【独自解説】六本木クラブ襲撃事件、“人違い”による殺人事件が起きた背景…

2024年11月16日 12時23分31秒 | 事件・事故

リーダー格とされる元『関東連合』の“残虐王子”、その人物像とは?「人を引き寄せるものが強くあった」

2024年9月10日 18:00
【独自解説】六本木クラブ襲撃事件、“人違い”による殺人事件が起きた背景…リーダー格とされる元『関東連合』の“残虐王子”、その人物像とは?「人を引き寄せるものが強くあった」
 
現在も逃走中・見立真一容疑者

 2012年9月2日、東京・六本木のクラブで酒を飲んでいた飲食店経営者の男性が集団で襲われ、殺害された事件。

その2か月後、リーダー格とされる元『関東連合』見立真一容疑者は、フィリピンに国外逃亡していたことがわかりました。

なぜ犯罪者はフィリピンに巣食うのか?『関東連合』の今は?元『日刊まにら新聞』記者・水谷竹秀氏、元埼玉県警捜査1課・佐々木成三氏のダブル解説です。

■2012年、日本を震撼させた襲撃事件…あの夜、一体何が―

『六本木クラブ襲撃事件』事件概要
 
『六本木クラブ襲撃事件』事件概要
 

 日本を震撼させた『六本木クラブ襲撃事件』。事件現場となったのは東京・六本木にある旧クラブ『FLOWER(フラワー)』で、飲食店経営の男性客(当時31)が亡くなりました。

 2012年9月2日午前3時40分ごろ、『FLOWER』のVIP席で、男ら9人が無言で襲撃。金属バットのようなもので1~2分間・無言で被害男性を殴り続けたといいます。店に到着・襲撃してから逃走するまで、わずか5分の出来事でした。

 新たに、店内の見取り図が公開されました。メインホールではなくVIPエリアが現場となり、黒い目出し帽をかぶり金属バットなどを所持した犯行グループは、常連客が使う奥の入り口から出入りしたとみられています。

 事件に関わった『関東連合』元メンバーら18人が逮捕され、そのうち15人が起訴・有罪判決を受けました。

 しかし、リーダー格とされる『関東連合』元メンバー・見立真一容疑者(現在45/写真撮影時33)は、現在も逃走中です。事件の2か月後、フィリピンに入国したという情報はありますが、その後12年間の足取りがわかっていません。

 2013年に、殺人・凶器準備集合の疑いで国際指名手配。懸賞金上限額は、国籍問わず600万円となっています。

■“ルフィ”に『漫画村』…犯罪者がフィリピンに巣食うワケ「捜査当局にお金を渡せば…」

 “ルフィ”を騙る人物がSNSで高額報酬などをうたい、『闇バイト』でメンバーを入れ替えながら、強盗などを繰り返したとされる事件。その特殊詐欺グループの幹部らが潜伏し、犯行を指示していたとされるのが、フィリピンでした。

 2019年には、違法にコピーした漫画を掲載した海賊版サイト『漫画村』を運営した男が、フィリピンで拘束されました。

 相次ぐフィリピンへの国外逃亡について、水谷氏は「“ルフィ”の時もそうでしたが、捜査当局にある程度のお金を渡せば、見逃してくれます。そういうフィリピンの緩さにつけ込んで、悪さをしている感じかなと、僕は見ています」と話しています。

Q.「捜査当局にお金を渡せば見逃してくれる」という状況は、現在もですか?
(元『日刊まにら新聞』記者・水谷竹秀氏)
「そうですね。“ルフィ”の特殊詐欺事件で、日本メディアがそういった実態を報道したこともあり、フィリピンの入管側が規制をしました。しかし、従来から沁みついている汚職体質は、簡単に変わるものではありません。また、批判は簡単にできますが、フィリピンの捜査員の待遇は日本の捜査員と比べると厳しい状況にあるので、そこに先進国の外国人がお金をちらつかせば、断れないという事情もあります。なかなか改善はしないと思います」

