74; 『吉岡実全詩集』
吉岡実 著
吉岡陽子 編
筑摩書房
8000円が現在1万円円から20万円 復刻版なら12,233円(11,650円+税)
1996年3月
811ページ
先日から読んでいた『吉岡実全詩集』を本日読了。
感覚的に好きな詩は多い。
吉岡実は画家や絵を題材にした作品が多い。
読み進むにつれ、この詩人は色彩で世界を観ている部分があることに気づく。
おそらく文節や単語や人文字ですら彼に撮っては色が感じられる人のひとりだと感じた。
それは音楽で言うなら絶対音感に近いのではないだろうか?
「絶対音感」には調の色彩感があると読んだことがあるが、活字でも直感的にこういったことが感じ取れる人はいる。
『吉岡実全詩集』を読んでいると 吉岡実はイランの詩を読んでいたのではないかと思う。
イランの詩は素晴らしいものが多いが、それを思いうかばせる記述がいくつかあった。
中央アジアには行かれラクダや砂漠を見ておられるので、その類似性を考慮するとたとえ読まれてなかったとしても糸杉や美しい女性表現の一部などのがイランの詩を思う起こさせるのもさほど難易度の高いことでもない。
吉岡実独特の抽象的表現の鋭さは、観に行かれた美術展の数々やアングラ劇を考えると理解できる。
詩の中に歌舞伎の台詞の変形が使われていた。
加えて、民俗学的な内容がくどいまでも多様されたの詩が複数ある。
巻末を読むと、歌舞伎やアングラの舞台を観ておられたり、柳田國男の編集もされていた時代があったとのこと。
話は飛ぶが巻末の説明で観に行かれた展覧会で懐かしいものがいくつかあった。
バルチャス展やポール・デルボー展はわたしは京都で観たが、この二つの展覧会は吉岡実の詩と通じるものがあると感じる。