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★「たま寿司(玉寿司)」のこと ★ 食の多様性(高知編3)
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土地によって「きらず」とも、「おたま」ともいいます。
値段と量目の塩梅(あんばい)から庶民の味方です。
高知には、おからに味をつけて、酢じめのウルメや
小アジ、キビナゴを乗せてなじませた「たま寿司」があります。
この名称は県の東部や中部に普通で、
西部の中村あたりではウルメを乗せた物を「六弥太」といいます。
さらに宿毛方面では、酢じめのキビナゴで小ぶりの玉を巻いて
「ほおかぶり」と称しています。
いずれも古くから愛好されてきたようです。
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「おかべのろくやたきらずでこい」などとも囃(はや)すそうで、
何のことじゃと調べてみたら、これが面白い。
岡部六弥太忠澄は源頼朝に従って従軍し、
例の薩摩守平忠度(たいらのただのり)を、
一ノ谷の合戦で討ち取ったことで知られる関東の武者です。
無賃乗車のことを薩摩守というのは
この名を素材にした名作狂言から来たそうです。
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上の囃し言葉の下敷きになっているようです。
「きらず」(「切らず」に掛けてある)は上にあるように
「おから」で、「おかべ」も女房言葉で豆腐のことですから、
「岡部の六弥太切らずで来い」「豆腐のたま寿司おからで来い」
と首尾良く決まっています。決まりすぎでちと怖い。
高知の食と民俗に詳しい方に解明を乞いたいところです。
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西南地方(南予という)では「まる寿司」といいます。
「泉屋」とは住友家の屋号で、
上方から新居浜方面へ伝わったという言い伝えのようです。
以前伊予の山間にある酒蔵を訪ねたときに、
空き腹にふなしぼり(槽搾り)の純米原酒を入れるのが
危なそうなので、底入れを探しに付近の店をのぞいたら、
これがありました。ただし小アジでした。
魚、おからともしっかり酢をすれば日持ちもいいようです。
まる寿司の別名「ほうかんむり」は
宿毛の「ほうかぶり」の親戚でしょうか。
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あるいは単に「(お)蒸し」があって、
これは大変なご馳走です。
塩をした丸ごとの鯛の中に、
各種の具を仕込んだおからを詰めて、
蒸し上げるというものです。
おからは日常のおかずから
晴れのご馳走まで活用されてきた伝統の食材です。
以前は配送品目にあったのですが、最近は見かけないようです。
是非復活させたいものです。