政策活動費の全面禁止

2024年12月19日 12時23分27秒 | 社会・文化・政治・経済

政治資金規正法の再改正案などが衆議院を通過しました。  

立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費の廃止法案には自民党や公明党も賛成しました。  

また、国会議員に毎月100万円支給される「旧文通費」の使い道の公開などを盛り込んだ歳費法の改正案は全会一致で可決しました。  

すべて今の国会で成立する見通しです。

「政策活動費」廃止など3法案 衆議院本会議で可決

政策活動費を廃止する法案など、政治改革の3つの関連法案は、衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決されて参議院に送られました。政治資金規正法の再改正などは今の国会で実現する公算が大きくなりました。

政治改革に関する衆議院の特別委員会

 

政治改革に関する衆議院の特別委員会は、各党による実質的な審議を終え、17日昼過ぎ、次の3つの関連法案の採決が行われました。

▼立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費を廃止する法案
▼公明党と国民民主党が提出した政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置する法案
▼自民党が提出した外国人によるパーティー券の購入禁止や、収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定した法案

【討論】

 

これに先立つ討論で、自民党の塩崎彰久氏は党が当初、設けるとしていた一部の支出先を非公開にできる「公開方法工夫支出」を撤回したことについて「意見に耳を傾け規定は削除する決断をした。よりいっそう政治資金の透明性確保に資するものになったと確信している」と述べました。

また立憲民主党の鎌田さゆり氏は「『公開方法工夫支出』が削除されたのは、熟議と公開の新しい国会のあり方の発露であり、政治資金の完全な透明化の前進に向け、かじを切ったことに敬意を表する」と述べました。

【採決】

 

採決では、立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費を廃止する法案には自民・公明両党とれいわ新選組も賛成し、賛成多数で可決されました。

また、公明党と国民民主党が提出した政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置する法案には、自民党や立憲民主党、日本維新の会、無所属の衆議院議員でつくる会派「有志の会」も賛成し、賛成多数で可決されました。

自民党が提出した外国人によるパーティー券の購入禁止や、収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定した法案には、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党も賛成し、賛成多数で可決されました。

3つの法案は衆議院本会議でも17日可決されて参議院に送られる運びで、今の国会で、政治資金規正法の再改正などが実現する公算が大きくなりました。

一方、立憲民主党などが提出した企業・団体献金の禁止を盛り込んだ法案については、与野党、主張に隔たりがあることから、特別委員会で議論を続け、2025年3月末までに結論を得ることを、17日の理事会で申し合わせました。

「政策活動費」とは

 

「政策活動費」は政党から政治家個人に渡される政治資金です。

政党側の政治資金収支報告書には支出として記載されますが、政治家側には使いみちを公開する義務はなく、『ブラックボックスになっている』とも指摘されてきました。

このため、2024年6月に成立した改正政治資金規正法では、項目ごとの使いみちに加えて、支出した年月を公開することが義務づけられました。

また、1年ごとの支出の上限金額を定め、領収書などを10年後に公開するほか、使いみちなどを監査する独立性のある第三者機関を設置することになりました。

一方で、1年ごとの支出の具体的な上限金額や、領収書の公開範囲、それに第三者機関の制度設計は「検討事項」とされ、事実上先送りされました。

関連法案 17日衆院通過なら18日に参院で審議入りへ

自民党の石井参議院国会対策委員長と立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長が17日午前、国会内で会談し、政治改革の関連法案が17日中に衆議院を通過すれば、18日午前、参議院の特別委員会で、法案の審議を始めることで合意しました。

《国会の会期延長に向けた動きも》

 

自民・立民 国会会期 24日まで延長で合意

 

今の国会の会期末が今週21日に迫る中、自民党と立憲民主党は、政治改革の関連法案などの審議時間を十分確保するため、来週24日まで3日間、会期を延長することで合意しました。

