「感動を共有する」
おはようございます。
うさぎや 店主の岩佐です。
この時季は、ひと雨ごとに冬に近づくといいますけれど、
このニ、三日はまさしくそのとおりで、
時折、急に身震いするような冷たい風が吹いたりします。
皆さま、お変わりございませんか。
先週の続きで「遊山箱」のお話を、ということでしたが
忘年会シーズンのさきがけに
一つ大事なことを思いつき、変更させていただきます。
申し訳ございません。
『見えないところをきれいにすると見えるところが光り出す。』
これは、経営の神様といわれた
松下幸之助さんの言葉です。
大行列の出来る
お寿司屋さんがあります。
きっと美味しいんだろうなと思い
店に入って食べていると分かりました。
ただ美味しいだけじゃない。
いるだけで心地いいのです。
このお寿司屋さんは
食べにきてくれるお客様を
大事にするだけでなく
取引先を大事にすることで
有名だということです。
取引先でも、このお店の担当に
なりたがる人が多いそうで
つまり、仕事にかかわる全ての人を
徹底的に大事にするというポリシーなのです。
このポリシーは店のなかにも表れます。
どこに表れるかというと、「空気に」です。
なんとなく、ここは
居心地がいいという空気に。
取引先を大切にする姿勢は
食べにくる人には見えません。
でも、見えないところを
大切にする姿勢は
見えるところにちゃんと
空気として表れるものです。
生き馬の目を抜くような競争と、
割高な地代という環境の元で飲食店が
生き残って行くのはかなり難しいものです。
何十年も生き残っていくための秘訣
秘訣なんて「あってないようなもの」です。
「禅問答」にしかなりません。
答は一つだけしかありません。
「お客さまが途切れない店にすること」です。
お客さまが途切れない店・お客さまが来たくなる店
一番目の申すところは立地です。
そしてニ番目が店の造作。
ところが、この一とニは大企業に敵いません。
資金豊富な大手に絶対勝てないのです。
だとすれば、「料理そのもの」でお客を呼ぶしかない。
飲食店主が元々料理人であればそれは当然です。
「料理の味だけで評判を取ろう」と考えます。
そして失敗するのです。
何故かと言いますと答は単純です。
「料理だけ」でお客さまを何年も引きつけておくのは無理だからです。
腕の良い料理人ほど、こんな考えに陥りがちです。
「味さえ良くすれば客は必ず来る」と。
ところがいくら美味い料理であれ、
それに感動するお客さまが顧客になってくれるわけではないんですね。
数回は食べに来るでしょう。
でも、すぐに「目新しい店」「最近評判の店」
に行ってしまい、そうなるともうお客さまは戻ってきません。
答を先に言いますと、
「顧客というのは人間にしかつかない」のです。
つまり「料理そのもの」につくお客さまは顧客にはならないということです。
それはつまりこういう意味です。
「料理につくようなお客さまを顧客にしてはいけない」
それが個人店を長く維持していく秘訣です。
商売というのは「信用」というもので成立します。
浮気モンを相手にしてりゃ信用もなにもありゃしません。
「料理の腕」「料理に対する真摯な姿勢」「真面目な人柄」を見抜いている方々
信頼感です。
それを持っている人々が「顧客」なんです。
しかし、それだけでは足りません。
もうひとつ大事なことがあります。
それは「感動」です。
料理人たるもの、いつだって大切なお客さんに
「感動」を与えなきゃいけません。
もちろん料理で感動していただくのです。
まぁ、口で言うのは簡単ですが極めて難題なんです。
どうやって感動させればいいのか。
そもそも、そんなことが出来るのか。
できるんです。
可能なんです。
「人に感動を与えよう」と思っている間はできません。
そういう事はできないのです。
そんな風に思いつめていると、頭から煙が出てきてしまい、
自身が壊れてしまうだけです。
感動させようではなく、
「自分が感動したこと」を料理で表現すればいいのです。
顧客は感性がとても主人に近い。
心の深い部分が似ているのですね。
近いからこそ主人を理解し、贔屓にしています。
共感とかシンパシーが発生しやすいということではないでしょうか。
だからすぐさま伝わるのです。
主人の感動が。
そして顧客も感動してくれるんです。
つまり正確に言いますと
「感動を与える」のではなく、
「感動を共有する」ということになるでしょうか。
つまるところ、おもてなしとは「感動を相手に伝えること」なんですね。
昔から料理人に「人間性」が求められる理由は、
そこにあるんです。
真摯で素直な心で修行を積み重ね、
真面目な気持ちで人生経験を重ねて行くからこそ
「質の良い感動」を沢山持てる。
だからこそ筋の良い顧客が付くのではないでしょうか。
裏表のある心の曲がった料理人に、
どんな顧客が付いてくれるっていうんでしょう。
八○○にしたって、
他人の陰口や悪口などしか言わないような主人の作る料理なんぞ
美味いと思いません。
世の中が、料理業界が、
どう変動して様変わりしようとしても
私はやる事は同じ。
庖丁を握るだけです。
明日三十日・月曜日は定休日です。
十二月一日(火曜日)は通常の営業日です。
忘年会 「うさぎや」 のご予約は
① http://kyoutousagiya.jimdo.com/
②お電話 075-573-5523
お問い合わせは上記にお電話をください。
週末から埋まってきておりますので
どうぞお早めのご予約をお薦め致します。