■「ほぼ抗争と同じ仕組み」人違い殺人の背景と『関東連合』の今

 『六本木クラブ襲撃事件』で亡くなった男性客は、人違いで襲撃されたと判明しています。2013年12月の石元太一受刑者裁判・検察側の冒頭陳述よると、見立容疑者らが所属していた『関東連合』は“X氏”が所属していたグループと対立していて、亡くなった男性客はX氏と間違われて襲撃されたということです。

 この二つのグループは1998年ごろ対立関係となり、2006年に『関東連合』元メンバーがX氏から暴行を受け、携帯電話を奪われたといいます。2008年には、『関東連合』の関係者がX氏らグループと思われる者に殴り殺される事件が発生。その4年後の2012年、『六本木クラブ襲撃事件』が起きたということです。

Q.この事件が起きた時、残虐性・計画性に震撼しましたよね?
(元埼玉県警捜査1課・佐々木成三氏)
「これは、ほぼ抗争と同じ仕組みです。人数が必要で、凶器・車も用意しているので、準備している中での情報戦だったと思います。『X氏がここに入ったら行くぞ』と待ち構えていて、かなり計画的だったのですが、情報が間違っていて、思い込みで事件が起きてしまいました。警察としても、威信をかけた捜査を展開していたと思います」

 『関東連合』は関東地区の“暴走族”の連合体で、1973年頃に結成し、2003年に解散。しかし、OBが暴走族時代の人的ネットワークを活用して集合離散を繰り返し、暴力団の後ろ盾を得るなどして新たなグループを形成しています。

 有名な事件としては、2010年1月にOBが被害者となった「元横綱 傷害事件」、同年11月に所属していた男が関与した「歌舞伎役者 暴行事件」などがあり、『関東連合』の名前が一般に知られるようになりました。

Q.『関東連合』の実態は、どうなっていますか?
(佐々木氏)
「主要メンバーが逮捕されたうえ、“半グレ集団=準暴力団”という位置付けになって規制が強化されたため、弱体化していることは間違いないと思います。何より、この事件以降、メディアが多く取り上げたことで、世間から“『関東連合』は危ない”と厳しい目が向けられるようになりました。ただ、非合法な行動をしている残党は、まだいると思います」

■「IQ145以上」「礼儀正しく真面目」「お酒は飲まない」見立容疑者の人物像

 『半グレと芸能人』(大島佑介著・文春新書)によると、見立容疑者の知人が「少年院時代にやったIQテストでは知能指数が145以上」「警戒心がとても強く、仲間内でさえ自宅の住所を教えなかった」「とにかく人の心をコントロールするのがうまい」と話していたということです。

 また、事件前に見立容疑者を取材したという経済ジャーナリスト・須田慎一郎氏によると、「寡黙で物静か、礼儀正しく真面目」「理路整然と話をしており、粗暴とは感じなかった」「オーラがあって非常に頭の切れる人物だった」としています。そして、食事をしながら話をした際、「お酒は飲まない」と言っていたということです。

Q.“残虐王子”の異名を持っていたという見立容疑者は、非常に冷静・冷酷な人間だということですよね?
(佐々木氏)
「これほど大きな組織のトップに立っていた人物ですから、“人を引き寄せるもの”が強くあったことは間違いないと思います」

 そんな見立容疑者が行方知れずとなって12年ですが、逃走資金に疑問が残ります。

 『関東連合』は、オレオレ詐欺・闇金・闇バイトなど非合法な仕事と、飲食店・アパレルなど合法的な仕事を合体させて、資金調達していたということです。

 一方で、経済ジャーナリスト・須田氏によると、見立容疑者は「『関東連合』の関係者に頼らず、自ら海外でビジネスをしているという話を聞いたことがある」といいます。

Q.フィリピンかはわかりませんが「海外でビジネスをしている」として、ある程度は日本人との接触があり、目立つような気もしますが、どう考えますか?
(水谷氏)
「現地でビジネスをするとなると、人脈が必要です。また、恐らく見立容疑者は合法ではできないので、違法にビジネスをやらなければいけないとなると、通告される恐れもあります。現実的には、かなり難しいのではないかなと思います。資金提供者がいないと、逃亡生活は続けられないのではないでしょうか」

■「海外からの情報提供にも懸賞金」情報提供は03-3479-0110まで


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