ねこのオーランドー』(キャスリーン・ヘイル、福音館書店) 1982
『まどのそとのそのまたむこう』(センダック、福音館書店) 1983
『パパの大飛行』(アリス&マーティン・プロヴェンセン、福音館書店) 1986
『辺境の惑星』(ル=グウィン、ハヤカワ文庫SF) 1989
『センダックの絵本論』(島多代共訳、岩波書店) 1990
『ママはだめっていうけど』(サッチャー・ハード、福音館書店) 1990
『ビルボの別れの歌』(J・R・R・トールキン、岩波書店) 1991
『ねこのオーランドー 農場をかう』(キャスリーン・ヘイル、童話館出版) 1996
『ぐんぐんぐん』(デービッド・マレット、岩波書店) 1998
『不思議の国のアリス』(ルイス・キャロル、岩波書店) 1998、岩波少年文庫 2000
『鏡の国のアリス』(ルイス・キャロル、岩波書店) 1998、岩波少年文庫 2000
『クリスマス・キャロル』(ディケンズ、岩波少年文庫) 2001
『シンドバッドの冒険』(ルドミラ・ゼーマン、岩波書店) 2002 - 大型絵本
『シンドバッドと怪物の島』(ルドミラ・ゼーマン、岩波書店) 2002 - 大型絵本
『シンドバッドのさいごの航海』(ルドミラ・ゼーマン、岩波書店) 2002 - 大型絵本
『雪女 夏の日の夢』(ラフカディオ・ハーン、岩波少年文庫) 2003
『オタバリの少年探偵たち』(セシル・デイ・ルイス、岩波少年文庫) 2008
『小公子』(フランシス・バーネット、岩波少年文庫) 2011
『小公女』(フランシス・バーネット、岩波少年文庫) 2012
『蛙となれよ冷し瓜 一茶の人生と俳句』(マシュー・ゴラブ、カズコ・G・ストーン絵、岩波書店) 2014 - 絵本
『かじ屋と妖精たち イギリスの昔話』(堀川理万子絵、岩波少年文庫) 2020
『ねこのオーランドー 農場をかう』(キャスリーン・ヘイル絵・文、童話館出版) 2023
『ナイチンゲールが歌ってる』(ルーマー・ゴッデン、網中いづる絵、岩波少年文庫) 2023
『秘密の花園』(フランシス・バーネット、ジェニー・ウィリアムズ絵、教文館) 2024
ウォルター・デ・ラ・メア
『魔女の箒』(ウォルター・デ・ラ・メア、国書刊行会、世界幻想文学大系10) 1975
『アリスの教母さま』(デ・ラ・メア、橋本治絵、牧神社) 1976、作品集:東洋書林 2022
『アーモンドの樹』(デ・ラ・メア、牧神社) 1976、東洋書林 2023
『まぼろしの顔』(デ・ラ・メア、牧神社) 1976、東洋書林 2023
『ムルガーのはるかな旅』(デ・ラ・メア、ハヤカワ文庫FT) 1979、岩波少年文庫 1997
『九つの銅貨』(デ・ラ・メア、福音館書店) 1987、福音館文庫 2005
『ノウサギとハリネズミ』(デ・ラ・メア再話、福音館書店、ランドセルブックス、イギリスの物語) 2013
ジョージ・マクドナルド
『お姫さまとゴブリンの物語』(ジョージ・マクドナルド、モーリス・センダック絵、岩波少年文庫) 1985、のち新版 2003
『カーディとお姫さまの物語』(マクドナルド、モーリス・センダック絵、岩波少年文庫) 1986、新版2003
『かるいお姫さま』(マクドナルド、モーリス・センダック絵、岩波少年文庫) 1995、新版2005、岩波書店 2020
『金の鍵』(マクドナルド、モーリス・センダック絵、岩波少年文庫) 1996、岩波書店 2020
『北風のうしろの国』上・下(ジョージ・マクドナルド、岩波少年文庫) 2015
ルース・エルウィン・ハリス
『丘の家のセーラ』(ルース・エルウィン・ハリス、岩波書店、ヒルクレストの娘たち1) 1990
『フランセスの青春』(ハリス、岩波書店、ヒルクレストの娘たち2) 1991
『海を渡るジュリア』(ハリス、岩波書店、ヒルクレストの娘たち3) 1992
『グウェンの旅だち』(ハリス、岩波書店、ヒルクレストの娘たち4) 1995
素敵な本です
本を読むことの重要性を教えてくれました。なかなかこの著者の方の言われるようには読めませんが、色々考えさせられ気を付けてます。特に子供たちに必要性を感じました。
人はなぜ本を読むのか
人はなぜ本を読むのか、を考える本。
小学生の子供の学校で、読み聞かせボランティアを始めて1年が経ちました。
本を読み聞かせることが自己満足なのか、虚栄心を満足させるため一方的に読んでいるのではないか、と自問した際にこの本が参考になりました。
人が困難にぶつかったとき、どうやって立ち向かうのか。
子供が一人で立ち向かうにはあまりにもむずかしいとき、本を読むこともしくは
昔読んだ本のことが解決へと導いてくれるのではないか。そこへの道案内を大人がするのが読み聞かせの意義だと思いました。
考察が丁寧で深いが、やはり文学で閉じている。
文学作品(特に児童文学)を読む意義について述べた本の中では
かなり秀逸な内容と思われる一冊。
安易に「国語力向上」「情操を養う」などと片付けず、
幼少期の子供から大学生まで、さまざまな発達段階の人が抱く
本嫌いの要因に正面から向き合っており、
「なぜ本を読むのか」についての独自の考察に考えさせられる部分も多かった。
また本全体を通じて、筆者の誠意も感じられた。
ただ、少々うがった見方になるかもしれないが、
「活字がほとんどの小説を読ませたい」思いが強すぎて、
絵本や漫画を読みたい子供や、
この本で想定されていない自然科学系・歴史系・社会系の本が好きな子供の想いを
遠巻きにねじ伏せている印象も否めない。