今の国会の会期末が今週21日に迫る中、自民党の石井参議院国会対策委員長と、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長は、17日、国会内で断続的に会談し、今後の審議日程を協議しました。

この中で両氏は、政治改革の関連法案などについて、衆議院での審議の状況も踏まえ、参議院でも審議時間を十分確保すべきだとして、来週24日ごろまで会期を延長する必要があるという認識で一致しました。

そして、衆議院側にこうした意向を伝えました。このあと、自民党の坂本国会対策委員長と立憲民主党の笠国会対策委員長も電話で協議し、いまの国会の会期を、来週24日まで3日間、延長することで合意しました。

旧文通費めぐる歳費法改正案 衆議院本会議で全会一致で可決

旧文通費、現在の「調査研究広報滞在費」をめぐり1年ごとに使いみちの公開や残額の返還を行うことを義務づけるなどとした歳費法の改正案は、衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決されて参議院に送られました。

旧文通費のあり方をめぐっては、衆参両院の議院運営委員会のもとに設置された与野党協議会が、1年ごとに報告書を提出する形で使いみちを公開し、残額の返還を行うことをそれぞれ義務づけることなどを盛り込んだ歳費法の改正案をまとめました。

改正案は、17日開かれた衆議院本会議に浜田議院運営委員長による提案の形で提出されました。

改正案はこのあと全会一致で可決されて参議院に送られ、いまの国会で成立する見通しとなりました。

改正案の付則では法律の施行日を来年8月1日と定めています。

与野党の協議会は今後、使いみちの範囲や、公開や返還方法の詳細について協議し、施行までに結論を出す方針です。

立民 野田代表「与野党が一致点 先駆的な実例になった」

 

立憲民主党の野田代表は「不正の温床になっている大きな要因が政策活動費で、改革の大玉だった。与野党が一致点を見出したという意味で1つの先駆的な実例になった」と述べました。

その上で「もう1つの大玉が企業・団体献金の禁止で、漫然と先延ばしせず、期限を区切るところまで合意したことは前進だ。自民党に早い段階で案を出してもらい、われわれの案と比べながら並行して審議し、年度内で結論が出るように頑張りたい」と述べました。

維新 前原共同代表「少数与党とようやく気付いたのでは」

 

日本維新の会の前原共同代表は「旧文通費の公開が実現する運びになったことは大変喜ばしい。政策活動費の廃止では、自民党が抜け穴を残そうとしたが、ようやく少数与党であることに気付いたのだと思う。われわれが政治とカネの問題に本気で取り組んでいることを甘く見てはならないと分かったのではないか」と述べました。

その上で「積み残しになった企業・団体献金の禁止は絶対に来年の3月までに結論を得て実施させる。われわれは企業・団体献金をもらっていないし、労働組合の組織内議員もおらず、一番ものを申せる立場にいるので、議論を引っ張っていかなければならない」と述べました。

国民 古川代表代行「信頼取り戻す第一歩 細部の詰めはこれから」

 

国民民主党の古川代表代行は「失われた政治への信頼を取り戻す第一歩で、ようやくスタートラインに立つことができた。具体的にどう実行していくのかなど細部の詰めがこれから始まるので、気を抜かずに取り組んでいく」と述べました。

一方、企業・団体献金の禁止を盛り込んだ法案の扱いは来年3月末までに結論を得るとした申し合わせについて「実効性をどう担保するのかを議論しないといけない。一定の結論を出せるよう努力していく」と述べました。

れいわが声明 “裏金問題の真相究明が先”

れいわ新選組は「一貫して『裏金議員の自首・議員辞職』と『裏金問題の真相究明』が先だと言い続け、罰則のある証人喚問を求めてきたが、たった4日間であわせて9本の法案審査が行われた。私たちは『選挙にお金がかからない仕組み』、『少数政党が不利にならない政党交付金の配分基準の見直し』を提案し、資本家に奪われた政治のコントロール権を国民に取り戻していく」などとする声明を出しました。

 

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