我が家の向かいには、メロンの温室がありました。
もともとは田んぼだったところに土を運び、
温室を作ったそうです。
その温室でメロンの栽培は、30年続けられました。
そして、その後の10年は、その設備を利用して
トマト、中国野菜などが栽培されていました。
私は、19年前に今の家に引っ越してきたので、
40年の歴史の後半の部分を毎日見てきました。
重油の高騰
施設の老朽化
後継者不足
生産者の高齢化
という問題を間近で見てきました。
今月の初め、ついにその温室の解体が決まり、
工事が始まりました。
生産者さんは、どんな思いでこの工事を見ていたのでしょうか?
今は更地になっています。
思い切って聞いてみました。
「温室がなくなると、こんなに広いんですね。
これからはどうなさるのですか?」
すると、こんなお返事が。
「ここの土、途中から色が変わっているの、わかるかね?」
確かに、上の写真を見ますと、
ドラム缶が置いてあるところを境に色が違います。
「半分は川砂利、茶色っぽい部分は山の土を運んできて
その上に温室を建てたんだよ。
その時代、時代によって埋め立ての土にも流行があってね。
山の土は畑にも向いている。
川砂利はね、温室を建てるのには都合がよかったんだけど、
畑には向かない。
だから、私が元気なうちに、ここに土を運んで
畑に向く土壌に変えようと思っているんだよ。」
もう、年だからきつい作業はできないとおっしゃっていましたが、
いえ、いえ、そんなこと。
奥様も直売所に、野菜や栗の出荷を続けていらっしゃるし、
“農”への思いは、まだまだ消えていません。
私は、この更地がどんなふうになっていくのか、
次の10年も見守っていきたいと思います。