(この傾向は筆者に限らず、作家や国語関係者にままみられるものである)
絵本や漫画それ自体の価値は一通り認めながらも、
「しかし…」の文言以降、結局小説とか児童文学ばかりを薦めてしまう構成が続くので、
小説・文学以外の本が好きな読者には腑に落ちない部分も出てくるだろう。
筆者がこの本を書く際の誠実さ、それ自体は伝わってくるだけに、
他のジャンルの、小説や文学にない良さが述べられていない点は
(他の作家・国語関係者の文章同様)きわめて残念である。
まして、本題にある「読む力」が、
小説・文学のみに求められる力ではないのだから、なおさらである。
筆者の読書観がこれから先、もっと深みを増すことを切に願いたい。
美品でうれしい
2015年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古い本なので、図書館で借りても書き込みが多くて辟易。
思い切って買ったのですが、美品でうれしいです。
司書の勉強に役立てます。
ありがとうございました。
ハッとさせられました。
この本を読んで、随分ドキリとさせられました。「ヤバい。これ、私も当てはまる・・・」と思うことが、随所に書かれていたからです。
私は21歳の大学生で、きっと年齢的にはこの本の随所に出てくる「学生たち」とおそらくほとんど同世代だと思います。
私は幼少期は比較的絵本に囲まれて育ちました。もちろんおぼろげではありますが、母の膝の上で絵本を読んでもらった記憶もたくさんありますし、お気に入りの絵本をすべて暗記していた記憶もあります。
ですから、絵本の章に書かれていることを読むみながら「確かに今の子はそうかも〜! 危険だよね!!」とか、結構他人事として読んでいました。
しかし、小学校以降の「長い本」の章になったとたん、他人事とは思えなくなりました!
「たくさん読んだでしょう」を取るために、私もかなり絵本や歴史漫画でポイント稼ぎをしていました。もちろん、長い本も読んではいましたが、今考えるとさほど多くは読めていなかった気がします。そして、この本の通り、中学高校ではほとんど読書をしなくなってしまっていました。
さらにヤバい!!と思ったのは「ダイジェスト」の章です。
私は他の同世代の友だちよりは『名作童話』に強いと自負していました。
しかし、よくよく考えてみると、きちんと『原作』を読んだものは、ほとんどないような気がしたのです。
そして、家の本棚にアニメ絵のダイジェスト絵本のシリーズがたくさん並んでいたことを思い出しました。もとより私は絵本を読むのは好きでしたから、そのダイジェスト絵本は何度も読んだ記憶があります。そのため、私は同世代の子たちに『名作童話』のあらすじを聞かれれば平然と答えられていました。そうしているうちに、お恥ずかしいことですが、いつの間にか「私は童話に強い!」と勘違いしてしまっていたのです。
「こどもたちはその本が原作かダイジェストかなんて違いがわからないまま、ダイジェストを読んで『名作』を読んだ気分になる」といったようなニュアンスの文章がありましたが、まさにその通りだと思いました。しかも、こどもの頃にダイジェストを読んだ大人は、「あの『名作』はこどもの頃に読んだよ」と平然と言い続けてしまうのですから、すごくすごく怖いと思いました・・・。
きっと、私のように勘違いに気付かないまま大人になってしまった人たちは、今たくさんいると思います。
私は、今更ながらではありますが、気付くことができました。この本にすごく感謝しています。
今からでも『原作』を読み直し、そして、これから知り合うこどもたちに『原作』を手渡せるようになろうと思いました。
教育者の方はもちろん、今日本に生きている『映像世代』の人全員に、目を通してもらいたい一冊です。
文字が読めること、本が読めること
どんな難解な問題文でも難なく読めるけれど、
物語となると読めなくなる人がいる。
その忠告と、メディアによる刺激に対する
注意を本書では成されています。
いかにいい本を選び、子どもたちの想像力を
養うのか?それはとても重大な問題点である。
何気なく選んだ本ではいけないのだ。
しっかり吟味して大人がいい本を与えるべきなのだ。
そんなことに気づかされました。
よき本との出会いを求めて
「なぜ本を読むことが必要なのか」
そんな根源的な問いかけに、しっかりと応えてくれる一冊です。
著者からいただいた、その答えのキ−ワ−ドは <想像力>です。
子どもにとっていい本とは? との問いにも明快に答えを出します。
「読んでいて想像力が自然に働き始めるもの」
「人間や世界について基本的に前向きの姿勢を持つもの」
そんな本こそ<生きる力>を与えてくれる本だというのです。
その一方で、今日の社会を深く洞察して、本を読むことの大切さを訴えます。
「かつての生活文化を支えていた人間同士の直接的なつながりが崩壊しつつあるいま、
本を媒介として生まれるつながりは、
地球全体にまたがる大きな社会を支える力を育てるうえで、
非常に重要な意味をもつのではないでしょうか。」
「子ども時代に数々のすばらしい本からもらった大きな幸せを、
いまの子どもたちに手渡していきたい」 (「あとがき」より)
そんな著者の思いに共感させられる一冊です。
小児科医の提言
小児科医として、絵本を通しての子ども教育をお勧めしています.テレビやビデオを消して、絵本を通じての親子のコミュニケーションをとりもどしませんか.
どうしてそんなことが大事なのでしょうか.この本はそんなことをそっと教えてくれます.