キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

ジェレミー・ブレットと渥美清

2012年08月31日 | ☆グラナダ版ホームズ
今日はグラナダ版のボヘミアの醜聞を見た。

そして、youtubeでマイフェアレディのジェレミー・ブレットの登場シーンだけを編集した動画を見た。

若いせいもあるけれど、全くホームズではないジェレミーがいた。

ああこの人は渥美清のような人なんだな、と思った。

日本人なら同じ感慨を抱く人も多いかもしれない。

あまりにも、自分にぴったりの役と巡り合ってしまった役者と言う意味で。

またその最期があたかも役と心中してしまったように見えるという意味で。


役者としてみたら、そんな最高の当たり役に出会えるなんてコトは無上の喜びだろう。
命を削ってでもその役と向き合いたくなるのかもしれない。



渥美清はいわゆる二枚目役者じゃないけれど、たたずまいも演技力も一級の、すばらしい役者さんだった。浅草の喜劇俳優から出発して、映画やテレビで活躍し、そのキャリアの後半は何十年も寅さんだけを演じ続けた。
寅さんを演じ続けた渥美清をすごいと私が思う部分は、本来の渥美清は怖い人だと感じるところ。
もちろん寅さんではその怖さはそんなに表に出ないわけだけど、渥美清って役者にはどこか鋭い怖さを感じる。その怖さがあるから、あの何ともいえないお可笑しさや孤独の哀しさの演技がただそれだけの薄っぺらなものでなく、心にズーンとくるんじゃないかと思う。

役者渥美清としては他の役をやりたいという気持ちもあったんじゃないかとも思うけど、他の役をやるエネルギーなど全く残らないほど、全存在を寅次郎に捧げ尽くしてしまったのではないか。
そしてずっと病をおして最後は息も絶え絶えになりながら演じていた。
寅次郎と全く違う素のキャラクターが世間に見えてしまうのを嫌って、プライベートを全く明かさなかったという渥美清。
その死も仕事仲間にすら、ひた隠しにされた。


渥美清の寅さん以前の作品をみると、ほんとに、寅さん以外の役(特に悪い人や犯罪者みたいな怖さを表に出せる役)もたくさん見たかったと思うけど、
でも役者としては最高の人生じゃなかったのかな。


役者ジェレミー・ブレットとホームズもそんな幸せな運命のめぐり合いではなかったろうか。
そしてジェレミーという人間の寿命を縮めてしまうほどの猛烈な濃密な付き合いになったのではないか。


そんなことを感じました。

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